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2011年04月13日
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翌朝、私はフローレンの案内で地下鉄のウエスト・ケンジントン駅まで行きそこから地下鉄に乗った。(地下鉄と言ってもロンドンの西外れにあるこの駅は地上の駅だった。)

目の前の大通りを赤い2階建てのバスが交通混雑の中を何台も連なって通り過ぎて行き、そして歩道は行き交う買い物客や観光客でごった返していた。
フローレンは、駅を出たすぐ左側に私が目指す英語学校の看板を確かめると、「イッツ・ヒアー、オフ・ユーゴー・ゼン・アイム・ゴーイング・トゥ・ワーク・ナウ、シー・ユー・レイター」(ここだわ、じゃあ行きなさい、私は今から仕事に行くから、後でね)と言って人ごみに消えてしまった。
私は、彼女は学校の中までついて来てくれるものと思っていたので、正直言って「えっ?」としばし呆然としていた。
しかし、それはこちらが勝手に想像していただけで、事実彼女が仕事前に西も東も分からない私を地下鉄の乗り方を教えてここまで連れて来てくれ、その上に語学学校の場所を確かめてくれたただけで大感謝だった。
ここからは一人なんだ、と気を取り直して学校の入り口の階段を上り、沢山の人が忙しそうに行ったり来たりしている2階の受付の前に立った。
受付の女性は、もちろんこのアジア人がここに何しに来たかは分かっているので、私の名前を聞いて手に持っていたリストと照合した後、私を年配の先生のところに連れて行った。
先生は、私の前に本を開いて絵が描かれたページを見せ「この絵の中に描かれていることを何でも私に伝えてください。」(もちろん、こんなにすらすらと彼女の言っている事が簡単に解るなら私がここにいる必要は無いのだが)みたいなことを言われたので、私は言われた通り「う~ん、マン・リード・ニュースペーパー、アンド、アイ・シー・キャット・ランニング」みたいなことを答えた。

正直言って、これは何か自分が思っていたよりも英語が出来たみたいで嬉しかった。(後で他の日本人の学生に聞いたところ、通常日本人は読み書きが出来るので話が出来なくても自分のレベルよりも高いところに行かされて苦労をするそうである。)
そんな事とは知らずに案内された教室に入ると、そこには既に5~6人の生徒が部屋の中心に並べられた机の周りに座っていた。
私は、以前にも書いたように、この値段が高い私立学校にはビザの関係上1ヶ月間だけ通い、9月からはフローレンが教えてくれた公立の語学学校に行く事になっていた。
もちろん30年以上も前のことなのでこの学校のことは殆ど覚えていないが、この時の先生はなんとなく若くて威厳が無く単にアルバイトとして教えに来ているといった感じだった。
無論このクラスの生徒は短期の留学生だったので、先生のほうからも余り腰をすえて教えられるタイプのクラスではなかったことは認めるが、このクラスでの勉強の意味は殆ど無かったと言える。
しかし、このクラスは私にとって全くの無駄ではなかった。
このクラスには、私がロンドンに来て初めてフローレン以外の友達が出来たのだった。





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最終更新日  2011年04月13日 22時34分26秒
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