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思った以上に、じんわりといい映画でした。
好きな役者さんが出てるのに劇場にいけなかったので、
先日割安でDVD購入、ゆっくりと鑑賞。
東南角部屋二階の女
(2008年日本)
監督:池田千尋
脚本:大石三知子
あらすじ
亡き父の多大な借金を背負った野上( 西島秀俊
)。
一気に借金を返済し起死回生を図ろうと、
祖父・友次郎( 高橋昌也
)の土地売却を思い立つ。
まだ売却が決まったわけでもないのに、会社は辞めるわ、
見合いはするわと、先走った行動をとった後、
敷地内に建つ古アパートに入居。祖父の説得にかかるのだが、
なぜか祖父は固く口を閉ざしたまま、首を縦に振ろうとはしない。
野上の会社の後輩で、クレーム対応の毎日に
心身ともに疲弊しきっていた三崎( 加瀬亮
)。
もう限界と思っていた矢先、野上の退職を知り、
後を追うように辞表を出す。会社を辞めたことで
恋人( 大谷英子
)から部屋を追い出され同じアパートに転がり込んできた。
ハードな割にギャラの安いフリーの仕事に空しさを感じ、
将来に不安を抱いていた涼子( 竹花梓
)。
住んでいたアパートの更新料が払えず、野上たちのアパートに飛び込んでくる。
サラリーマンと結婚すれば不安が解消できると考え、
見合いをした相手が野上だった。
野上も、三崎も、涼子も、自分自身の問題を解決するのに必死で、
およそ他人を思いやる気持ちなど持ち合わせていない。
他人とのコミュニケーションも苦手である。
そんな自己中心、
他者不在の生き方で壁を突破できずにいる3人。
だが、古アパートのオーナーで居酒屋を経営する藤子( 香川京子
)や、
藤子の店の常連で畳屋のロク( 塩見三省
)という、
今まで近づく機会さえなかった大人たちと知り合ってから、
狭い世界しか見えていなかった視野がだんだんと開かれていく・・・・
はじめは、
西島秀俊・加瀬亮と好きな役者さんが出るけど
随分若い監督さんだな・・・
ありがちな、淡々とした映画かな??
という、ちょっと不安もあったんですが、、、、
もう、なんたって、、、、
香川京子さんがめちゃめちゃ良かったっ
鍵がなくてずっとしまったままの、二階の部屋。
台風で雨戸が吹っ飛んで、部屋が水浸しになったことで
見つかった、和ダンス、そしてその中に大切にしまわれていた着物。
そのエピソードが、物語の中で大きく動く部分、と言えますが
それまでどこか無気力で投げやりな3人が綺麗にした部屋に
その着物が広げてかけてあって
それを見た藤子が、小さく
あ・・・・・
と、声を上げるところ。
正直、泣きそうになりました。
藤子と友次郎の過去は、戦争の時代であり
ままならないお互いの気持ちを、おそらく秘めたまま、
多くを語らない中にしっかりと繋がっているものがあって
本当にじわーーっと心に広がりました。
友次郎の高橋昌也さんは、ほとんど話さない。
すごいんです。
何かやはり、若輩者にはわからない、超えられない
時間の重さ、みたいなものがあって
いやーーー、良かったんです。
あと、私的に好きなのは、
余計な恋愛描写がないこと。
野上、三崎、涼子は、もともとの繋がりが深くない上、
それぞれが中途半端で心に抱えてるものがあるから
ここに下手な恋愛描写がなくて当然なんだけど
この3人の微妙な繋がりが、私には気持ちが良かった。
付かず離れずだけど、友情に近いような、
合宿所にいるような、でもそれぞれの世界もある、
という関係が潔くて好き。
あまり深すぎない関係だからこそ、悩みや不満を打ち明けたり
気楽に思ったことをアドバイスできちゃう距離感。
色々進退を考えた結果、三崎は自分の思いを確かめに
アフリカへ旅立つけれども、それは湿っぽくならずに
おそらく他の皆は頑張って来いよ、って送り出したんでしょう。
橋の上で電話をかける三崎は、やはり確実に成長していました。
見た後に、いくつかの映画評を見たんだけど、
この監督さん、当時27歳!!!!
メイキングで、カメラマンさん他自分より年長のスタッフや
キャストに囲まれて、話し合いながらより良い方向を目指し、
それでも一番芯の部分はぶれることなく作り上げた、
という感じがあって、すごく驚きました。
キャストインタビューで、西島秀俊・加瀬亮ともに、
映画の好きな人たちが、少ない人数で試行錯誤しながらも
みんなで作り上げていく感じ、控え室でキャストが一緒にご飯を食べる規模、
とにかく幸せな現場だった、と
口をそろえて言っていましたが、
そこにベテランの味のありまくりの役者さんたちが加わって
本当に規模は小さいながらもじわっとくる映画に出来上がってる、
と感じますね。
また違った目線、描き方が本当に面白いな、と思います。
ちょっと前向きになりたいとき、
なかなかおススメの作品でした。
MINAMATA 2021.10.02
切なかったベル・カント 2020.02.24