30話



そこには血の海が広がっていた。そこには沢山の死体が転がっていた。

そこには・・・・一人・・・・・・立っていた・・・・・・・。

女子6番沢近 愛理はガバっとベッドから体を起こした。

「あれ?私・・・・・」そこにガチャっとドアが開いた。

その人物は男子16番柊 淳だった。手にはお盆をもっていた。

「沢近さん・・・大丈夫?まだ無理しないほうがいいよ・・・

もう少しで危ないところだったんだし・・」「危ない?」

そう愛理が聞いた。「うん・・・津部君に撃たれただろ?

出血多量で危なかったよ・・・」「誰が手当てしたのよ・・・」

「俺だよ・・・・」それを聞き思わず体を乗り出す。「あっあなたが?」

それを淳は抑えてベッドに寝かせなおした。

「そうだよ・・・一応・・俺・・医者目指してるし・・・」

これまた驚きである・・・クラスでもそれほど目立つわけでもなく

ちょっと一部の女子に可愛いなどと言われてる柊が

まさか医者を目指していたとは・・・「あなた・・・本気なの?」

「うん・・・俺の夢だよ」愛理はそれを聞き少し微笑んだ。

「あっ・・・」「何よ?・・・・」

「いや・・・このゲーム始まってから一回も笑ったこと・・・

見たことが無かったから・・・何か・・・おかしかった?僕・・・・」

それを聞き愛理はますます微笑みが増した。

「いえ・・・そう・・・素直に・・・・純粋に・・・

今あなたがちょっと輝いて見えた・・・」「え?」

「夢があるっていいわね・・・しかもこんな状況で平然と

自分の夢なんかを語っちゃって・・・それに・・・

あなたの手当て・・・・なかなか見事じゃない?」

それを聞き淳は顔を赤らめて下を向いた。

「いや・・・たいしたこと・・・ないよ・・・」「ところで希莉は?」

「ああ、小柴さんなら今見張り・・・そろそろ交代の時間だから・・・

行くね・・・・」そう言うとお盆の上にあったおかゆを

愛理に食べとくように言い。交代に行った。

愛理はその後姿をじっと見つめる。

「ふふ・・・結構頼もしいじゃない・・・」そう思った。


 男子2番井澤 隼と男子10番田辺 和晃は茂みを

ずっと探索していくうちにある民家を見つけそこに入ることにした。

この二人は出発時に合流地点をこの付近に絞っていたので

簡単に合流をすることは出来た。「・・・いいな?・・・・入るぞ?」

隼はそっと扉を開けて中の様子を確認した。

無言で隼は和晃に合図を送る・・・どうやら誰もいなさそうだ・・・。

しかしリビングに入った途端に異変に気づいた。

何者かが銃をこちらに向けているのを・・・・。

その人物はスミス&ウエスタンを右手に・・・ベレッタを

左手に構えていた。「クソッ」隼はそれを見た瞬間すぐさまに動いていた。

「チュンッ」スミス&ウエスタンの火が吹いている。

かろうじて銃弾は当たらなかった。「何だ?音がしねぇ・・」

そういいながら隼は持ち前の運動神経を活かして

腰を屈めながら前進していき手に持っていた彼の支給武器の

鉄パイプ をフルに活用し銃を弾き飛ばした。

それと同時に銃の持ち主の男子4番小倉 正輝は体をよろめかせる。

続いてもう一撃鉄パイプを当てんがために振りかざした。

すると利き手でなければうまく扱えないのか

左手に持ち替えようとしていた。「チャンス!」

そのまま第2撃を与えようとした。

すると右手には既に他の銃が握られていた。ワルサーである。

二人の声が同時に鳴り響いた。

「やめろ!殺し合いは出来ればしたくねぇ!」

・・・・・・・一瞬の沈黙・・・

「な?」・・・3人はその場に立ち尽くした。

それと同時に二人はお互いの武器を下げた。

「何でお前3つも銃持ってるんだよ?あと・・・

そのテーブルの上にあるデカイやつ・・・ナイフまで・・・

一体何人殺したんだ?」すると正輝は笑みを浮かべてこう言った。

「0だ」「嘘付け・・・4人は殺してるんだろ!?」

「本当だ・・・これは元々春木のものだ・・・

どうやら調達してきたらしい・・・俺の元々の支給武器・・・

マシンガンと交換した。」それを聞き二人は微妙な感じだった。

何でこいつは俺達にこう易々と情報をあげてるんだろう・・と・・・・。

次に正輝はこう聞いた。「田辺の支給武器は何なんだ?」

すると和晃はディバッグから グレネードの弾 を取り出した。

そしてちょっと考えた後に・・・「・・・・それ俺に譲ってくれないか?」

「どうしてだよ?」疑問をもちながら田辺は聞いた。

「このデカイのはグレネードランチャーだ!しかし弾がない・・・

説明書によると弾はクラスの誰かに別々に支給されてるらしい・・・

そこにお前だ・・・そのかわりこのサイレンサー付スミス&ウエスタンを

譲るぜ?俺には小さくてちょっと扱いづらかったし・・・

それにワルサーとベレッタがまだあるしな・・・・」

「ああいいよ」「な?本気かよ?」隼が和晃に尋ねた。

「ああ・・・どうせこのままじゃお互い特にならないだろう?

それに音がならない銃が手に入るんだし・・・」「よし決まりだな」

そう言って交換した。そして二人は早々にここを立ち去った。

「何で交換したんだ?お前こっちが銃手に入るからといって

あっちは最強装備になったようなもんだぞ?」

それを聞き和晃はこう答えた。「小倉の奴・・・・

何も悪いような感じがしなかったからな・・・」

それを聞き隼が呆れ顔になる。

「はぁ?・・・・・なんだ?・・・・それ・・・?」

時刻は5:50分・・・・そろそろ3回目の放送が鳴ろうとしていた。
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