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2005年03月27日

伊丹十三・著「ヨーロッパ退屈日記」

テーマ：お勧めの本(7418)

カテゴリ：読書の楽しみ

伊丹十三・監督デビュー２０周年、ということで
ＤＶＤコレクションボックスが発売されたり、
かつてのエッセイが文庫で復刊されたり、と
ファンには嬉しいことが続いています。

さて、この「ヨーロッパ退屈日記」

復刊されたのを機に、古びた所蔵本を
引っ張り出して読み返していました。
購入時、ワタシは中学生。　ヨーロッパなど知らぬままに、
面白がって伊丹式ウンチクを楽しんでいました。

「洋酒天国」に伊丹氏が「ヨーロッパ退屈日記」という小文を
書いたのが機縁となり、「婦人画報」に約２年間連載したものが
骨格となっているそうです。

伊丹十三氏は、１９３３年生まれですから、
執筆当時やっと３０歳といったところでしょうか。　
映画監督「伊丹万作」氏の息子として生まれたのですから、
「一般市民」の子でないのは百も承知。

しかしそれでも東京オリンピック以前のこの時代に、
ヨーロッパへ趣き、これだけのものを見て、
いわゆる「一流ブランド品」をこなし、というのは
只者ではないと感じさせられます。

「北京の５５日」撮影現場でのエピソード。
胃が痛む思いをしながら「ロード・ジム」のフィルムテストを受けたエピソード。

いずれも「英語を話せる出演者」でなくては
取れないエピソードなのです。
読む人が読めば、２０年後の監督デビューは当然の事かも。

そのほかに、ワタシが気にいっている文章は、
「監督の条件」「スキヤキ戦争」「スパゲッティの正しい食べ方」など
（どんな内容かは読んでのお楽しみ）

そして、ワタシがこのウン十年間、あちこちで引用しては
ウンチクを垂れてきた「ハラキリ」の作法も元はココから。
この伊丹式作法に準ずると、先の「ラストサムライ」中のハラキリの解釈人は
首を胴体から離してしまっているから、これは「打ち首」になって
解釈人が後で切腹する騒ぎになるなぁ、本当なら・・・
などと揚げ足とりながら見るサムライ物は楽しいな♪

ワタシにはヨーロッパは未だ遠い国。
ヨーロッパになじんだ現代の人に、
この４０年前のエッセイがどう映るのか、
ファンとしては復刊が嬉しい半分、
新しい読者の支持を得られるかどうか心配な１冊でもあります。

アナタがもし、友人から「変わってるネ」と言われた事があるなら・・・・
この本をぜひともお薦めします。

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　☆　参考：エッセイに登場する映画のデータ　☆

北京の55日デジタルニューマスター版　◆20%OFF！＜DVD＞　[TCD-1060]

「北京の５５日」（１９６３年　アメリカ）
監督；ニコラス・レイ
出演；チャールトン・ヘストン、エヴァ・ガードナー、
　　　デヴィッド・ニーヴン、伊丹十三、ジョン・アイアランド

「ロード・ジム」（１９６５年　イギリス）
監督；リチャード・ブルックス
出演；ピーター・オトゥール、ジェームズ・メイソン、
　　　クルト・ユルゲンス、ジャック・ホーキンス、伊丹十三

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