36話

「おい!こねぇのか?」男子9番外村 博はまっすぐな目で

女子8番関内 麻子を睨み続けている。

もちろん隙を見せないためでもあるが谷川 秀人の命を奪い、

博を海に突き落としたお返しをしなければなかった。

「うおおおおおおお」

タルワールをなるべく上段の位置で構え突進する・・・。

もちろんこれは頭部を守るためである。

「ヒュッ」ボウガンの矢が迫ってくる・・2本が放たれていた。

1本は胴体に・・もう1本は頭部へと飛んでいったが、

タルワールをしっかり構えそれをガードした。

それと同時に三浦 宏一に刺さっていた矢を抜きそれを麻子へ投げた。

それはもちろんかわされたが、かわした時にはもう外村は

麻子の近くまで迫りタルワールを振りかざしていた。「終わりだな・・」

博が自信ありげにタルワールを振ったがそれは寸前のところで止められた。

麻子はミニナイフを左手に構えていた。

それを片手で・・しかもあきらかにタルワールの方が

強力な刃物である・・・それにもかかわらず、

それを左手で受け止めているのだ。

麻子の目は相変わらず漆黒で口元はにやっと歪んでいるのに

目が笑ってない・・・しかも冷や汗一つかいていないのだ。

博はそこでバックステップする。ボウガンの矢が顔の目の前で空を切った。

顔にピシュっとかすりじわっと血が滲んできた。「くそ!」

しかし博は後退せずその場で麻子の顔にストレートパンチをお見舞した。

麻子の体が吹っ飛び同時に手から

ボウガンとミニナイフがこぼれる・・・。

「ヒャッホー!!」そのままタルワールで体を切り裂こうとした瞬間、

麻子はコルト・ガバメントを取り出し撃ってきた。

「ドンッ」そのまま今度は博の体が吹っ飛んだ。しかしまだ生きていた。

素早く動いている頭を狙うのは関内といえど楽ではないようだ・・。

もちろん胴体を撃たれたぐらいでは防弾チョッキを着ている博は

死ぬはずもない。「っち・・そういや銃を持ってたんだっけな・・」

しかし奴はもう防弾チョッキを着ているのは分かっている・・・。

防弾チョッキを着ていてもその衝撃まで和らげてくれるわけではない・・・

だいぶ隙が出来てしまうのだ・・・。

そこに確実にとどめをさしにくる・・・。

予想通り倒れた博の頭に銃口を向けた。「くっそ!」

博は幸いにもタルワールを手から離してはいなかった。

そのまま回転させながらタルワールを投げ麻子の手から銃を弾く・・・。

「おらぁ」そのまま起き上がり再び殴りかかろうとするも

かわされてしまった。

「何だと?俺のパンチが・・・しかも女にかわされた?」

既に麻子はタルワールを拾っていた。「ヒュッ」博はそれをかわす。

弾かれたコルト・ガバメントもそれほど遠くに飛んではおらず、

麻子はすぐに拾った。「タルワールまで・・・」

こうなればもはやいったん退くしかなかった。

谷川を追い越した関内の足か・・・外村の俊足か・・・

どっちが早いか・・・どっちの意思が強いか・・・

ただそれだけの勝負だった。史上最悪の鬼ごっこのはじまりだった。
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