71話

第三十七章  真実



ここは役場・・・つまりプログラム本部である・・

優勝者・・女子6番沢近 愛理は

優勝者指定部屋と呼ばれる部屋で待機をしていた・・。

現在の時刻は夜中の12時を回っている・・

首には本部に帰って来た時に既に外されて首周りがすっきりしている・・。

いつまで待機していればいいのだろうか・・

すると静かにドアが開いた。

入ってきたのは亜紅間である・・。

愛理はこの最悪なゲームに放り込んだこの男をを凝視し睨む・・。

「いえいえ・・そんな目を吊り上げないでくださいね・・

さて・・」

そう言って腰掛ける・・。

「まずは優勝おめでとうございます・・

”やはり”あなたが優勝しましたか・・」

「?」

「どういう・・ことですか?」

何故今この男は自分が優勝すると最初から睨んでいたのだろう・・

それが知りたかった・・。

「実はプログラムにはトトカルチョってものがあるのですよ・・

政府のお偉いさんがあなた達の中で

誰が優勝しそうか賭け事をするんです・・

本来私は小柴さんに掛けてたんですよ・・

途中からあなたに変更しましたがね」

こんなことまで・・そう思いつつ拳を握っていた。

「それが何故か・・あなたはただのお嬢様・・

ってわけではないんですよ・・」

それに対してピクリと反応する。

「あなたがここに転校してきた理由ですが・・

去年のプログラムにおいて・・あなたの兄・・

沢近 誠人(さわちか まこと)が見事優勝を果たしています・・。

その原因はあなたの父親にありますねぇ・・

父は元軍人・・なんですね・・

そしてあなたの父はプログラムに巻き込まれたとしても

すぐさま対応できるように

基本的な戦闘術、格闘能力、銃に関する知識や撃ち方・・

つまり生き残るために必要であることを

叩き込まれていたのですよ・・。

それはこっちで調べがついてるので・・」

そう言いながら資料をテーブルの上に並べていく・・

その中には今プログラムにおいての

生徒達の行動記録と記されたものもあった。

「兄が優勝しこの町に越してきている・・当然兄想いのあなたは

この町への急な転校をしてきていた・・

そしてプログラム・・こんな感じでしょうね

・・・まぁ最後の最後まで裏切り行為なんてのに走らなかったんで

その辺は勝手に死んでくれた雪村君に感謝といったところですか・・」

本気になれば優勝も出来たかもしれない・・それが

亜紅間が愛理を過大評価している要員であった。

「んで・・その感謝している雪村君なんですが・・・

何故か・・

死体がまだ見つかってないんですよね・・

雪村君が死んだあとあなたが埋葬したにしろ

それだと小柴さんも埋葬しててもおかしくないのに

小柴さんは埋葬してなかった・・・

つまり死体が死んでからまた動き出したとでも言わないかのような

感じなんですよ・・

・・そういや・・柊君の死体も今のところまだ見つかってないって

報告がありましたね・・・」

「何が・・言いたいんですか?」

「いえ・・別に・・

そういや・・高野さんのハッキングはすごかったですね・・

首輪の盗聴のことまでハッキングされちゃいましたし・・

・・!

ああそうそう・・言ってませんでしたね・・

実はあの首輪には小型のマイクが内蔵されていて

会話も丸聞こえなんですよ」

・・・・・静寂・・・

そしてその何拍か後に再び亜紅間は口を開いた。

「・・・矢張り私の考えすぎですかね・・?

そろそろ島を出ましょうか・・・もうじきここには

毒ガスがまかれるわけですし」

「毒ガス?」

「えぇ・・いや何・・新しい実験の一環なんですよ・・」

大東亜共和国では軍で実験することは色々で毒ガスの散布が

実験の一環と言ってしまうのも無理が無いわけではなかった。

「それにしても・・・小倉君はすごかった・・」

「え?」

「だってですね・・・」

愛理はギクっとした・・。

亜紅間の手には元々児玉 優の支給武器になるはずだった

MP5Kが握られている・・高性能のサブマシンガンである。

「本当に脱出の手段を知っていたのですからね・・」

そのサブマシンガンは自分に対して向けられている。

愛理は舌打ちした。

「小倉君はコンピュータに優れた知識を持ってましてね・・・

首輪の情報も簡単にハッキングされてましたよ・・」

そのMP5Kはいまだ愛理に向けられていた。




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