メートル・ド・テル徒然草

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エルネスト1969

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Aug 3, 2005
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 現代では古くからの形式に囚われることなく、レストランによって様々なサーヴィスのスタイルが提案されています。料理は左から出して右から下げるというのは、古くからの基本でもありますが、現代では様々な方法を取ることもあります。

 あるレストランでは、料理を提供するときに、メートル・ド・テル他のサーヴィススタッフが右手と左手にそれぞれ1枚づつ、料理の乗ったお皿を持ちます。その状態で2人づつのお客様の間に立って、両方のお皿を同時に下ろして料理を提供するというものです。
 下げる時も同様にお客様の間に立って右手と左手で左右のお客様の皿を掴み、2枚の皿を同時に下げる。

 我々から見ても非常に横着なような気もします。しかし、このサーヴィススタイルはパリ16区のレストラン、「アストランス」において行われているサーヴィスのスタイルです。アストランスのシェフ、パスカル・バルボはアラン・パッサールのレストラン「アルページュ」にてスー・シェフを勤め、現在パリのレストランでは最も予約を取るのが難しいレストランと言われ、ミシュランにおいても一ツ星を獲得しています。
 このサーヴィスの模様はパスカル・バルボシェフが来日してフェアを開催した際に見たものです。シェフと一緒に訪れていたメートル・ドテル、クリストフ・ロワール氏に尋ねてみたところ、お客様は平等だから同時に料理を出すのだということ。もうひとつの理由は新進気鋭のレストランの個性を打ちだすための演出を心掛けているという事でした。

 これとはまた対照的なのが、パリの三ツ星レストラン「タイユヴァン」。サーヴィスの質の高さは世界一を誇ると言われ、日本でも名を馳せるレストランです。
タイユヴァンではお客様のテーブルから下げるお皿は一回に一枚づつと決められています。左手に何枚も重ねたり、両手が塞がるような下げ方はしないとの事。
 例えば4名様のお客様がテーブルを囲んでいるとして、メインが終わるとメインのお皿を片付けます。上席のお客様のお皿から一枚ひいて、サイドテーブルへ運び、次のお客様のお皿を一枚ひいてサイドテーブルへ運ぶ。最後のパン皿まで必ず一枚づつ下げることを徹底されているそうです。サーヴィスのスタッフはテーブルとサイドテーブルの間を何往復もすることになります。

 私の先輩がパリの星付きのレストランへ訪れた時の話です。食事を終えて一服しようと食後のシガーを注文しました。星付きのレストランですから当然シガーも豊富に揃えています。シガーは高級レストランではサーヴィスマンが点火して渡してくれます。シガーは吸い口をカットし、マッチで点火するのですが、シガーの保管はよい状態を保つため、ワインと同じく70%から80%の湿度に保たれています。そのためなかなか火が着きにくい事もあります。



 その時のサーヴィスマンは、点火口に軽く火を着けると、おもむろに火の着いた先端ををパクッとくわえたそうです。そして息を吹き込んでフゥ‐。口から取りだした葉巻は見事に着火されていました。

「シルブプレー、ムッシュー」

…シルブプレー、っていわれてもなぁ。。。





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Last updated  Aug 5, 2005 12:10:08 AM
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Comments

背番号のないエースG @ チョコレート 「風の子サッちゃん」 ~ Tiny Poem ~…
坂東太郎G @ 「辛味調味料」そして考察(01/16) 「石垣の塩」に、上記の内容について記載…
エルネスト1969@ Re[1]:ホスピタリティは「人」ありき(10/04) はな。さんへ コメントありがとうございま…

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