メートル・ド・テル徒然草

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エルネスト1969

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Jul 21, 2005
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 はっきり言いますが、メートル・ド・テルに限らず、ソムリエなどフランス料理店のサーヴィスマンは結構モテます。もちろん接客業として他人に好感をもたれるように振る舞う事こそ、サーヴィスマンとはその値うちがあるというものではありますが、実はその他にも心理的な要因が働くこともあるのです。

 そもそもフランス料理店というのは緊張を伴う場所でもあります。
 飲食業の他の業態に比較してみても緊張感の度合いが高いことも、あえて豪華ななしつらえが施され敷居が高く感じられるように作られているような場所もあります。しょっちゅう足を運ぶようなことも無い未知の空間に対しての不安感でもあるでしょうし、フランス料理店の雰囲気に慣れないという要素もあります。
 高級フランス料理店に足を運び、緊張した心理の時にメートル・ド・テル、ソムリエなどのサーヴィスマンに迎えられ、彼等のいでたちも黒のタキシードに蝶ネクタイといった非日常的なものだったりします。もちろん、本来ハレの場とはそこそこ緊張感を伴うものですから、それを楽しみにドレスアップして来店されるお客様もいらっしゃるのも確かだといえます。

 で、人間、どういう形であれ緊張を覚えると心拍数が上がりドキドキします。この体の反応というのは怒り、驚き、あるいは恋愛の過程においても同様に見られます。ということは感情の要因は様々であっても、身体が示す反応は非常に良く似ていて、このとき状況を脳で判断して、なぜ興奮しているのかを理由付けするのだそうです。そのため人間は心理学的に見るとドキドキする緊張感を感じた時、傍にいる人に好意を覚えてしまう、というようなすりかえを行うことがままあるそうです。
 映画「タイタニック」で見られるヒロインのように、豪華客船での船旅で、全く違った世界に住む男性と出会い、ましてやその船が沈んでしまうといった緊張感溢れるアクシデントが無かったのなら、あれほど激しい恋に落ちることは無かったと言えるかもしれません。
 つまり他の理由であれ、気持ちの高ぶった状態の方に接するとそれは自らが好意があるからだと、脳が錯覚しようとするのです。こういった様子を心理学では「情動二要因理論」と言うのだそうで、これがサーヴィスマンがモテると言い切った秘密であると言えます。

 もともとレストラン、特に高級フランス料理店と呼ばれる場所は気持ちが高ぶるようにシチュエーションが設定されていますので、好意を持った時の心の針の振れ方は大きいのです。だから、恋人同士はレストランを利用しますし、我々サーヴィスマンが注意せねばならないのは、逆に不快な印象を与えるとそのマイナス面も大きいのです。





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Last updated  Jul 22, 2005 03:02:03 AM
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背番号のないエースG @ チョコレート 「風の子サッちゃん」 ~ Tiny Poem ~…
坂東太郎G @ 「辛味調味料」そして考察(01/16) 「石垣の塩」に、上記の内容について記載…
エルネスト1969@ Re[1]:ホスピタリティは「人」ありき(10/04) はな。さんへ コメントありがとうございま…

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