8 今のあなたに魅力はあるか
まわりの情報や人脈を活かすためには、自分自身が魅力ある人物、あるいは特長・個性のある人になることが先決。
ふつう「魅力」というと、ルックスとか、健康とか、若さなどを連想する。あるいは明るく気さくで、おもしろい話をする人も、魅力があると考えられる。もちろん、これらも魅力をもつための大切な要素である。
外見、容姿、性格などは生まれつきでどうしようもないと考えがちだが、実は必ずしもそういうものでもないのである。美人やイケメンが意外にもてず、一見平凡な人に人気が集まるということは、私たちのまわりにいくらでも見られる。
「でも、見栄えのいい人や口のうまい人は、やっぱり得をする」
自分がルックスや人付き合いに自信がない人は、こう考えるものである。
そうかも知れない。「ひと目惚れ」ということは確かにあるからだ。
生まれつきの容姿や外見、それにからだが丈夫か弱いか、そうしたことは本人の責任ではないから、どうしようもないとしても、
日頃から「身だしなみに気をくばる」といったことは、人間的魅力を増すうえの重大なポイントといえる。
昔から「馬子にも衣装」などといわれる通り、服装をキチンとし身だしなみを整えると、気分も引き締まるものである。
けれども「人間的魅力」の決め手は、やはり「中身」。その証拠に同じ人でも、中身が充実しているときと、そうでないときの「魅力」は大違いではないだろうか。
外見や容姿やハッタリなどで、一時的に人の注目を集めたとしても、中身が空っぽでは、よけい惨めな思いをするだけである。
これからは「個性の時代」ともいわれている。これまで以上にそれぞれの個性を活かして、魅力を発揮するのがカギになる。
〇発想のヒントをつかむ法―情報受信の幅を広げよう
異業種交流会などの勉強会は、確かにビジネスマンの手っ取り早い「情報収集」「人脈づくり」の場ということができる。
しかし、これらの勉強会は一般的な意味で「異質の情報」というには、必ずしも充分であるとはいえない。
なぜならメンバー(会員)は、それぞれ異なった業種や会社という意味では、同じ業界、会社、職場の人だけの付き合いに比べれば、なるほど「異質」かも知れない。
しかし、見方を変えれば、サラリーマンという点では同質。
それに一般に男性の多い会が目立つのだが、これも「女性のものの考え方感じ方を知る」という意味では偏りがあある。また、もっと広い視野で見るならば、日本人だけの会という意味では、「同質」の情報しか得られないともいえるわけである。本来、異質の情報を仕入れるには、
・勤め人だけでなく自営業者や商店主、主婦
・都会生活者だけでなく地方の人たち、とくに農漁山村の人たち
・男性だけでなく女性も
・日本人だけでなく外国人、それも欧米だけでなくアジア・アフリカ・中近東・中南米
このように、あらゆる分野、地域の人たちの情報に接するべきなのである。
とはいえ、これだけ多種多様な人たちを一堂に集めることは困難だし、実際に集めたとしても充分な情報交換ができるとは考えられない。
そこで働く女性や外人記者クラブのメンバーなどを、ゲストに迎えて日頃あまり聞けない話を聞く工夫が必要になるだろう。
そのような工夫をしたとしても、何もかも勉強会に期待するのはどうかと思う。
・日頃から自分の属している会社や組織の外の人たちに関心をもつ
・仕事を離れて消費者の立場からものを見る習慣を身につける
こうした地道な努力をすることが大切ではないかと、私は思う。
〇身近なモノを捉え直してみよう
情報とくに異質情報に接するときは「ウォッチング」と「リスニング」の心構えが大切だ。「ウォッチング」というのは「見つめる」という意味だから、ただ「見ている」というよりも「集中して注意深く見る」ということになる。「リスニング」というのも、ただ「聞いている」のではなく「集中して耳を傾ける」ということである。
「何を見るか」「何を聴くか」ということよりも「どう見るか」「どう聴くか」ということに注意すべきなのだ。特別に耳寄りな情報や変わった現象を求めるのではなく、ごくありふれた日常の現象や会話などに、新鮮な気持ちで接するということ。
たとえば女性のものの見方考え方に接しようとする場合、ことあらためて女性にアンケート用紙を配るとか、インタビューするということをしなくても、
・奥さんや娘さん、近所の主婦の方々との対話を大事にする
・職場で働いているパートタイマーの何気ない会話を聞き流さない
これだけの注意を払うことによって、たとえば「女性を対象とする商品の売れ行きが芳しくない」という場合の対策や、「女性対象の新製品開発」の重大なヒントが得られるはずなのである。あるいは、とくに対話をしなくても、
・休日に盛り場に出かけて、ウィンドウショッピングする
これだけでもよい。
ある部品メーカーで、売れ行き不振を何とか回復するために「自社の技術がどんなところに応用できるか」ということがテーマとして挙げられたが、技術者たちは、「いろいろ情報収集したいが、どこへ行ったら情報が入手できるかわからない」と困っていた。私は、「デパートやスーパーやコンビニなど小売店の店頭へ行ってごらんなさい」とアドバイスした。その結果、業界紙や専門誌ではなかなか仕入れることのできなかった情報やヒントを、この会社の技術者たちは、ウィンドウショッピングによって入手することができたのである。このように、ごく身近なところに情報やアイデアのヒントがあるのに、「気付かないだけ」ということが意外に多い。
〇情報を活かす集め方
ー人脈づくりは情報しだい
勉強会に参加したりウォッチング&リスニングによって、できるだけ「生の情報」に触れるようにすれば、
・ああ、なるほど、そういう見方もあるのか・この情報の裏には、そんな意味もあるのか
というように、情報を選別する目も養われてくる。そうすれば、それを直接仕事のうえで活かすこともできるし、選別した「特選情報」を携えて人に会うこともできるだろう。いい情報が提供できれば、新しい人脈もつくれるということになる。
◎生産者と消費者をつなぐ
―いわゆる「担ぎ屋のおばさん」から、学ぶ。
新天地を求め、隙間を埋めるビジネスの突破口は、生産者と消費者をつなぐこと。これまでは、どの業界にも既得権をひとりじめして離さない流通業者の存在が生産者、消費者の双方に不利益(生産者は安く買いたたかれ、消費者は高いものを売りつけられる)をもたらすネックになっていた。そういう業者を敵に回すことなく、生産者と消費者をつなぐ「要諦」―それは、「交流会」人脈の交差点から生まれる。現に、そういうところから新しいビジネスチャンスが続々と誕生しつつある。
その前に、誰でもできる産直販売のノウハウ。
私たちが東京代々木のマンションに住んでいた当時、千葉のおばさんと呼ばれたいわゆる担ぎ屋さんがいた。千葉の農村から籠いっぱいに野菜や魚を担いで、マンションを一軒一軒回って歩くのだ。仮にこのおばさんをAさんと呼ぶ。このようなスタイルで、荷物を担いで千葉など産地から東京へ新鮮な野菜や魚を運ぶ人々が、総武線、東西線、京葉線の朝の上り電車には、通勤ラッシュの終わったころに、確かに大勢見かけられたものだ。彼女らは私たちの住む代々木から義兄の住む青山方面まで、それぞれの得意先を探して、運んだ荷物を当日完売、もちろん現金売りでかけ売りはなし。こんな「堅い商売」はほかにはない。そのかわり、60キロもあろうかという荷物は女性の肩や腰には重い負担だったに違いない。でも、一度買ってくれたお客は、来ればほとんど買ってくれる。 何しろ青山から代々木といえば高級住宅が多く、スーパーで買い物をすれば物価は高いが、安くて、新鮮な食品を居ながらにして配達=産直で売ってくれる、こんな有難い存在はないのである。もちろん、世田谷、目黒、大田などの近郊にもこういう人たちのテリトリーは存在した。
こうして担ぎ屋さんとその得意先の渋谷、代々木、原宿、青山界隈の住民の相互の利益は完全に一致している。そのうち、Aさんは夫を引っ張りだしてしかも中型トラックに荷物を積んで現れるようになった。こうなると、「担ぐ」という肉体的な負担からも解放され、立派なビジネスがなり立つようになる。
ここで問題は、Aさんが千葉の農村地帯に住んでいるということ、都会のビジネスマンが、Aさんのまねとしようと思っても、「どうやって仕入れるか。農産物や魚介類を分けてもらえるか」という問題がある。Aさんは農村地帯の住人だから産直販売ができたのである。ところで、「食の安全」「食糧自給率の向上」が叫ばれる中、「農業」をめぐる動きは、既成の農に対する既成概念をまったく変えようとしている。
千葉のおばさんは農村地帯に住んでいるから産直販売の仕入れ先をつかんでいるが、都会に住む者にはそれができない、といったが、この問題には交流会がクローズアップされます。交流会の仲間に農村や漁村の出身者がいたら、比較的容易に仕入れ先とコネを作ることができるだろう。
あるいは都会を始め近郊のホテルやレストランとコネがあれば、有機農法の野菜や取れたての魚をその日のうちにホテルやレストランに提供できるわけである。
今、「ひき売り」商売が大繁盛と言われます。引き売りの「豆腐」「パン」さらには「縮みホウレンソウなどの野菜」―これらは、千葉のおばさんの産直販売と同じ発想から生まれたビジネスである。これらの商売を通じて、『消費者との接点』が生まれ、「人間的な触れ合い」が育つばかりでなく、新しいユーザーの「求めるニーズ、シーズ」のアンテナショップの役割を果たしているわけである。
さらに、最近は食品に限らず、あらゆる製品で「共同生産・共同販売」のシステムが定着しつつある。
以上、「ツキのある人生」への転換、「支援者との接点の見つけ方」については、
・拙著近刊「ツキを呼ぶこれからの生き方」 SIC 出版、および、
・次項 エピローグ 先人の知恵から学ぶ
参照。
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