26話

対峙したまま二人の距離は変わらなかった・・・。今度こそは・・・・

「可憐聞いてくれ!俺はなぁ・・・俺は・・・」

「ドンッ・・・ピス・・・」そんな音がした・・・

健児の頬から血が垂れた。弾丸が健児の顔を掠めた様だった。

「可憐・・・」やはり撃ってきた・・・。

しかしここで引き下がるわけにはいかない・・・!

「可憐!!俺は・・・こんなゲームに乗ってなんか・・・・な・・」

「ドンッ」またもや命中はしなかった。健児の隣にある木に命中していた。

3発目が来る・・・健児は後ろを向いて走り出した。

「か・・・可憐・・・・」「ドンッ・・・・ドンッ・・・」

走り出したおかげか命中はしなかった。ただ自分が

情けなく思えてくる・・・(クソッ・・・・何で俺は・・・・

何で俺は可憐から逃げてるんだよ?・・・・俺は・・・俺は・・・)

ついに健児が振り返り可憐と向き合った・・・・

「俺は!!!!このクソゲームに乗ろうなん・・・」

「ドンッ」その弾は健児の腹部に命中した。「グッ?」

その場に健児はよろけた。しかし健児はそのまま可憐に向かって

突進してくる。「イヤァ!イヤァ・・・・」続けざまに撃とうとしたが

健児に止められてしまった。「イヤァ!!!!!」

しかし次の瞬間健児は可憐の体を抱きしめた・・・・。

「?・・・・け・・・・ん・・・ちゃん?・・・」

「よかった・・・もう名前も呼んでくれないものかと・・・」

健児の腹部からは血液が大量に流れ出していた。「あ・・・・・」

(小柴も沢近も・・・・普通の女の子じゃねーか?・・・・・・

たしかにそうだったな・・・・みんな普通の女の子だ・・・

そして可憐も・・・・・こんな異常な状況だからこそ

普通な子はそれに流されやすい・・・・ある意味こんな状況に陥っても

平然としてられる俺や小倉や関内の方が何倍も危険なんだよ・・・な・・・・)

健児は体全体に力を込めてみる・・・・まだ大丈夫・・・・

俺の体はなんてタフなのだろうか・・・・

喧嘩などで勝ったときもそう思ったものだった。

「可憐・・・逃げろ!」「え?」無理やり可憐の体を突き放す。

「いいから逃げろよ・・・・・今の銃声で誰かが

襲ってくるかもしれねえ・・」「健ちゃん?な・・に・・・

言っているの?あたし健ちゃん殺そうとしたのに・・・」

「いいから行けよ・・・」そう言って体を反転させて

茂みに突っ込んでいく・・・・「うおおおおおおおおお」

ぱらららららららららら・・・・ウージーを撃ちまくる・・・・

そこらじゅうに土煙が立ち込める・・・・。

「ドンッ」突如健児がマシンガンを撃った方向から銃弾が飛んできた。

男子13番津部 拓也である。手にはもう彼にとっては

お馴染みのグロッグを装備していた。健児は標的が見えたと同時に

ウージーを連射した。「ああああああああ」ぱららららら

しかし肩に一発当たったが一瞬よろめいただけでまるで無傷だった。

こちらには木が密集していない・・・・だがあっちは木など

沢山密集している・・・・フィールド的にこちらが不利だった。

その点奴はホントにこれが始めてかと思うほど銃の扱いに慣れていた。

そして何かを決意し可憐の方へ振り向いた。

「可憐・・・・俺はお前を守ってみせたい・・・・」

それだけ言うとウージーをさらに握り締め津部の方へ向かって行った。

「ドンッ・・カコッ」奴は的確なコントロールで健児のウージーを弾いた。

それでも健児はそれを拾わずに尚も突っ込んでいく・・・・

いつも懐に忍ばせてる愛用のナイフ・・・・それを構える・・・

パチンッ・・・・ヒュッ・・・ナイフで喉を突こうと思ったが

ナイフの刃先があと1m程のとこで健児の頭蓋骨は割れてしまった。

当然割れた頭からは脳や血液などが大量に飛び散っている・・・

即死だった。拓也は床に倒れた死体に何かを問いかけてるようだった。

「・・・・ああああ・・・・ああああ」

可憐はこの状況を全く理解出来ていなかった。

健児が死んだということも・・・・。ウージーを構えながら拓也は

可憐に迫ってきていた。「イヤァ!!」急いでブローニングを構えたが

「カチッ」中に弾が入ってなかった。「あ・・・れ?・・・」

ぱらららららららららららら・・・・・可憐の体は

まるで踊りを踊ってる様にリズミカルに体が揺れた。

なすすべも無く可憐はその場に倒れこむ・・・・そして小さな・・・・

事切れそうな声でこう言った・・・・

「健ちゃん・・・・ご・・・め・・・・・・ごめ・・・ね・・・・・」

拓也はウージーとブローニングを拾い

ブローニングには弾を詰め込み茂みの中に消えていった・・・・。


         新たな死亡者男子15番春木 健児

女子15番北条 可憐


        【残り24名】



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