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2005年04月07日

さて、今日は「かみぽこ政治学」です。

日本の国会では、
今年度予算案がスムースに通過し、
郵政民営化法案を巡る攻防に
焦点が移っているようだね。

自民党の中に
いろいろ大騒ぎしてる人が
いるみたいだけど、

あるいは法案を潰すために倒閣に動く、
という人は一人もいないね。
要するにこれは

「いかに支持者に対して
自分が必死に郵政民営化阻止のために
大暴れしたか」

ということをアピールするために
やっているだけだということなので。

まあこれから数週間、
いろんな人がTVに出てきて
大騒ぎすると思うけど、

そうしたら、
法案の細かいことはわからなくても、
いったいこの人たちは
何をやっとるのかがわかるから。

それで郵政民営化は適当なところで

そうすると、政局の焦点ってのは

「ポスト小泉」

になると思うんだよね。
（というか、すでに実は
なっているんだろうけど。。。）

これから「年金」「増税」「憲法改正」「教育」
などなどいろんな政治課題があるのだろうけど、
これらの課題に対する1人1人の政治家の行動は、
全て「ポスト小泉」は誰なのか、
それに対して自分はどう身の振り方を考えるべきか、
ということに強く影響されるだろう。

ということで、
「ポスト小泉」なのだが、
「かみぽこ政治学」では、
世間の予想からポツンと大きく離れて、

「町村信孝外務大臣」

が必ず浮上してくると大胆予想した。
あの時点では驚いた人が多いと思うが、
その後、結果はどうだ？

昨年9月の小泉内閣改造後、
町村外相ほど評価を高めた政治家はいない。

外相就任前は
地味な印象があった町村氏だが、
数々の外交舞台で
強気かつ安定感ある言動で
評価を高めた。
最近は風格すら感じられる。

まあ巷ではまだ首相候補とされることは
ほとんどないようだが、
今後、彼はますます出てくるだろう。

さて、それでは2年後
町村氏で決まりかというと
事はそんなに単純ではない。

小泉人事の神髄とは、
全ての人材がお互いに牽制し競争し合い
結果として内閣への求心力が高まるよう
絶妙に人材を配置することだ。

その意味では、
町村外相も例外ではなく、
ただ外相の地位にあれば
安泰なのではなく、
周りのライバルを意識しながら、
ひたすら仕事をし続けなければならない
運命にある。

今日は、おそらく今後、
町村外相が強く意識せざるを得なくなるだろう、
この人について書く。

「谷垣禎一財務大臣」。

最初に「小泉人事の神髄」の時に書いたように、
谷垣財務相の経歴を見てみる。

谷垣禎一、59歳、当選8回、科学技術庁長官、金融再生委員会委員長、国家公安委員会委員長･産業再生機構担当大臣・食品安全担当大臣、財務大臣。

町村外相より1歳年下にして、
当選回数は1回多い。
閣僚歴は大目に見て互角、
実際は、やや谷垣財務相のほうが上か。

ここで私は、
当選回数・閣僚歴・年齢がほぼ同じ2人が、
外務大臣と財務大臣という
主要閣僚の座を占めているから
意識せざるを得なくなるというような、
単純な話をしたいのではない。

町村外相が谷垣財務相を
意識せざるを得なくなるだろう
理由は別のところにある。

結論的に言えば、谷垣財務相が今後、
おそらく小泉首相の「政局運営」の
キーマンとなるであろうからである。

これも「小泉人事の神髄」で書いたが、
小泉首相にとって最後に残った「抵抗勢力」は

古賀誠

である。
私は町村氏の外相起用は、
小泉首相の古賀氏に対する
強烈な牽制であると書いたが、
実はあの時点ではよく見えてなかった
古賀氏の動きによって、
谷垣財務相が政局のキーマンになる
可能性が出てきたのだ。

ご存知の通り古賀氏は
元々士志の会（古賀氏以外に、
麻生氏、平沼氏、高村氏）
から誰か次期首相を出すべく
動いていた。

ところが近頃は、
加藤紘一氏、亀井静香氏と組んで
「KKK」とかいって
行動することが多い。

そう、加藤紘一氏と。。。

言わずとしれた
旧・宏池会（旧・加藤派）会長だった人と。

これが何を意味するかというと、
古賀氏は小泉の後継首相に関して、
いずれも小派閥に属し、
党内基盤が弱い麻生・平沼・高村よりも、
むしろ加藤氏を担ぐことで
｢加藤の乱｣以降バラバラになった
旧・宏池会を再び１つにして、
これに亀井派や
もしかしたら山崎派までまとめて
一大勢力として勝負を仕掛けようとしていると
考えられなくもないのである。

まあ加藤氏は一度ミソをつけた人だから、
総理総裁候補に担ぐというわけには
いかないかもしれないが、
加藤氏をして大宏池会を作った上で、
麻生・平沼・高村の誰かを担ぐと
いうことかもしれないね。

しかし、もし古賀氏が
このような戦略を描いているとした時、

「谷垣禎一財務大臣」

が、実に頭の痛い存在になってくるのだ。
なぜなら、谷垣財務相の属する派閥は

小里派。

旧・宏池会から分裂した
派閥の１つである。

覚えている人もいるんじゃないだろうか。

あの「加藤の乱」の最終局面で
涙を流す加藤氏に、

「加藤さん。貴方が逃げちゃだめですよ！」

みたいなことを必死に訴えていた人の
映像がTVで流れていたことを。
その、加藤氏に必死に訴えていた人こそ、

「谷垣禎一」

その人なのだ。

バラバラになった旧・宏池会を
１つに結集して夢よもう一度というのは、
古賀氏に限らず旧・宏池会の議員なら
誰もが願望として持っていることだ。

元々旧・宏池会で加藤の次を嘱望された
谷垣氏が財務大臣として実績を上げて、
小泉後継候補の1人として浮上してきたら、
旧・宏池会の議員たちは、
加藤・古賀氏ではなく谷垣氏を担いで
宏池会を再興しようと動くかもしれない。

それは、「最後の抵抗勢力」古賀誠氏にとって、
最悪のシナリオであろう。

これまで谷垣財務相は
力強い言動を繰り返して評価を高めてきた
町村外相に比べ目立つことはなかった。

財務相はまず予算案を
国会で通過させることが
何よりも重要なわけで、
そのことに精力を注いでいたわけだから、
これは仕方がないことだ。

しかし、０５年度予算は実にスムースに成立したし、
定率減税半減を含む改正所得税法も成立させた。

そして谷垣財務相は
予算成立時の記者会見で
こう発言している。

「財政再建には国民の理解がなければいけない。
国民は国がこんなに借金を抱えて
大丈夫なのかという不安感を持っていると思う。
国民の不安や不満を吸収し、
答えられる仕事をしなくてはならない。」

「私自身を含め、副財務相、政務官が
全国各地でタウンミーティングのようなものをやりながら
意見交換していく。」

いよいよ、財政再建に向けて
積極的に行動することを宣言したわけだ。

財政再建となると、
当然消費税率引き上げも当然含む。

以前書いたが、
消費税は極めて取り扱いが困難な政治課題で、
かつて大平・中曽根・竹下・細川・橋本の
５つの内閣を吹き飛ばしてきている。

谷垣財務相がどのように
政治手腕を発揮するか、
注目される。

そしてそれは、
おそらく「郵政民営化」後に訪れる
小泉首相VS抵抗勢力の
最終決戦の行方を左右するものとなろう。

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