62話

麻子は勝利を確信していた・・・

しかし力を失った手で撃ち、放たれた銃弾は

希莉の頭には当たらず地面に当たり乾いた音だけを残した。

「うぶ・・」

その場で血を吐いてしまう・・・

更に腹から血流・・・

これの意味するものは?・・・

麻子の腹には一本の刀が深々と刺さっている・・

そう・・菅原 美琴の支給品だった日本刀である。

希莉は初め日本刀を懐にしのばせていたのである・・。

津部のワルサーが当たった時もしのばせていた日本刀の柄の部分に

当たっていて助かったのである・・。

「残念だったね・・・」

日本刀を持ち引き抜きながら蹴り込む・・。

「あぁ!」

「ぐぷ」

更に血を吐いて後ろ側に仰け反って倒れた。

「ピキッ」

「?」

銃弾に当たってひびが入っていたらしく引き抜いた瞬間に

亀裂がさらに走る。

一方麻子はよろよろと起き上がる・・。

まだ意識があるようだ。

手にはまだスミス&ウエッソンが握られている。

「・・・・あ・・うあ・・」

そのトリガーに手を掛ける・・・。

「あたしはねぇ・・・こんなことで死なないよ・・

美琴を殺した奴を殺すまでね・・・」

さっきから麻子は手に力を掛けるが思うようにトリガーを引けない・・。

「な・・んで・・?・・私は優勝するんじゃ無かったの・・・?

・・・そんなの・・あああああああ」

しかしここで希莉は日本刀を思いっきりスイングする・・。

その攻撃そのものは空振りであるが

亀裂が更に走りその形状を維持できなくなった日本刀は

真っ二つに分断し先端部分だけが飛んでいく・・。

その刃がサイレンサーに当たり弾いた。

「あんた・・・美琴を殺した?」

それを聞き麻子は必死に首を横に振った・・。

漆黒だった瞳に輝きが失われる・・・。

「そう・・か・・嘘はついてない・・か・・とすると津部か・・」

しかし一瞬の隙を突き麻子はレイピアを取り出し

「あああああああああ」

希莉に向かって突進し突き刺してきた。

それを希莉は腰を低くしかわした・・・。

そして残りの日本刀でレイピアをも弾き

空中に浮かんだレイピアをキャッチする・・。

「でも・・・あんたは死ぬしかないんだよ」

その体制のままレイピアを麻子に向けて突き刺した・・。

「ズン」

という音と共にレイピアが丸々貫通した左目と後ろ側から

夥しい血が流れる・・。

漆黒の瞳は完全に堕ちていた・・・。

数秒間の間だけもがいて直立不動のままばたばたしていたが

やがて力を失いその場にばたりと倒れこむ・・・。

希莉は一息つき小倉の死体を見る・・。

「・・・・」

特に変哲も無い・・・このゲームが始まってから何人も

このように頭を撃ちぬかれその箇所から血液や灰色のゼリー状のような

脳らしきものも飛び出た死体である・・・。

何故か希莉は小倉の荷物を調べだした・・・。

「・・・・やっぱり・・・か」

何かの紙切れを見つけた希莉はそれをポケットにしまうと

サイレンサー付スミス&ウエッソンとレイピア・・

ショットガンとベレッタを持ち直しその場を離れた・・。

  新たな死亡者女子8番関内 麻子【残り6名】



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