遠方からの手紙

隊伍を整えなさい



 届くならちぎれるまで手を差し伸べたい。

 革命に向けて、同志たち、友人たち。燃える連帯を込めて、勝利の日まで。さようなら。

                       『週刊読売』1972年4月15日号 赤軍派アラブ代表 重信房子


 こういう中学生の応援団長でも滅多に口にしない、歯の浮くようなことを、ぬけぬけと語る神経に出あうと、鳥肌が立つ思いがする。こういう語り口は、<いつか聴いた>ことがあるからだ。

 こういう語り口しかできない<心情論理>が、<人民>について語っても<革命>について語っても<武装闘争>について語っても、ついに、マルクスのいわゆる<アジア的デスポチズム>を、赤色主義的に抽出してゆくほかないことは、戦争期の<天皇制>および日本社会ファシズムが、まざまざとみせてくれたものである。

 隊伍は仲間で仲間なら仲よく集団を組める、というほど共同性の構造が単純だったら、刻苦して理論や思想形成の営為をする必要はないのだ。
                                   吉本隆明 『情況への発言』より

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