25話

第十二章  一つだけ守りたいもの




男子4番小倉 正輝は相変わらず民家に潜んでいた。

その理由としては・・・いつどこに敵が潜んでいるのか

分からないからである・・・・しかもゲームはまだ中盤・・・

クラスメイトはまだ半分以上残っている・・・・。

いくら自分の装備が強力だからとは言えこのクラスには

身体的にも精神的にも強力な生徒が多いのだ・・・。

つまりこの場は下手に動かずにクラスメイトが減っていくのを

黙って見てれば自分は比較的安全なゲームを進める事が出来る・・・。

腹が減ってきた・・・・ディバッグから出てきた食料は

クソマズイ菓子パンと水だった。しかし今は少しでも

体力を付けなくてはならなかった・・・・。

それを食べて今度はマシンガンとベレッタ、ワルサーの手入れをし始めた。

そして手入れをしながらこう言った。

「そろそろ出てきたらどうだ?ここにはお前の探してる奴はいねえぞ」

次の瞬間民家の裏窓から一人の男が進入してきた。

男子15番春木 健児だった。「何で俺がいると分かった?」

正輝は一瞬だけ笑みを見せこう言った。

「そりゃ、お前は空気で分かる・・・俺は不良だよ・・・

同じような奴がいると分かるんだよ・・・

しかもお前とは結構な付き合いだからな!」

それを聞き健児も正輝に笑みを見せた。

「どうせ北条と合流するつもりだったんだろうが・・・

この状況に耐えられなくて逃げてしまった分けか・・・」

健児は頷いた。そして正輝にあるお願いをしたのだ。

「なあ・・・言いづらいんだがよ・・・その・・・

サブマシンガンを俺に貸してくれねえか?」正輝は眉を顰めてこう言った。

「それまた何でだ?」「ああ・・・俺は北条を守り通したいんだよ・・・

いつ・・・今も敵が襲ってくるかも分からないのに・・・

マシンガンなら俺の性に合っている!もちろんタダでは

貸してもらおうと思わない。俺の武器全てと交換でどうだ?」

たしかに健児は大雑把なとこがある・・・マシンガンは

健児に与えた方がいいのだろうか・・しばらく正輝は考え込み

その末に・・・・。「・・・そうか・・・仕方ないな・・・

絶対生きて帰って来い!ほらよ・・」

正輝は意図も簡単にサブマシンガンを渡し、

健児からサイレンサー付スミス&ウエスタンと

弾無しグレネードランチャーを手渡しお互いの武器を交換した。

「それじゃあ長居は無用だな・・・俺は行くぜ・・・」

健児がドアに手をかけようとした瞬間正輝はこう口にする。

「あとお前に忠告だ。小柴と沢近に気をつけろよ・・・

あの二人・・・ああ見えて完璧に乗り気だぞ。」

「そりゃまた・・・あの二人が?少し信じられないが・・・

まあお前の言うことだから本当なんだろうな・・・

そうそう・・こっちも忠告だ!関内にもお互い気をつけたほうがいい!」

それを聞き正輝は「そうか・・」と言い健児を見送った。


 「・・・・正輝・・・お前・・あの二人に何があるんだ?

ただの女の子じゃねえか?・・・いったい正輝は何を思ってるんだか・・・

今回ばかりは読めねえな・・・」そろそろさっきまでいた

民家のエリアを抜けようとした時だった・・・

ふらふらの足取りで涙を枯らした可憐に出合ったのは・・・・

目が普通じゃないのはすぐに分かった。何やら血走っている。

そしてブローニングを構えた。もちろん銃口は健児に向かれていた。

この可憐という存在が健児にとってたった一つ守りたいものだった。
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