54話

第二十九章  偽り




男子4番小倉 正輝、女子9番高野 晶、女子10番塚本 舞の3人は

エリアで言えばB-3エリアに潜伏していた。

森林地帯のエリアに隠れても十分有効なのだが

森林地帯に人が密集しているため意外に見落としがちな

北西側のエリアに潜伏することにしたのだ。

正輝が時計に目をやると11時過ぎとあった。

こちらの武器はグレネードランチャー6発・・・

そしてワルサーP38・・

補助武器として暗殺用鋼線と簡易探知モードの

ガダルカナル探知機・・・

そして最大の敵・・津部 拓也と関内 麻子・・

果たして生き残れるだろうか・・。

正輝はひたすらそのことを考えていた。

脱出・・・

本当に・・脱出策があるかは置いといて晶は

やはり生き残れるのかを考えていた。

「さっきまた銃声がいくつもあったわね」

「そうだな・・・」

「津部はマシンガン持ってるけど・・どう立ち向かうつもりよ?」

晶は心配そうに正輝に言う。

「・・・・・・正面からだとグレネードランチャーは

圧倒的に不利だ・・・」

「確かにね・・・・」

それだけ言って2人とも口を閉ざす・・。

舞はワルサーを持って見張りのようだ。

しばらくして今度は晶が紙に何かを書きはじめた。

”ねぇ・・そろそろ教えてくれないのかしら?”

”何をだよ・・”

”このゲームからの脱出方法よ”

それを見てすぐさま答える。

”だから・・今は言えねぇ・・俺らだけになったら教えてやる”

”それって政府に脱出作戦があることをさとられないためよね?

だったらこうして紙に書いて話す上でだったら

別にいいんじゃない?”

正輝はしばらく考えた後舞を呼び出すように言った。

晶は舞を呼び戻しに行った・・・。

少しして舞と晶が戻ってくると・・。

ワルサーをこっちに渡すように言った。

見張りが終わると一旦正輝に銃を返すという

決まりがあったので

それの通りに舞はワルサーを渡した。

”早く教えなさいよ・・・”

晶はそう紙に書いた瞬間正輝は顔を一気に強張らせて

ワルサーをこちらに向けてきた・・・。

時刻は11時12分・・・

その場の時間が止まったような気がした・・・。

晶の装備は暗殺用鋼線と探知機・・

舞は何もない・・・。

2人ともどこか頭の中で予想していた嫌な展開を

今2人は直面して冷や汗をかいている・・・。

「脱出策なんてなぁ・・・初めから無かったよ・・」

ワルサーP38を構えている姿は

とてもゲームに乗ったように思えない悲しい表情・・

やりきれない表情だった・・・。

              【残り10名】



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