35話

第十八章  意思




男子18番三浦 宏一はエリアで言えばH-8エリアを疾走中だった。

何故移動をしているのか・・・それは禁止エリアのお陰だった。

11時からF-9が禁止エリアになって

この辺の地域の活動できるエリアが狭まってきていると思い、

もっと広く移動が出来るエリアに移動した方がよさそうだと

判断したためだった。そして彼に支給された武器は タルワール だった。

本気になれば一人や二人殺せるかもしれない刃物の武器だ。

彼はこのゲームに乗る気はさらさら無かった・・・って言えば

半分は嘘になる・・・殺し合いをしないと生き残れないのであれば

やるしかないと考えていた。

たぶん自分がこのゲームに乗ってしまうのも

時間の問題なのかもしれない・・・・

だが宏一も昨日まではクラスメイトだったのを

平然と割り切って殺してしまうほど

冷酷な心を持っているわけでもなかった。

「やる気になってる奴らは殺さないと殺される・・・」

これが宏一の心情だった。そろそろG-8エリアを抜ける頃だった。

宏一が何かに気付く・・・誰かいる。

息を潜めて小石を持ち気配のする茂みの方へばらばらと投げた。

・・・・手ごたえがある・・・・人間だ・・・子猫なんかとは違う・・・。

「おい!お前・・・・誰だ?」宏一の顔に冷や汗が出来る。

とそこに人影がかすかに見えた。

その人物はどうやら比較的小柄な体をしているようだった。

「・・・となると・・・女子か?」

しかしその影は女子なんかじゃなかった。

勢い良く茂みから空を切って飛び出してくる。

「おおおおお」その声で誰なのかは分かった。男子9番外村 博だった。

「な?」何がなんだか分からないが

とにかくこいつはゲームに乗った人間のようである・・・。

タルワールを片手で構えて胴体めがけて突く・・・「ヒュッ」

その体は既に宏一の視界から消えていた。すぐ横に体を移動させていた。

そのまま宏一の体は横に吹っ飛ばされる。「そういや・・・」

その体を起こしながらも宏一はこんなことを思い出した。

(こいつはクラス一の俊足を誇っていたのに加えて、

ボクシングも習っていたことがあると聞く・・)

つまり今起こったことは俊足を活かしてタルワールの突きをかわして

横に回りこみ宏一を殴り飛ばしたという事になる・・。

そのまま外村が勢い良く近づいてくる・・・

どうやら目当てはこのタルワールらしい・・。

タルワールを蹴り込んできたが宏一は素早く身を起こし体制を整えた。

「こいつ・・・武器を持ってないのか?」再びタルワールを突く・・・

「ブン」そんな音がした。・・がそれもかわされる・・・

今度はそれを読んだ宏一が横向けにタルワールを振る。

外村はバックステップを駆使してそれをかわす。

しかしそれは只の振りじゃなかった・・・

そのままタルワールは宏一の手から離れて空中に投げ出された。

「シュバァ」と言う様な音がしたような気がした。

「ドッ」そんな音がした。バックステップ虚しく

その刃先は見事外村の上体を捕らえたいた。

しかし外村は傷一つ負ったような手ごたえが無かった。

外村はその刺さったままのタルワールを抜くとにやりと笑って見せた。

「残念だったな・・・俺の支給品は防弾チョッキなんだよ・・・

もちろん・・ナイフなんかでも簡単に貫けないほどの代物だ・・」

そのままタルワールを振りかざしてきた。「くそ!」

宏一は吹っ飛ばされたときにもう一方の手に握り締めていた砂を

外村に振りまいた。「く?」一瞬だけそこに砂が舞い散って

視界が閉ざされた。間一髪でその剣先をかわし

そのまま後ろへ向きダッシュをかけた。「畜生・・・・」

すぐさま外村も追いかけてく・・・しかし・・。

「トス・・」そんな音がし宏一の頭に

一本のアンテナが刺さっているようだった。

その生え際からどろりと血が流れ出しそのままドサっと倒れた。

そこにはボウガンを構えた女子8番関内 麻子がいた。

外村はにやっと笑ってみせるとこう言った。

「ちょうどいいぜ・・お前のおかげで水泳を存分すぎるくれえ

楽しむことが出来たぜ・・そのお返し・・・しなきゃな・・」

二人は対峙した  

           新たな死亡者男子18番三浦 宏一【残り18名】



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