63話

第32章  強い意志



時刻は午後3時20分・・・

昼の放送が掛かってから3時間以上経った・・・。

男子16番柊 淳と女子6番沢近 愛理、

そして男子19番雪村 司は

森林地帯・・・

エリアで言えばE-8に潜んでいた。

「・・・・島村達も殺された・・・

これからどうすれば・・」

「・・・そうだな・・・しかも放送の直後にまた

何発か銃声が聞こえてる・・・

もしかしたら残ってるのは俺らだけかもな・・」

島村達と一応・・希莉を捜索していた

3人は昼の放送を聞き

諦めて森に身を潜ませることにしたのだ。

3人はさすがに疲労の色が隠せない・・・。

淳も司も体力がある方ではない・・。

ましてや愛理など元々令嬢なのだ。

怪我をして平然といられるわけが無い・・・。

ゲームが開始してから40時間近くが経っている・・。

「・・いや・・それも考えられなくないけど少なくとも

俺らだけってのは無いと思う・・・

その場合政府側としちゃこのままゲームが進まないのは

溜まったものじゃないから

何かしらの処置をとるはずなんだ・・・

それがないってことは俺らを殺してくれる人物が

まだ生きてるってことだろ?」

「・・・津部拓也ね?」

愛理の問いかけに淳はコクリと頭を傾ける。

「いや・・もしかしたら関内かもしれないけどね・・

少なくともどちらかが残ってる可能性が高い」

「・・・なぁ・・小柴の可能性は無いのか?」

「それも・・考えられるし・・実際あの銃声が聞こえただけで

誰も死んでないって可能性もまだある」

「・・・でも・・どうするのよ?」

「え?」

淳は愛理の問いかけに反応する・・

それは司も同じことだ。

「・・・脱出策は・・・まだ分からない・・・

いや・・・もう無いのかもしれない・・・

どうにも出来ないのかもしれない・・・

それは変わらない事実じゃないかな?」

愛理は身を乗り出す・・・。

「それは!!!・・・確かにそうだけど・・」

「どっちにしろ6時になったら全てが決まるぞ?

残ってるのが俺らだけなのかそうじゃないのか・・

それによってやることも変わってくるだろ?」

司が2人に諭す。

それには2人も納得した。

と次の瞬間茂みから何かが飛んできた・・。

「ドッ」

司はそれにいち早く感づき

「伏せろ!」

そう言い自分も伏せる・・。

飛んできたのはサバイバルナイフだった・・。

司の後ろに生えていた木に突き刺さっている。

次の瞬間木の枝につかまってぶら下がった状態のまま

左手にデザートイーグルの津部がいた。

「な?」

瞬時に対応してたのは意外にも愛理だった。

「ボサっとしてないで銃あるでしょ!応戦しなさいよ!」

そう言いながら自分はウォーターガンで津部の手に発射する。

中に何が入ってるのか津部にも分かったようで捕まえていた手を離し

地面に着地した・・。

どうやらさっきの希莉との戦闘で

高いところが有利と睨んだようだった。

「何やってんだ!!!」

司がボウッとしていた淳の手からCz.75を

奪い津部に狙いを付ける・・。

「てめぇは愛理を守るんじゃなかったのかよ!!!

守られてるんじゃねーよ!!!」

その言葉に淳はハッとなった。

~俺が・・・守る?誰を?目の前にいる・・・・・沢近さん・・・~

「ドン」

Cz.75の銃弾が津部の頬を掠めた。

「ちくしょう!!こっちは銃1丁だぞ!!

あいつは武器を沢山持ってるんだ・・

どうしろってんだよ!!」

その時淳が動き出す・・。

「2人ともこっち!!!!

後それ貸して!!」

司の手からCz.75を奪い返し牽制で打ち続ける

「ドンドンッドドン」

「お・・おい!」

司が一瞬うろたえたが・・。

「いいからここに走って!」

その淳の気迫に司は返事をする。

「お・・おう」

「早く!!」

何やら紙に書かれた場所に行くよう命じると

再び津部の方を睨んだ。

(もう戻れない・・ずっと俺は弱かった・・

でも今はそんなこと関係ない・・・

沢近 愛理を・・・俺が大好きになった彼女を守る!!)

【残り6名】



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