メートル・ド・テル徒然草

PR

Profile

エルネスト1969

エルネスト1969

Calendar

Oct 10, 2005
XML
 とあるお好み焼き屋さんでの話。私が訪れたその日はいつになく混んでいました。人手も足りないのか従業員のお姉さんはバタバタ、こっちは食べたいものが決まったので、手を上げて「注文おねがいしま~ス。」

「はぁ~い。」
飛んできたお姉さん。顔は笑っているのですが、なぜか私達の目の前で、やおら手に持っていたスリッパを自分の靴と履き替えてそのまま去っていってしまいました。

…かなりパニくってたんでしょうね。

 忙しくなってきたところに、何か失敗をかましたりすると人は皆焦ります。どうしよう、どうしようと言う気持ちが先に立って、視野が極端に狭くなります。ウロがくるとか、パニックになるという状態ですね。

 レストランはあくまでもお客様のペースに合わせないといけませんから、一気にオーダーが通ったりするとスタッフは焦ります。もちろん、お客様にその雰囲気を伝えてしまってはいけないんですが。

 私も若い頃はキッチンで働いてましたので、よく忙しくなった上に叱られたりすると、しょっちゅうパニックになっていました。レストランのスタッフでもパニくりだすと不可解な行動を起こす事がよくあります。よく見られる例として、

 無闇に冷蔵庫を開ける、でも何も取る必要のあるものはない

 パントリーへ何かを取りに行く。でも、何も持って帰ってこない…

 などなど、その他私の場合は極度に緊張すると眠くなる。本当なんですよ。何故か急に眠気が来て、あくびが出る。気分は緊張のピークなんですが、いわゆる「逃避行動」なんでしょうか。

先輩なり上司なりは
「ちゃんとせんかい!」
って怒鳴ったりもするんですが、怒ったところでちゃんとなった事はないです。

溺れてる人に「溺れるなぁ!」と声をかけるようなもの。
溺れる前にちゃんと泳ぎ方を教えておかないといけなかったのです。

 こういった事が起こるのは、スタッフ本人の予測と準備が足りなかったから。そして、経験の不足です。
 もちろん、部下を追い詰めること、何回かパニックにならせる事もあえて大事な事だと思います。入ったばかりのペエペエでも何年か続ければ先輩になる訳ですから、未来の後輩に教える為にもしんどい経験が必要なのです。

 この経験の内の何割かはこうやって何回かパニックになった上で、「予測できなかった事」が「現実に経験した事」に変化した結果、次回は失敗しないようになる事でもあります。

 部下に100の仕事を期待するなら、ホントは一番最初から150くらいの物事を教えておかないといけません。ちょっとコイツには難しいかな?って思えるくらいの水準の事を。


 すると、教える側の人間は150の物事を教えるために、200の引き出しを持っておかないといけなくなります。
 自らが好むと好まざるに関わらず、誰かよりも上位の立場の人間は、部下よりも研鑽しておかないといけない。それが部下に対する「サービス」なんですね。

(つづく)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Oct 11, 2005 10:26:40 AM
コメント(2) | コメントを書く
[サーヴィスの理論と哲学] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

Comments

背番号のないエースG @ チョコレート 「風の子サッちゃん」 ~ Tiny Poem ~…
坂東太郎G @ 「辛味調味料」そして考察(01/16) 「石垣の塩」に、上記の内容について記載…
エルネスト1969@ Re[1]:ホスピタリティは「人」ありき(10/04) はな。さんへ コメントありがとうございま…

Favorite Blog

料理研究 『一輩子 … 四方よし通信さん

湘南フレンチ奮闘記 rannboさん
健康になるレストラン ローズシェフさん
アッシュ君の部屋 musigny0209さん
Cool Style piyopiyoyoさん

Keyword Search

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.

Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: