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強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く…。しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる苛酷な現実。人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。犯罪加害者の家族を真正面から描き切り、感動を呼んだ不朽の名作。 ◆◇◆◇◆◇◆今日は、久々にゆっくりのんびりできる休日です。なので、久々に読書感想日記をUPします『手紙』は、山田孝之くん主演で映画にもなりましたし、東野さんの代表作ともいえる作品ですよね。お得意のミステリーではないのですが、一気に読ませる、ぐいぐい引き込む描写は健在。人生って何?家族って?兄弟って?仕事って?差別って?いろいろと考えさせられる作品ですね。加害者は、間接的に第二、第三の被害者をつくってしまった。それに気付いた時、本当の償いが始まると言うことでしょうか。最後のシーンは、確かに感動的・・・。それにもまして、いろいろな登場人物がいて、キャラ設定の面白さを感じました。映画では、どういう風に描かれているのかな。録画までしたんですが、なかなか観る時間が無くて、結局消しちゃったんですよね。(←バカまた、TV放映されたら、今度こそ観てやるぞー送料無料!映画『手紙』プレミアム版
2009年04月17日
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日中台の係争地、尖閣諸島・魚釣島に不審な人影が。警告に赴いた海上保安庁チームと中国大使館員が惨殺され、過激な武装集団の存在が浮かびあがる。日本はあの特殊部隊を派遣するが!?◆◇◆◇◆◇◆『神はサイコロを振らない』の大石氏の軍事物です。と言うか、軍事物、戦闘物を多く書かれてるんですね。軍事物は難しそうなので、少し苦手な感があったのですが、なかなか読み応えがあって面白かったですよ。『神は―』や『ぼくらはみんな、ここにいる』の中で、自衛隊や警察が登場するシーンの詳細な描写は、ここからつながってるのかと、ひとり納得しました。小さな島での戦闘物語なのですが、双方のエゴで何十(?)人と負傷者や死者が出ます。領土問題が根底にあり、不法占拠はいつ起こっても不思議ではなく、もはや対岸の火事では無いのですね。戦闘シーンや、作戦を練るシーンでの心理描写がうまく、ハラハラ・ドキドキしましたが、非常に考えさせられる物語です。女性リーダー率いる特殊部隊とか、接近戦闘シーンも魅力的ではありましたが、やっぱり私は、『神は―』の方が好きかな。またそういう感じの作品を読んでみたいですね
2009年02月17日
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直人と直也が、超能力研究所で過ごした歳月は15年。この施設を囲む深い森から出ることを許されなかった二人にとって、森は憎い存在であると同時に、自分たちを育ててくれた大切な存在でもあった。彼らがこの地で体験した不可思議な事件と、森を脱出した二人が再度この地を訪れたときのエピソード3編を収録。 DEEP FOREST1 直人十九歳、直也十三歳 夏/DEEP FOREST2 直人二十二歳、直也十六歳 秋/DEEP FOREST3 最終章 ◆◇◆◇◆◇◆久しぶりの『NIGHT HEAD』シリーズです。言わずと知れた(?)超能力兄弟の物語。アニメにもなったけど、それほど盛り上がらなかったな。絵があんまり好みじゃなかったから見なかったし。やっぱり小説の方が深みがあって面白いから。この本では、それぞれの章で二人の成長ぶりを描いていますね。超能力に対してとか、対人関係とか。兄弟それぞれの役割とか。どの章も読み応えはありましたけど、私も以前ほど熱狂的ではないので、以外にあっさり読んじゃいました。『NIGHT HEAD』は全体的に暗いからね。同じ超能力者系でも、もうちょっと明るくて楽しい感じの方が、今は好きなのかも。相変わらず熱しやすく冷めやすい私です・・・ハハハ
2009年02月08日
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夜な夜な江戸市中に出没する辻斬り「かまいたち」。町医者の娘おようは、夜おそく父を迎えに出て、かまいたちに出会ってしまう。長屋の向かいに越してきた目つきの鋭い男新吉は、目撃者のおようを追ってきたかまいたちなのか?あっと驚くどんでんがえしの表題作「かまいたち」ほか、全4編収録。人気の「霊験お初」をはじめ、魅力あふれる少年少女が活躍する、時代小説の世界へようこそ。小学上級から。 かまいたち/師走の客/迷い鳩/騒ぐ刀 ◆◇◆◇◆◇◆小学高学年向けの青い鳥文庫シリーズの『かまいたち』を読みました。ヤッチにも読んでもらおうと思って借りたんですけどね、見向きもしなかった今、ヤッチは『バッテリー』を読んでる途中だからかも知れないけど。『かまいたち』の中の後編2作は、前に読んだ『震える岩』の霊験お初シリーズの最初の作品になるのですね。この作品には次兄の直次が登場していたのですが、『震える岩』には出てこないのでちょっと残念。なかなかな男前で良い動きをするキャラなんですけどね。ワンピースで例えるなら、サンジみたいな?ま、それは置いといて、青い鳥文庫は子供向けだから、ふりがなとか注釈があるんですが、やっぱり最初鬱陶しかったですね。でも、読み進める内に面白くて気にならなくなってましたよ。逆に漢字の読み方とか、歴史のお勉強になったかもお初の話も面白かったけど、最初の「かまいたち」も良かったですね。ちょっぴりぞくっとして、最後にはホワンと暖かい感じで終わる。優しいお話でした。やっぱり宮部みゆき作品は安心して読めますね。小学生が読んでもまったく問題なし面白いからヤッチにもいつか読んでもらいたいな
2009年01月27日
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いつもの暮らしのそこここに、ひっそり開いた異世界への扉―公園の砂場で拾った「雛型」との不思議なラブ・ストーリーを描く表題作ほか、奇妙で、ユーモラスで、どこか哀しい、四つの幻想譚。芥川賞作家の初めての短篇集。 物語が、始まる/トカゲ/婆/墓を探す◆◇◆◇◆◇◆すごーく不思議な世界観。まったりゆったりしたパラレルワールド。川上弘美さんの作品は、初めて読んだんですけど、独特の世界観がありますよね。面白いのか、怖いのか、なんとなくエッチな感じもするし。「婆」なんか、ちょっと宮崎駿の「千と千尋―」を連想しちゃった。「墓を探す」は、生きてるのか死んでるのかって、ホラー色強し。うん、嫌いじゃないです。急いで次を読みたいって感じではないんですけど、機会があったら他の作品も読んでみたいなぐらい!?この柔らかい感じのシュールさは、なんか癖になりそうですよ
2009年01月22日
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全国大会での優勝経験もある、光が丘中学校吹奏楽部の夏の合宿先に選ばれたのは、神主島という、島原半島のほど近くに浮かぶ小さな島だった。しかし、この島で充実した合宿生活を送るはずだった彼らを待ち受けていたものは…。壮大な運命に立ち向かう少年少女たちを描いた、著者渾身の感動巨篇。◆◇◆◇◆◇◆面白かったですね~夏合宿で神主島に訪れた光が丘中学校吹奏楽部が、島ごと400年前の島原半島沖にタイムスリップしてしまうお話。時はまさに、島原の乱直前の江戸時代。疫病の流行やキリシタン弾圧と、歴史のお勉強にもなりました。多少強引な設定もありましたが、おとぎ話、いわゆるファンタジーですから、良しとしましょう。『神はサイコロを振らない』も面白かったですけど、私はこの『ぼくらは―』の方が好きかな。飽食の時代に慣れた大人達、子供達が、互いに勇気と知恵を振り絞って一生懸命生きる姿には、感動しましたし。『神は―』と同じように、突然、家族と離れ離れになる設定は、この方のテーマなのかもしれません。時間や物、家族を大切にしようとか、協力し合うとか、メッセージ性がありますね。タイムスリップ、タイムトラベル・・・遠い遠い未来、いつか現実になる日が来るのかな
2008年11月01日
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(※画像無し)世界が私たちに恋をした―。別に一緒に暮らさなくても、二人がたどる道はいつも家路で、二人がいる所はどこでも家だ…。互いでしか癒せない孤独を抱え、剥き出しの世界へと歩き始めた恋人たちの旅立ちを描く。限りない清らかさと生きることの痛みに彩られた静謐な愛の物語。◆◇◆◇◆◇◆まったりした感じの物語でしたね。家が隣同士の幼馴染の二人が、お互いに18歳という若さで結婚する。でも、幼い頃からずっと一緒にいながらも、それぞれの心の内を本当はよくわかっていなかった。二度の旅行を通して、二人が一緒にいる必然性が、成長のため、または心の傷を癒すためだということを、お互いに確認していく。まったりしながらも、複雑な家庭環境や最愛の犬の死など、ちょっとドキッとするような事件が起こる。二人はそれを少しずつ前向きに乗り越えていく―。この作品は、好き嫌いがはっきり分かれそうですね。物語の設定上しょうがないんでしょうけど、キャラにあまり魅力を感じなくて感情移入ができなかったかな。私にはイマイチで残念でしたが、まったりと癒されたい人にはおススメかも?
2008年10月21日
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かつて、忽然と消息を絶った報和航空四〇二便YS‐11機が突如、羽田空港に帰還した。しかし六十八名の乗員乗客にとって、時計の針は十年前を指したまま…。戸惑いながらも再会を喜ぶ彼らと、その家族を待ち受けていた運命とは―。歳月を超えて実現した愛と奇跡の物語。 ◆◇◆◇◆◇◆宮崎空港を発った旅客機が、御前崎沖で消息不明になり、大々的に付近を捜索したにもかかわらず、遺体どころか機体の破片も遺品すらも見つからなかった。そして二ヵ月後、全捜索が打ち切られ、乗員乗客全員の死亡が確定。しかし、その10年後、機体も乗員乗客も10年前のまま、突如として羽田空港に姿を現し、その三日後には永遠に姿を消す。小林聡美さん主演で、ドラマにもなりましたね。面白くてよく観てました。ドラマとは、登場人物やエピソードが若干異なりますが、原作の方がより切実に、それぞれの稀有な出来事を描いています。旅客機が戻ってきてからの嵐のような4日間を、乗員一人ひとりがどのように行動したか、時には詳細に、時には簡潔にまとめられていて、飽きずに読むことができました。中には、着陸後すぐに逃亡した身元不明のミスターX(銀行強盗犯)や大事件を起こしてしまう人物もいて、ハラハラドキドキしました。最後の別れのシーンでは、5歳の男の子・亮君と神降老人のそれぞれのエピソードで、涙が止まりませんでした大切な人を二度も失うことの悲しみ。とても計り知れない物ですが、一度目の別れでやり残したことを、2度目の別れで、双方が納得し成し遂げる。ある者は和解し、ある者は人生をやり直す。家族の大切さや絆をあらためて考えさせれる物語でした。不慮の事故は、注意していても突然起こるもの。この作品から、一日一日を大切に生きて欲しいとのメッセージを受け取りました。今日と言う日は二度と戻ってこない。もっと子供を、もっと家族を見てあげよう神はサイコロを振らない DVD-BOX(DVD) 20%OFF!神はサイコロを振らない オリジナルサウンドトラック
2008年10月16日
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ふつうの人間にはない不思議な力を持つ「姉妹屋」お初。南町奉行の根岸肥前守に命じられた優男の古沢右京之介と、深川で騒ぎとなった「死人憑き」を調べ始める。謎を追うお初たちの前に百年前に起きた赤穂浪士討ち入りが…。「捕物帳」にニュー・ヒロイン誕生!人気作家が贈る時代ミステリーの傑作長編。◆◇◆◇◆◇◆時代物の推理小説で、霊感を持った一膳屋の看板娘・お初が活躍するお話です。幽霊にとり憑かれた男が殺人を繰り返すと時を同じにして、あるお屋敷の庭の岩が鳴動する噂が流れ、お初の霊能力で謎を解いていきます。物語の裏には忠臣蔵の因縁があり、その時代に翻弄された者たちの誠実さや無念さが描かれています。作品自体はテンポ良く場面転換され、オカルト色あり推理ありと、飽きずに読み進められました。オカルトといっても、明るく好奇心旺盛のお初に、ちょっと頼りなげな算術好きの右京之介をはじめ、個性豊かなキャラ設定なので、全然暗くないのですけどねむしろ明るくさっぱりと読める時代小説という感じです。シリーズ化されてるそうなので、他のも読んでみたいと思います
2008年10月10日
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理穂、美咲、如月の三人は、同じ高校に通う幼なじみ。失恋、体が弱いこと、優秀すぎる兄弟との葛藤…それぞれにさまざまな思いを抱えながら、それでも元気に日々を過ごしていく。青春の切ない輝きを描いて人気沸騰の著者の、女子高生グラフィティ・シリーズ第一弾。高校三年になった理穂、美咲、如月。高校生活最後の夏、心を決めきれずにいる理穂たちをよそに、周囲は着々と進路を定めていく。恋や進路やそれぞれの事情、目の前にある問いかけへの、自分だけの答えはどこにあるのだろう―大人気女子高生グラフィティ・シリーズ第二弾。◆◇◆◇◆◇◆さらさらと、流れていく日々の中で、思春期の女子高校生の思いをまとめたような物語。恋も友情も、家族も進路も、何が一番で何が二番以下かなんてことよりも、毎日が、その時が楽しければそれでも良い・・・。でも、楽しいこの時間は長くは続かないってこと、みんな、わかっている。そんな切ない思いも、ちょっとした事件に心騒ぐ様子も、すべて主人公の理穂の目を通して描かれています。最近のあさの作品には数少ない、女の子が主人公ですが、その子の性格を現すためか、少し回りくどい表現もあったりします。脇役のキャラ設定は、十人十色風で工夫されていますね。何度も入退院を繰り返す美咲には、鉄のような強い心があり、他人にメチャメチャ厳しい。優秀な兄と比較されがちで、いつもその反動でだらだらしているように見られる如月には、しっかり兄弟愛もあれば友愛もあり、進路もいつの間にかちゃっかり決めているし。高校を中退してしまった友達が仕事を頑張ってる姿や、主人公の飼い犬が死んでしまう直前のエピソードなど、心に残るシーンもいくつかありました。一応ハッピーエンドのようではあるのですが、彼女らの青春はまだまだ続く・・・的な、これまたかっちり終わっていないんですね。やっぱり、こういうの最近の風潮なんでしょうか?青春、爽やかあっさり路線が続いたので、だんだん大冒険物を読みたくなってきましたよ~
2008年09月21日
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(※画像ありませんでした)勤め先の小学校で、ヒロインは「あそぼ」とささやく子供の幻に出会う。そんな折、校内プールに女性の死体が…。その謎にせまる表題作ほか、夢の「場所」捜しから始まる内面の旅を描いて名作の聞こえ高い「たった一人」など六篇を収録。巧みな伏線、鮮やかな舞台設定。清新にして熟達の筆致をおたのしみください。 とり残されて/おたすけぶち/私の死んだ後に/居合わせた男/囁く/いつも二人で/たった一人◆◇◆◇◆◇◆霊体験とか不思議な世界を描いた短編集です。ホラー系が苦手な人は、ちょっと夜中に読んだら怖いかも。私もそれ系が苦手なので、電車の中でのみ読みました表題作もしかり、ほとんどが「それでどうなっちゃうの?」ってところで終わっています。中途半端というか、不安や恐怖はまだまだ続くみたいな感じかな。タモリの「世にも奇妙な・・・」の世界にありがちな、そういう不思議な物語が好きな方には超おススメです。宮部さんは、短編も濃いのですが、やっぱり長編の方が迫り来る物があって好きかも。次は、どの作品を読もうかな~
2008年09月18日
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少しずつ陸上経験値を上げる新二と連。才能の残酷さ、勝負の厳しさに出会いながらも強烈に感じる、走ることの楽しさ。意味なんかない。でも走ることが、単純に、尊いのだ。「そういうレースがあるよね。きっと誰にも。一生に一回……みたいな」陸上青春小説、第2巻!そして、俺らはいつものように円陣を組んだ。総体に行くためだけでなく、タイムを出すためだけでなく、鷲谷と戦うためだけでなく、何より、俺たち4人でチームを組めたことのために走りたいのだった。「この決勝走れて、どんなに嬉しいか、言葉じゃ言えねえよ」全3巻圧倒的迫力の完結編!!◆◇◆◇◆◇◆いや~、すごーく楽しかった~新しい会社への行き帰りの電車の中でに読んでたんですけど、慣れない仕事の疲れや緊張も少しほぐれました。ここまで寝ても覚めても先が気になってしょうがない小説は、『バッテリー!』『DIVE!!』以来かもってことは、やっぱりスポーツ物好きなんだね、私競技展開にもハラハラドキドキしたし、仲間との友情やつながりにも感動したし。特に、新二と若菜の恋愛模様には胸がキュンって、青春ですね~ちょっと自分の高校時代を思い出したりして?私は帰宅部だったので、何だか羨ましくなっちゃいました。体育会系でも文科系でも何か夢中になれること、部活でやっとけば良かったななんて、今更ですが陸上って、個人種目が多いけど、チームワークが大事なんですね。記録がすべてではなく、部(チーム)の和みたいな、周りの雰囲気も良くないと勝てないとか。競技が違っても一緒に頑張ってきた仲間とか。同じ時間を共有してきた強みみたいなもの。競技内容もメンタル面も、そういったすべてのことを、すごく爽やかに描いた感動的な作品でしたあー、読み終わって楽しかったんだけど、何だか寂しいです~
2008年09月12日
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春野台高校陸上部。とくに強豪でもないこの部に入部した二人のスプリンター。ひたすらに走る、そのことが次第に二人を変え、そして、部を変える―。思わず胸が熱くなる、とびきりの陸上青春小説、誕生。 ◆◇◆◇◆◇◆しばらくぶりの読書感想文ですこの作品は、ひとことで言うと、まさに青春スポ根小説ですね。主人公の高校生・新二の目線、軽い語り口で描かれていて、爽やかだけど生々しくもあり。初めての陸上競技にとまどいながらも、その面白さに惹かれていく姿や、大会出場や合宿での出来事などが心情豊かに表現され、どんどんその世界に引き込まれてしまいました。特に400mリレー(4継)のシーンを読んだおかげで、先日のオリンピックで銅メダルを獲得した日本チームも、様々な苦難を乗り越えて来たんだなって、ほんのちょっとだけ、わかったような気がしましたよ。この作品は、三部作なんだそうで、第一部は序盤と言うことで、彼らの成長含め、これからもっと面白くなっていくわけですね。この第一部は、図書館の本棚に静かに並んでいましたが、その後何度か足を運んでも二部三部はお目にかかれずじまい。結構前に読んだので、大まかな所しか覚えてないですストーリーだんだん忘れちゃうよぉ早く借りないとね
2008年08月25日
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レベル7まで行ったら戻れない。謎の言葉を残して女子高生は失踪した。記憶をすべて失った状態で目覚めた若い男女の腕に浮かび上がったのは「Level7」の文字。少女の行方を探すカウンセラーと、自分たちがいったい何者なのかを調べる二人。二つの追跡行はやがて交錯し、思いもかけなかった凶悪な殺人事件へと導かれていく。ツイストに次ぐツイスト、緊迫の四日間! ◆◇◆◇◆◇◆初期の宮部作品を読み続けて、ここのところ、超能力者系のお話が多かったのですが、これは超能力とは特に関係なく、二転三転する長編サスペンス。でも、精神的な部分は、変わらず鋭い描写力ですね。そして相変わらず登場人物も多く、その人たちの視点で描かれていると、いったい誰が主人公なのかなと、混乱しそうなりました。誰が信用できるのか、誰が信用できないのか。最後には収まる所に収まるんですが、それぞれが以外な関係にあり。ラストは、ちょっとほろ苦い感じでしたね。余談ですが、元警察犬マサが活躍するシリーズに登場する、蓮見探偵事務所の加代ちゃんがチョイ役で出ています。残念ながら、マサは出てこないんですけどね。マサの活躍もまた読みたいな。全体的には、読み応えがあって、スリルとサスペンスを十分楽しめる作品でした
2008年07月22日
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(※画像ありませんでした(^^;)「鳩笛草」他人の心を読むことのできる女性刑事・本田貴子は、その能力ゆえにさまざまな試練に直面し、刑事としての自分の資質を疑ってゆく…。「燔祭」高校生の妹を殺害された兄に代わって報復の協力を申し出た青木淳子。彼女は、人や物を念じただけで発火させてしまう能力を持っていた…!超能力を持つ3人の女性をめぐる3つの物語。朽ちてゆくまで/燔祭/鳩笛草 ◆◇◆◇◆◇◆若い女性超能力者、色とりどりの短編集です。「朽ちてゆくまで」は、同居していた祖母の他界がきっかけで、自分が超能力者であることを知るお話。小さい頃両親を交通事故で亡くし、記憶喪失になり能力が封印される。両親の顔さえも思い出せずにいたが、身辺整理をするうち、幼い頃の自分を撮ったビデオが見つかり、自分の過去がわかってくる。「燔祭」は、長編「クロスファイア」に続くお話。事件的には直接関係ないけど、最初の事件があってこそなので、これは読んで正解でしたね。「クロスファイア」しかり、やっぱりこの物語は切なすぎる・・・。「鳩笛草」は、能力を駆使して今の立場を得たことに後ろめたさを感じつつ、能力が衰え始めていることにも、恐怖を感じていると言うお話。どのお話も、能力者であるゆえの苦悩や戸惑いを描きつつ、同時にいやみなく優越感も描かれています。人間の心情を描くのはさすがに上手いですよね。短編ながら、読み応えも十分でした
2008年07月10日
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あたしは主人公にはなれない―。関根夏はそう思っていた。だが半年前の卒業式、夏はテニス部の先輩・志田から、秘密の使命を授かった。高校で代々語り継がれる“サヨコ”伝説に関わる使命を…。少女の一瞬のときめきを描く『六番目の小夜子』の番外篇(表題作)、『夜のピクニック』の前日譚「ピクニックの準備」など全10話。恩田ワールドの魅力を凝縮したあまりにも贅沢な短篇玉手箱。 春よ、こい/茶色の小壜/イサオ・オサリヴァンを捜して/睡蓮/ある映画の記憶/ピクニックの準備/国境の南/オデュッセイア/図書室の海/ノスタルジア ◆◇◆◇◆◇◆『夜のピクニック』の番外編「ピクニックの準備」やっと読めました遠足前日のワクワクした気持ちはすごくよくわかりますね。何だかとても懐かしく感じます。そして、それぞれの胸に秘めた思いと企みと・・・。順番は前後してもかまわないけど、番外編を読んだ方が、本編により深みが増すこと間違い無しですね。『六番目の小夜子』の番外編も良かったです。本編は、ちょっとオカルトテイストのミステリーでしたが、こちらは爽やかな青春ストーリーって感じです。他の作品は、何だかちょっと気にかかる、心のどこかに引っかかるお話ばかりで、「それで、どうなっちゃうの?」ってところで終わるあたり、恩田ワールドらしいですよね。恩田ワールド、後を引くなぁ。今度は、また長編を読みたくなっちゃいました
2008年06月17日
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2017年。聖都市「No.6」を追われた16歳の紫苑がはじめて目にする外の世界、そして現実。ぼくは今までいったい何を知っていたんだろう?何を見ていたんだろう?ネズミと暮らし始め、懸命に生きようとするが、「おれとNo.6、どちらを選ぶ?」と問われた紫苑は…。加速する運命が二人を襲う。これだから、人間はやっかいだ。深く関わりあえばあうほど枷は重くなる。自分のためだけに生きるのが困難になる。火藍から沙布が治安局に連行されたことを告げるメモを受け取ったネズミはそれをひた隠すが、事実を知った紫苑は救出に向かう決心をする。成功率は限りなく0に近い―物語は疾走する。 ◆◇◆◇◆◇◆2冊とも一気に読みました。ページ数も少ないのですが、かなり疾走感ありましたね。♯2では、西ブロックでの暮らしぶりのようなものが、♯3では、動き出す前の準備段階が描かれています。登場人物含め「No.6」や西ブロック、すべての運命は、ネズミ・紫苑の肩にかかっていると言う感じで、謎も多く残されたまま物語が進んでいきます。♯3で、ほんのちょっとドキッとするようなシーンがあり、そういう系のお話なのかな?と思ったり。それは、話の流れに必要なのか、今後もそういう展開があるのか?それを含め、これは小学生向きではないようですね。「バッテリー」も最近やっと読み始めたヤッチには、お子ちゃまだからまだまだ早いな。それはさておき、次巻が気になるところですが、文庫本は3巻までなので、待ってたらストーリー忘れちゃいそうだな恥ずかしながら、久々にイラストを描いてみましたネズミってこんな感じかな?美少年で、瞳はグレーなんだそうだけど…
2008年06月08日
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嵐の晩のことだった。雑誌記者の高坂昭吾は、車で東京へと向かう道すがら、自転車をパンクさせ、立ち往生していた少年を拾った。なんとなく不思議なところがあるその少年、稲村慎司は言った。「僕は超常能力者なんだ」。その言葉を証明するかのように、慎司は昭吾の過去を言い当て、さらに二人が走行中に遭遇した死亡事故の真相を語り始めた。それがすべての始まりだった……。 ◆◇◆◇◆◇◆単刀直入に言えば、あらすじどおり超能力者のお話。おもに、サイコメトリー(接触感応)とテレパシー(精神感応)の能力を持つ、少年二人と出会った雑誌記者の視点で描かれるサイコミステリー。能力あるがゆえに、差別されたり怖がられたり生活に支障をきたす様は、まるで、飯田譲治氏の『NIGHT HEAD』を連想させます。この作品では二人の少年は兄弟ではありませんけど。能力を人の役に立てたいと思う慎司は無鉄砲でちょっぴり茶目っ気があり、能力を他人に知られるのを恐れ隠れて生きる直也はどこか神経質。まるで正反対のような二人だけれど、同じ能力者どうし通じ合うものがあり、助け合おうとする。最後の直也の潔さには、『クロスファイヤ』の淳子を思わせるような覚悟と優しさがあり、とても切なくなりました。作品全体の感想は、スピード感があり、たたみかけるような展開は、読む者を飽きさせないと思います。超能力系のお話が好きな方には、お勧めの一冊です
2008年06月02日
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校内の更衣室で生徒指導の教師が死んでいた。先生を二人だけで誘う問題児、頭脳明晰の美少女・剣道部主将、先生をナンパするアーチェリー部の主将 ―犯人候補は続々登場する。そして、運動会の仮装行列で第二の殺人が・・・。乱歩賞受賞の青春推理。◆◇◆◇◆◇◆この作品、東野圭吾さんのデビュー作なんだそうですね。そう言われてみれば、最近の作品のようななめらかさは無いけど、かなり読み応えはありましたよ。殺人トリックに、だいぶこだわって書かれてましたが、でも何となくわかってしまったんですね。もちろん、その動機まではわかりませんでしたけど。たとえ読者がトリックをすぐに見抜いても、それを見越した上での最後の結末なのかな?と思ったりして。乙女心の複雑さと言うか、女心の闇と言うか、女の執念深さとか、何か女性に対して、怖い思いをしたのかな?と思うほど、これでもかってほど醜い部分も描かれていて、ちょっとその辺は引いちゃったかな?それは、私が女性だからでしょうけどね。「マシン」とあだ名されるほど、冷血人間の主人公(男)を、本当は誰よりも人間らしく描きたかったのかもしれないですね。最近、ちょっと辛口な感想が多いかも・・・。やっぱり初期の作品ばかり読んでいるからかな?かなり物足りなさを感じているのかもしれません。また違う毛色の物を読まないといけないのかもね
2008年05月22日
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2013年の未来都市“NO.6”。人類の理想を実現した街で、2歳の時から最高ランクのエリートとして育てられた紫苑は、12歳の誕生日の夜、「ネズミ」と名乗る少年に出会ってから運命が急転回。どうしてあの夜、ぼくは窓を開けてしまったんだろう?飢えることも、嘆くことも、戦いも知らずに済んだのに…。 ◆◇◆◇◆◇◆とうとう手を出してしまった『No.6』。もともと古本屋さんで、1巻は手に入れてあったのですが、その後の巻が手に入らず、揃ってから読もうと思ってたのに、なかなか図書館に行く暇が無く、図書館本が底を着いてしまったから、さぁ大変活字中毒ほどではないにしろ、電車の中で本を読まないと、退屈で間が持たなくて、しかたなく読んでしまったと言う訳ですでも、期待通り面白かった近未来も近未来、物語の舞台は2013年の理想都市。主人公の12歳の少年・紫苑と「ネズミ」と名乗る少年との、衝撃的な出会いから始まり、舞台はその四年後に移り急展開。この物語のように、現実社会がどこまで進んでいるかはわからないけど、いつかそういうことが起こってもおかしくないような、少し怖い感じがしました。「バッテリー」とは、舞台設定が全然違いますが、仲間を信じる友情と困難なことに立ち向かっていく姿は健在です。登場人物も魅力的だし、近未来という設定もいいし、話の展開にもスピード感がありますね。続きが気になるので、早速図書館に予約でもね、楽しみは楽しみなんですが、ちょっと不安。実はね、虫がね、すごーく苦手なんですよ
2008年05月16日
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それぞれは社会面のありふれた記事だった。一人めはマンションの屋上から飛び降りた。二人めは地下鉄に飛び込んだ。そして三人めはタクシーの前に。何人たりとも相互の関連など想像し得べくもなく仕組まれた三つの死。さらに魔の手は四人めに伸びていた…。だが、逮捕されたタクシー運転手の甥、守は知らず知らず事件の真相に迫っていたのだった。日本推理サスペンス大賞受賞作。 ◆◇◆◇◆◇◆久々に、読書感想日記のUPですあらすじどおり、三つの事件には関連性があり、それが何なのか、次はいつなのか、主人公の高校生、守が、その真実を解き明かしていくお話。叔父の無実を晴らそうと危険をも顧みず行動する、正義感あふれる守。その守にも秘密の過去があり、秘密の特技があり。それらが、話を盛り上げています。途中、犯人が誰なのか、その手法もわかってくるのですが、共感できるか否かは読者次第と言う感じ?作品的にはそこそこ面白かったのですが、初期の作品なので、時代的なものやずれに、今一つ共感し切れなかったのかもしれません。私の好みとしては、元警察犬のマサのようなお話の方が好きかも。ミステリーだけじゃなく、笑いもあり感動もありのね
2008年05月15日
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僕は三田村誠。中学1年。父と母そして妹の智子の4人家族だ。僕たちは念願のタウンハウスに引越したのだが、隣家の女性が室内で飼っているスピッツ・ミリーの鳴き声に終日悩まされることになった。僕と智子は、家によく遊びに来る毅彦おじさんと組み、ミリーを“誘拐”したのだが…。表題作以下5篇収録。 我らが隣人の犯罪/この子誰の子/サボテンの花/祝・殺人/気分は自殺志願〈スーサイド〉◆◇◆◇◆◇◆宮部みゆき氏からの挑戦状のようなお話が、5編。重厚なミステリーではないけど、結末にひと捻りあるんです。先が見えていながらも意表をついた展開に、何度も苦笑させられました。どの作品も、人間味がすごく良く表されています。なかでも「サボテンの花」は、心に残る作品。少年達の前向きな優しさがよく表現されていて、心地良い感じでした。あれこれ言っても、やっぱり面白い宮部ワールド。しばらくまた宮部作品が続きそうです
2008年04月21日
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(※残念ながら画像がありません)高校野球界のスーパースターが全身にガソリンをかけられ、焼き殺されるというショキングな事件が起こった。俺、元警察犬のマサは、現在の飼い主、蓮見探偵事務所の調査員、加代子と共に落ちこぼれの少年、諸岡進也を探し当て、自宅に連れ帰る途中、その現場に遭遇する。犬の一人称という斬新なスタイルで、社会的なテーマを描く、爽快な読後感の長編デビュー作、待望の文庫化。◆◇◆◇◆◇◆久々の宮部作品です。しかも、長編デビュー作。と言うことで、初期はどんな作品を書いてたか、興味津々で読み始めました。読んですぐにわかったこと。前に読んで面白かった記憶のある、『心とろかすような』で大活躍した元警察犬のマサの、最初の作品だったのですね。『心―』は短編集ですが、こちらは長編。かなり読み応えありましたよ。デビュー当時からこんな魅力的なキャラクター設定で、衝撃的な展開、様々な伏線。切なくもあり、潔さもあり。宮部さんは本当にすごい方ですよね。あらためて感心しました。これから、いろんな方の初期作品を読もうと思っていたので、のっけからこんなに楽しませてくれるなんて、宮部作品、ますます楽しみです
2008年04月19日
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このビタミンは心に効きます。疲れた時にどうぞ――。「家族小説」の最高峰。直木賞受賞作! 38歳、いつの間にか「昔」や「若い頃」といった言葉に抵抗感がなくなった。40歳、中学一年生の息子としっくりいかない。妻の入院中、どう過ごせばいいのやら。36歳、「離婚してもいいけど」、妻が最近そう呟いた……。一時の輝きを失い、人生の“中途半端”な時期に差し掛かった人たちに贈るエール。「また、がんばってみるか――」、心の内で、こっそり呟きたくなる短編七編。◆◇◆◇◆◇◆久々の読書感想日記です。今作は短編集でしたが、どれも心にずっしり来る切ないお話ばかり。30代後半~40代前半のいわゆる中間管理職の、会社でも家庭でも上と下に挟まれ苦悩するお父さん達の物語は、どこにでもある等身大の家族が描かれています。それぞれ子供や夫婦間に問題が起こるのですが、完全な解決はされてなく、解決の糸口「一筋の光」を得て、前向きに生きていく姿にちょっとウルウルきました。うちもほぼ同世代なので、他人事ではないですしね。子供も中学高校になると、難しくなるって聞きますし。自分達もこの作品の主人公であるお父さん達のように、慌ててしまうかもしれないです。私ももう少しパパに優しくしてあげなくちゃと、ちょっと反省
2008年04月07日
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津村沙世子―とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生。高校には十数年間にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるのだ。そして今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。学園生活、友情、恋愛。やがては失われる青春の輝きを美しい水晶に封じ込め、漆黒の恐怖で包みこんだ、伝説のデビュー作。 ◆◇◆◇◆◇◆Npapaさんの日記でも紹介されている作品です私は、ドラマの方を先に観たんですが、設定が全然違うのに驚きました良くあることとは言え、原作では高校が舞台のはずが、TVでは中学校小夜子伝説やイベントの設定はほぼ同じですが、主人公は原作には名前すら登場しない人物で、他の登場人物もほとんどが、家族構成を含め、名前が一緒でもキャラ設定がまったく違うのです。でも、TVも原作もそれぞれ面白かったので、これこそ、別物としてみた方が良いのかも原作に関して言えば、ミステリーのような、ホラーのような、ファンタジーのような、まさに恩田陸ワールドの原点と言えるのでしょうね。私の読んだ文庫版は、加筆修正されているとの事なので、原文は多少違うのかもしれませんが。この、あいまいな感じがもろに私好みですある種緊張感もあり、展開にも目が離せず一気に読める作品でした。さて、次の恩田作品は何を予約しようかな 六番目の小夜子 第一集 なぞの転校生(DVD) ◆20%OFF!六番目の小夜子 第二集 恐怖の文化祭(DVD) ◆20%OFF!六番目の小夜子 第三集 伝説は終わらない(DVD) ◆20%OFF!
2008年03月21日
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高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために―。学校生活の思い出や卒業後の夢などを語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。◆◇◆◇◆◇◆物語は、「歩行祭」というイベントの中で、終始、歩くもしくは走りながら進行して行きます。途中回想シーンなどをまじえながらも、休憩以外はずーっと移動しているんです。周りの景色を見ながら、自分の心の中を見ながら・・・。イベント開始前後の興奮状態や、途中の身体的苦痛、後半の限界の状態などとても上手く表現されています。夜中の会話、普段は言えない事が言えてしまう、疲れから皆無口になり、自分との対話が始まる。著者は同じように歩いたのだろうか、もしくはこのイベントを体験したことがあるのかと、思うほどに克明に描かれています。主人公をはじめ、生徒達の会話や行動が、相手を気遣うものだったり、自分の気持ちを上手く表現できない歯がゆさが、切なく心に響いてきました。そして、移動距離とともに、主人公達の関係性が変化していく様子が面白かったですね。映画化もされていて、DVDも出ているそうなので、ぜひ一度観てみたいです。映画でもずーっと歩いているのかチェックしたいな『夜のピクニック』送料無料
2008年03月15日
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「生きるという、ただそれだけのことが何故にこうも不自由なのかと、思うことがございます」江戸の町で、女郎が次々と殺されていく。誰が、何のために?切れ者ゆえに世にいらだつ若き同心・信次郎は、被害者の一人が挿していた簪が、元暗殺者の小間物問屋主人・清之介の店『遠野屋』で売られていたことを知る。因縁ある二人が交差したとき、市井の人々が各々隠し抱えていた過去が徐々に明かされていく。生き抜く哀しさを、人は歓びに変えることが出来るのか。 ◆◇◆◇◆◇◆時代小説『弥勒の月』の続編です。前作同様、切れ者の同心信次郎と岡っ引きの伊佐治親分が、殺人事件の下手人を追うミステリー仕立てになっています。前作では、元暗殺者ということから小間物問屋の清之介が、疑われましたが、今作では下手人探しを手伝って欲しいと、信次郎から頼まれたり、関係が少し変化してきました。そして、清之介や周りの人物の過去も、少しずつ明らかになり。思わぬ登場人物も。犯人探しのミステリーとしても楽しめましたし、主要人物三人の心の動きも細かく表現され、奥深さも感じました。殺人事件の物語としては、完結しているのですが、清之介の過去や三人の関わりが、所々続編の存在を匂わせます。魅力的なキャラクターなので、シリーズ化される事を望みます
2008年03月08日
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異母兄が奈良で消息を絶った。たったの二度しか会ったことがない兄の彼女に誘われて、私は研吾を捜す旅に出る。早春の橿原神宮、藤原京跡、今井、明日香…。旅が進むにつれ、次々と明らかになる事実。それは真実なのか嘘なのか。旅と物語の行き着く先は―。恩田ワールド全開のミステリーロードノベル。◆◇◆◇◆◇◆物語の舞台は、古き良き時代を残したままの<奈良>なんですね。奈良の寺院や遺跡をめぐる旅をしながら、行方不明になった異母兄を探すお話。そこには、嘘や虚勢、切ない真実が絡み合っています。作品としては、ミステリーと言う枠に当てはまるのかどうか?人は亡くなりますが、殺人が起こるわけでも、したがって犯人がいるわけでもないし。精神世界を彷徨っているみたいな感じかな?自分の気持ちを何かに例えたり、お互いの秘密を探り合い、引き出したり。例え話が、たくさん出てくるんですよね。劇中劇みたいな。最後には、探しているものの答えはわかるのですが、ある複雑な人間関係は終わりを迎え、また新たな人間関係(旅)が始まるというところで、締めくくられています。好みは分かれるかもしれませんが、ある種ファンタジーのような世界観は嫌いじゃないです もう3月、時間が経つのが早く感じられますね~今日は、快晴かと思えば天気雨が降ったり、不安定なお天気ですが、寒さは和らいでいます実は最近、やたらと<奈良>づいているんですよこの本もたまたま図書館HPで見かけて、内容も知らず予約したのですが。ドラマの「鹿男あをによし」とか、CMでも良く見かけるし、何より、ヤッチが夏休みの家族旅行に、奈良に行きたいと言い出して。聖徳太子にゆかりのある法隆寺を見たいんだとか。授業で日本最古の木造建築のお寺と習ったそうで、ネットでも、聖徳太子のパロディアニメなんかを見て、興味を持ったらしいのですが。奈良は学生時代、古美術研究の授業の一環で、旅行しました。それも、お寺や仏像ばかり見る旅あまり興味がなかったので、私にはちょっと辛かった物語に出てくるお寺のほとんどを、当時の旅行で見てまわった記憶があるのですが、名前だけで、建物や景色は忘れてしまいましたね友達とお泊りして楽しかったことしか覚えてないなどうも、<奈良>に呼ばれてるみたいなんで、これを機に、夏休みに思い出の地を巡ってみようかな?何かに呼ばれるってこと、結構あるもんですね
2008年03月01日
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ダイイング・アイ記憶を一部喪失した雨村槇介は、自分が死亡事故を起こした過去を知らされる。なぜ、そんな重要なことを忘れてしまったのだろう。事故の状況を調べる慎介だが、以前の自分が何を考えて行動していたのか、思い出せない。しかも、関係者が徐々に怪しい動きを見せ始める…。 ◆◇◆◇◆◇◆久々に東野作品を読みましたが、まず面白いの一言ですね主人公のフットワークの軽さが、テンポの良さにつながって、物語にどんどん引き込まれ一気に読み終わりました。いつものようにいろいろな伏線があって、読者を引っ掛ける罠もたくさんあって。ついつい引っかかってしまう、おバカな私なのですが多少、そんなことあるかな?と思いながらも、納得させられてしまう展開には恐れ入ります。ガリレオシリーズしかり、東野さんは現実主義者なのかな?と常々思うのですが。超能力だとか、幽霊や怨念だとか、超常現象のように見せかけて、必ずどこかでトリックの種明かしがあるんです。作品名の「ダイイング・アイ」も、最後にはその意味もわかるようになっているんですね。いくら読んでも飽きない東野作品。恐るべしまだまだ読んでない作品がたくさんあるので、また図書館へGOですね
2008年02月20日
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ヘルシンキの街角にある「かもめ食堂」。日本人女性のサチエが店主をつとめるその食堂の看板メニューは、彼女が心をこめて握る「おにぎり」。けれども、お客といえば、日本おたくの青年トンミただひとり。そんな「かもめ食堂」に、ミドリとマサコという訳あり気な日本人女性がやってきて…。 ◆◇◆◇◆◇◆近年、暖冬、暖冬と言っても、東京でも雪が降ったり、今年の冬はやっぱり寒いですね。そんな寒い冬に読んだこの作品は、読み終えて、何だか心も体もポッと温かくなった感じがしました。そんな感想を書きながらも、本音を言うと、なんでもお金が無いとこうは上手くまわらないだろうなと、思ってしまった私は、やっぱり心が狭いでしょうかでもでも、けして嫌いじゃないんですよむしろ癒し系だし、和み系だし。好みの世界観なんですけどね。物語は、独身女性三人が織り成す日々の出来事を、ほのぼのと綴ったお話なのですが。場所がフィンランドの食堂という少し変わった設定で、彼女達の言動や地元の人々とのやり取りが、面白さを引き立たせているんだと思います。私はまだ観ていないのですが、映画化もされていて、主演は小林聡美さん。主人公のサチエにピッタリです北欧の町並み、食器や雑貨などの見所も満載だそうで、こちらも一度観てみたくなりましたDVD「かもめ食堂」2枚組/送料無料
2008年02月09日
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憧れの存在であった高校美術部の上級生・香澄と芳野の二人から、夏休みに演劇祭の舞台背景画を描き上げるための「合宿」に誘われた毬子。胸躍らせて「船着場のある家」に赴いた彼女を待ち受けていたのは、遠い夏の日に封印されたはずの秘密だった…。ノスタルジーの語り部・恩田陸が紡ぐ永遠の少女たちの物語。◆◇◆◇◆◇◆『クレオパトラの夢』に続き二冊目の恩田作品ですが、ミステリーのようなファンタジーのような、独特の世界観がかなり気に入りました少年少女だけで過ごす夏休みの合宿には、秘密基地のような懐かしさにあふれていて、人生を左右する重大な事実をも、ふんわりとベールに包んでしまうような、不思議な感覚を覚えました他の方の書評を見ると、「何が言いたいのかよくわからない」と言う内容を、時々目にしますが、良くわかるとは言えないまでも、十分楽しめたとは言えます。徐々に謎が解き明かされていく過程も面白いし、何しろファンタジーが好きなので、私にはすごく合っているようです。余談ですが、はじめ、恩田氏は名前だけ見て、男性なのだと思っていましたずいぶん優しいタッチの描写だなと思っていたら、女性だったと知り納得映像化された「夜のピクニック」、「六番目の小夜子」など気になる作品が多く、今後しばらくは恩田ワールドから目が離せません
2008年02月04日
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美しい后と侍女ツル、王国に悲劇をもたらしたのは?現代に生きる謎の老女が交錯する。「何のために生きるのか」を問う異色作!十二の嘘と十二の真実/崖の上 ◆◇◆◇◆◇◆題名を見て短編集なのかと思ったら、大間違いでした中世の王国の破滅までの物語と現代の謎の老女の話が、交互に語られ、一つのキーワード(ツル)でつながった、一風変わった作品です。題名の言うところの、どれが嘘でどれを真実と捉えるのか、最後まで私には分かりませんでしたが、どちらも人間の醜い本性を鋭く描いたといえるのかな。后の方のお話は、すごく残酷で人間の弱さと愚かさが、老女の方は、おぞましさと嘲笑が入り混じっています。面白いか面白くないかといえば、老女の方の話は怖くても笑えたけど、やっぱり私にはよくわからなかったなという印象です。もうひとつの「崖の上」も、残酷で悲しいお話でした。どちらも読みやすいんですけどね。やっぱり「バッテリー」や、白兎のシリーズの方が、面白くて好きかなと思いました
2008年02月01日
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死んじゃってもいいかなあ、もう…。38歳・秋。その夜、僕は、5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。そして―自分と同い歳の父親に出逢った。時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。やり直しは、叶えられるのか―?「本の雑誌」年間ベスト1に輝いた傑作。◆◇◆◇◆◇◆88oliveさん、TOMOともさんおススメの作品です。お勧めの理由も、年間ベスト1に輝いた理由も、よくわかります。涙無くしては読めないほどの感動作ですいつものように通勤電車に揺られながら、一気に読んでしまったなぁという読後感。最後の方は、涙をこらえるのに必死でした父と息子の関係性―。幼いころは、肩車をするほど仲が良いのに、いつの間にかお互いを理解できず不仲になっていく。お互いが何か誤解したまま別れて行くことも多いのだろうと、気付かせてくれる物語でした。死別のお話に弱い私特に小さな子が死ななくてはならない事に、物語とは言え、何とかならないのかなぁなんて、思ってしまうあたり、自分の子に重ねてみてしまうあたり、私も一応、親なのだと。初めての重松作品でしたが、とても感動したので、他の作品もたくさん読んでみたくなりました
2008年01月23日
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銀、祐治、次郎の3人組は、寂れた町営スキー場の「何でも屋」。スキーの個人レッスンから、果ては、当たり屋、賭けスキーまで、雪山でやりたい放題の日々を過ごしている。そんなある日、3日後のスキー場で結婚式をあげる花嫁・七海が、銀の前に現れた。この偶然の出会いが、そして、七海の過去が、現実から目を逸らしていた七海自身や3人の心を揺り動かしていく―。脚本家自らが書き下ろした、映画『銀色のシーズン』の原作。 ◆◇◆◇◆◇◆1月12日公開の映画『銀色のシーズン』の原作です!主演は、今をときめく瑛太さんと田中麗奈さんのお二人。映画の方も観てみたいですね。今回はいつも流行に乗り遅れてる私が珍しく、映画公開と同時に原作を読んじゃうなんて、自分でもびっくりそれも図書館で予約してすぐ借りられて、1日で読んじゃいました。お話の方は、そんなに長くないのですが、なかなかテンポが良くて、笑いあり涙あり、勇気ありの、爽快ラブコメディでした。スキーということもあるし、映画の原作ということもあるし、途中、あの、「私をスキーに連れてって」を彷彿とさせる、場面もあったりして、懐かしさも覚えました。余談ですが、「私をスキーに―」には、すごく憧れて、私もこう見えて(どう見えて?)、ワンデースキーヤー(死語?)だったので、またスキー滑りに行きたくなっちゃいました。一時は一級目指して息巻いてたんだけどな。結局三級止まり今は良いスキー板も売ってることだし、家族を口説いて連れてってもらおうかな
2008年01月13日
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シリーズ第一作「MAZE」で非凡な才能を見せた神原恵弥。その彼が北国のH市を訪れた。不倫相手を追いかけていった双子の妹の和見を連れ戻すためだが、もう一つ重大な目的があった。それはH市と関係があるらしい「クレオパトラ」と呼ばれるものの正体を掴むこと。人々の思惑や駆け引きが交錯するなか、恵弥は何を知ったのか。粉雪舞う寒空に広がる、恩田陸の無限のイマジネーション。◆◇◆◇◆◇◆シリーズものだとは知らず、二作目を先に読んでしまってちょっと残念です。恩田陸さんの作品はこれが初めてでしたが、ミステリーが久しぶりということもあってか、かなり楽しめました。主人公の恵弥のキャラに最初は戸惑いましたが、漫画家でタレントの山咲トオルさんみたいな感じかな?なんて想像しながら読んだりして。物語は、騙し騙され疑い疑われ・・・、一つ一つゆっくり謎を解いていくのですが。観光地巡りをしながら、美味しい物を食べながら、少しサスペンスドラマの雰囲気もありの、最後には切ない余韻も残しつつ。シリーズ一作目の『MAZE』も面白そうなので、ぜひ読んでみたいと思います
2008年01月13日
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啓太は野球観戦していたスタジアムで、高校時代の同級生だった美菜子と偶然再会する。美しく変貌をとげた彼女にドキマギしていると、突然空から何かが降ってきた。小石だ。しかしなぜ、二人の頭上から?表題作他3編を収録、愛とファンタジーと笑いと恐怖が融合する傑作短編集。 ちょっと長いプロローグ/コールドスループ/破壊する男/この愛は石より重いか ◆◇◆◇◆◇◆短編集でしたが、そこそこ読み応えはありました。表題作の「この愛は―」は、二人が出会うたびに頭上から石が降って来るという、奇想天外な物語。その降ってくる石がパワーストーンで、クリスタルなどが時間が経つにつれ、どんどん大きくなって落ちてくるというもの。本当にあるとは思えないけど、相手への愛を確認するたびに、違う石が降ってくるところには、何だか夢があるなと思いました。逆に恐怖に感じたのは、「破壊する男」。悪魔教に魅せられた男の顛末を描くライトホラー。妻に真実を隠して、自分の周りの邪魔者を排除するため、悪魔に身を売る。妻は夫を信じるが、様々な怖い思いをし、どんどんやせ細っていく・・・。軽いタッチだったから読めたけど、怖いの苦手なので、夜中に一人で読んでたら眠れなかったかもしれません。これらはちょっと前の作品ですが、相変わらず夢か現実か、映像ありきの飯田ワールドを堪能させてくれました
2008年01月11日
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元過激派の父は、どうやら国が嫌いらしい。税金など払わない、無理して学校に行く必要なんかないとかよく言っている。そんな父の考えなのか、僕たち家族は東京の家を捨てて、南の島に移住することになってしまった。行き着いた先は沖縄の西表島。案の定、父はここでも大騒動をひき起こして…。―型破りな父に翻弄される家族を、少年の視点から描いた、新時代の大傑作ビルドゥングスロマン、完結編。◆◇◆◇◆◇◆実は、これも年末に読了してました下巻は上巻とは打って変って、青空が眩しい感じのかなり爽快な物語でした。『町長選挙』の決戦をもっと激しくしたような、ぐいぐい引き込まれる面白さですね本当にこんな両親がいたら凄いだろうな。でも広い世の中だからどこかにいるかも・・・。残念ながら私の周りには見当たらないけど。父親の、自分の中のゆずれない正義それを貫くためには、ルールの厳しい都会では生きられないと言うことなんですね。そんな父の背中を見てたくましく育ってゆく三人の子供たち。離れていても強い家族の絆。「パイパティローマ」って本当にあるのかな?ワンピで言うところの「グランドライン」みたいな所かな?それじゃ広すぎるし、厳しいか・・・。きっと伝説の「オールブルー」だね♪そんな夢の場所にいつか行ってみたくなりました
2008年01月08日
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「BOOK」データベースより小学校6年生になった長男の僕の名前は二郎。父の名前は一郎。誰が聞いても変わってるという。父が会社員だったことはない。物心ついた頃からたいてい家にいる。父親とはそういうものだと思っていたら、小学生になって級友ができ、よその家はそうではないことを知った。父は昔、過激派とかいうのだったらしく、今でも騒動ばかり起こして、僕たち家族を困らせるのだが…。―2006年本屋大賞第2位にランキングした大傑作長編小説。 ◆◇◆◇◆◇◆面白いですすごくスピード感があって、ぐいぐい引きこまれます。両親の過去もさることながら、主人公二郎の身に起こる、普通の小学6年生では経験しないような出来事に、驚きや笑いの連続すべてが二郎の視点で描かれていて、様々な出来事やちょっとした冒険をドキドキしながら、共に体験しているような感じです。「イン・ザ・プール」の伊良部シリーズも面白かったけど、長編の分、こちらの方が中身が濃いかな・・・と。父一郎の破天荒ぶりは、伊良部先生のハチャメチャぶりにも、通じるものがありますが、持ってる信念が違うのかも。下巻では、東京から西表島へ越してからの事が描かれているようで、どんな出来事が待っているのかすごく気になります。早く図書館で借りてこなくっちゃです
2007年12月14日
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「BOOK」データベースより陸上部で怪我をして自棄になっている遠子のクラスに転校生の千絵がやってきた。複雑な家庭の事情も屈託なく話す千絵に、遠子は不思議な魅力を感じる。二人の友情と成長を描いた「あかね色の風」。大好きなクラスメイトに手紙を出そうとする愛美の純粋な想いを綴った「ラブ・レター」。思春期の少女達の揺れる感情を照らし出す、青春小説の金字塔。 ◆◇◆◇◆◇◆初期の作品の文庫化だそうです。どちらも小学生高学年の少女が主人公で、思春期の揺れる思いをさわやかに描いています。でも、やっぱり一筋縄じゃいかないのが、あさの作品。『あかね色―』では、自分の意のままにできなかった陸上競技や、アルコール依存症の父を持つ転校生との友情を。『ラブ―』では、初めての恋に戸惑う心や、こどもには理不尽と思える大人の言動を、子供の視点で表現しています。こども達の取り巻く環境が決して穏やかではないのに、悲壮感が漂わないのは、どの子も真っ直ぐ前を向いているからでしょうか。『あかね色―』の主人公・遠子は、『バッテリー』の主人公・巧の原点なんだそうです。他を受け入れず尖っているところや、あさの作品に通じるこども達の芯の強さが共通項かと。少年だけでなく、少女の物語も楽しませてくれる作家さんなんですね
2007年12月08日
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「BOOK」データベースより『バッテリー』の著者が贈る、野球を愛する者だけに見えた10の物語。 練習球/驟雨の後に/梅香る街/このグラウンドで/空が見える/街の風景/雨上がり/ランニング/東藤倉商店街/練習球2 ◆◇◆◇◆◇◆野球を愛する人のための短編集です。一つ一つの物語は非常に短いのですが、何となく心に響く、心に残る物語ばかりです物語すべてに共通するキーワード≪甲子園≫甲子園を目指している少年たち、出場した選手、野球好きの少女などなど。野球に魅入られた人々の、それぞれの思いや置かれた環境などが、丁寧に表現豊かに描かれています。ヤッチの将来の夢も、甲子園・プロ野球選手なので、少し重ねながら読んでみたりして。軟弱な私が言うのもなんですが、ヤッチには、辛さや苦しいことも乗り越えて、楽しみながら頑張って欲しいと思います。私はといえば、数々の夢を諦めてきたけど、また目標を持って生きてみようかなと思える、そんなきっかけになる作品でした。今さら夢なんて言うと、ちょっと気恥ずかしい気もしますが、『ONE PIECE』でもたびたび出てくるように、今の自分ができることをすれば良いんですよね。無理せず前向きに、時には夢中になって、ね
2007年11月28日
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「BOOK」データベースより長距離走者として将来を嘱望された高校一年生の加納碧李は、複雑な境遇の妹を案じ、陸上部を退部することを決意した。だがそれは、たった一度レースに負けただけで走ることが恐怖となってしまった自分への言い訳だった。走ることから、逃げた。逃げたままでは前に進めない。碧李は、再びスタートラインを目指そうとする―。◆◇◆◇◆◇◆88oliveさんのブログを見て、すぐに図書館に予約を入れた作品です。やっと借りることができたので、期待をしすぎたかなと危ぶんでもいたのですが、いえいえしっかり読ませていただきました。のめりこみ過ぎて、また電車乗り過ごしちゃったくらいやっぱりただのスポ根物ではなかったですね。少年のランナーとしての苦悩や葛藤、家族間の問題などなど。あさの作品お得意の、一筋縄じゃいかないって感じ。私、こういうの好きなんですよね。待ってた甲斐があったな。でも、登場人物たち皆、ちょっとかっこ良過ぎ。高校生でここまでしっかり他人の事思いやれるのかなって、気がしなくもないです。私の高校時代なんか、自分の事で精一杯だったもの。って、私だけかな・・・
2007年11月24日
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間宮兄弟「BOOK」データベースよりだって間宮兄弟を見てごらんよ。いまだに一緒に遊んでるじゃん。“そもそも範疇外、ありえない”男たちをめぐる、江国香織の最新恋愛小説。 ◆◇◆◇◆◇◆映画化もされているし、前から気になってもいたし、88oliveさんの日記でも紹介されている作品で、早速図書館で借りて読んでみました。異性にもてない兄弟の恋愛模様を描いていて、恋愛小説でありながら、兄弟愛、家族愛を描いた、ホームコメディーのような印象。こんな兄弟もいるだろうなと思いつつ、でもいるのかな?とも首をかしげ・・・。根が優しすぎるところが兄弟の長所でもあり、短所でもあり。 ―俺の周りの女たちは、みんなお前に会いたがる。兄・明信に対し、同僚の言った言葉。恋愛対象にはならなくとも、登場人物の女性ほとんどが、この兄弟といると和んでいるんですよね。会って良かったなという感じ。でも本人達は、女性に限らず人付き合いが苦手だと信じて疑わない。兄弟二人でいることが安心だと思っている。こんな二人の今後も見てみたい気がします。季節柄寒くなってきたので、読んで正解でした!ほんのり暖かく優しい気持ちになれる作品です間宮兄弟(DVD)↑配役がピッタリだそうです。映画も観てみたいですね♪
2007年11月18日
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「BOOK」データベースより伊良部、離島に赴任する。そこは町長選挙の真っ最中で…。「物事、死人が出なきゃ成功なのだ」直木賞受賞作『空中ブランコ』から2年。トンデモ精神科医の暴走ぶり健在。 オーナー/アンポンマン/カリスマ稼業/町長選挙 ◆◇◆◇◆◇◆伊良部シリーズ三作目は、そのハチャメチャぶりにも慣れたせいかな、前二作ほど大笑いではなかったのがちょっと残念どれも明らかに実在する有名人や事件がモデルで、「フッ」と苦笑いしちゃう感じでしたでも、最後の「町長選挙」は他のよりも長めで、離島の派遣医師になった伊良部先生が逆に引きこもったり、島の人たちの人間模様ややり取りが面白かったりと、じっくり楽しめた気がしますもっと長編の伊良部先生も読んでみたいですね
2007年11月12日
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「BOOK」データベースより人間不信のサーカス団員、尖端恐怖症のやくざ、ノーコン病のプロ野球選手。困り果てた末に病院を訪ねてみれば…。ここはどこ?なんでこうなるの?怪作『イン・ザ・プール』から二年。トンデモ精神科医・伊良部が再び暴れ出す。 空中ブランコ/ハリネズミ/義父のヅラ/ホットコーナー/女流作家 ◆◇◆◇◆◇◆『イン・ザ・プール』の続編です。これも面白すぎてあっという間に読んじゃいました。やっぱり通勤電車の中で読んだんですけど、前作よりかなりやばかったです。何度も噴出しそうになって、堪えるの必死でした特に、「義父のヅラ」もうその展開やめてぇって感じ。実際にそうそうありえないけど、気持わからなくもないかな・・・と。どのお話も、ものすごくハチャメチャで、この精神科医の伊良部先生が実在したら本当にはた迷惑だろうけど、最後にはホッとしちゃうんですよね。みんな癒されて、救われてるなってそうそうこれ読んでて、このお話どこかで見聞きしたなと思ってたら、ドラマになってたんですね。阿部寛さん主演で。その阿部ちゃんが、伊良部先生なわけですけど、小説の中では、丸々と太った中年の子供のような性格なんですよ。外見は、ホンジャマカの石ちゃんとかが合ってそうな感じ。阿部ちゃんとは似ても似つかない容姿なの。でも、ドラマではシュークリームを頬張ったり、子供のような言動で、以外に面白かったな。露出狂の看護婦マユミ役には、釈由美子さん。演技もなかなか、まあまあはまってて良かった記憶が。再放送やらないかな。また観てみたいです~『イン・ザ・プール』の方は、松尾スズキさん主演で映画にもなってるんですよね。まだ観ていないのですが、いつか機会があったらこちらも観たいですね松尾さんの「いらっしゃ~い」を聞いてみたいし、その怪演が見所でしょうからそして先日、『イン・ザ・プール』を図書館に返しに行ったら、更に続編の『町長選挙』があったので、迷わず借りちゃいました。続編とは知らなかったのですが、表紙が同じ感じので、パラパラめくってみたら、伊良部・マユミの文字が・・・こちらもかなりやばそうですよ
2007年11月02日
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BOOKデータベースより生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになるのだが…。◆◇◆◇◆◇◆天使業界の抽選で大当たりし、再挑戦の機会を与えられると言うお話には、おもしろさもありましたが、自ずと先が見えてしまって、だいたい想像通りの展開と結末でした。天使だの魂だの抜きにして、自分を見つめなおすという良いストーリーなので、普通に青春小説でも十分だし、設定的にちょっと残念。単に記憶喪失でも良かったかも・・・。ただ、他人として再挑戦する事に意味があり、本当の自分を客観的に見ることの大切さとかに、拘ったのかもしれませんが。それでも、読みやく、主人公の気持ちや生前の真の気持ちも理解できるもので、読後感も爽やかでいて切ない余韻も残り、そこそこ楽しめたので良しとしましょう(偉そう!?)今秋放映中の日テレの「ドリーム・アゲイン」も、死後、他人の体に魂だけが入り、人生を再挑戦する物語ですが、天使とか魂とか設定がちょっとダブってますね。生まれ変わってやり直せたら、どんなにいいか。これらの物語の主人公達が羨ましい限りです田中聖/カラフル デラックス版
2007年10月31日
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「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。そしてそこで待ち受ける前代未聞の体験。プール依存症、陰茎強直症、妄想癖…訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。こいつは利口か、馬鹿か?名医か、ヤブ医者か。 イン・ザ・プール/勃ちっ放し/コンパニオン/フレンズ/いてもたっても ◆◇◆◇◆◇◆TOMOともさんのブログでも紹介されていた作品です。面白すぎて、あっという間に読んじゃいました可笑しくて笑っちゃうので、電車では読まない方がいいとの注意がありましたが、読んじゃいました~何とか笑わないよう気をつけていましたが、変な顔してたかも一話完結なので、短編集みたいな作品でしたが、物語ごとのつながりは全然無いようであるような、何だか不思議な感じ。該当される患者さんには失礼ながら、色々な症例があって面白かったですねしかも精神科医である伊良部先生もかなりな変人で、治療をしてるのか、遊んでいるのかわからない・・・。でも、その存在や行動が患者を癒しているんですね。そのほとんどがショック療法ですが・・・最後のお話の「いてもたっても」は、私にも、には多少身に覚えがあるので、ちょっと気持ちが分かるかも人生色々だけど、あまり思いつめないように、気楽に行こうってことなのかな
2007年10月20日
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大人気小説「バッテリー」。あの伝説の試合がここに--!!中でも屈指の人気キャラクター・瑞垣の目を通して語られる、巧、豪、門脇らのその後とは--。◆◇◆◇◆◇◆88oliveさんのブログでも紹介されていた作品です。『バッテリー』本編では、試合結果は語られていなかったので、その行方を知ることができひとまずホッとした感じですそして、脇役の少年達のその後がイキイキと語られ、みんなそれぞれいい持ち味を出しているので、何だか嬉しくなってしまいましたこちらの作品の主人公、一癖も二癖もあるキャラクターの瑞垣クン。口は悪いわ、相手を挑発するわ、なかなか難儀な性格の持ち主で、いわゆる曲者なのですが、本当は心優しい少年なんですよね。横手二中のメンバー全員を良く見ていて、心配っているんです。相反して、根っから主将気質の新田東の元キャプテン海音寺クン。性格も良くて、面倒見もいい。この二人のやり取りが面白すぎてさらに今後も気になるし、もっともっと二人の絡みが欲しかったなと思いました。(はたして、海音寺クンは殴られるのか!?)瑞垣クンは、海音寺君が野球から愛されていると言っていましたが、私的には、瑞垣クンも含めて野球少年みんなが野球を愛しているし、きっと愛されているんだと思うんです野球やソフトをやっている時、観ている時の、息子ヤッチの瞳の輝きを見たら、そう思わずにはいられなくて野球を続けてもやめても、瑞垣クンや門脇クンのように苦しみ葛藤もするけれど、夢中になれる野球を知っていることが羨ましいですね
2007年10月16日
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データベースより小間物問屋「遠野屋」の若おかみ・おりんの溺死体が見つかった。安寧の世に満たされず、心に虚空を抱える若き同心・信次郎は、妻の亡骸を前にした遠野屋主人・清之介の立ち振る舞いに違和感を覚える。―この男はただの商人ではない。闇の道を惑いながら歩く男たちの葛藤が炙り出す真実とは。◆◇◆◇◆◇◆あさの作品には珍しい時代小説でしたが、TVで観るような時代劇臭さがなくさっぱりした印象でした。実写化されたら、誰がどの配役に合うだろうとか、勝手に想像しながら読んだりして月夜に起こる殺人。闇に生きる者の宿命と巻き込まれた者の悲劇を、ほぼ、初老の岡っ引き・伊佐治の目を通して描かれています。伊佐治の上司・信次郎は、若き同心と言っても、「バッテリー」や「福音の少年」の主人公たちと比べたら、ずいぶんオジサンなんですよねそして信次郎は、頭は良いけど非情な性格で、いつでも人を試し、すぐ剣に手をかけたりと、心やさしい伊佐治をいつもハラハラさせています。ひとつ贅沢を言えば、信次郎の破壊的な性質(怖さ)を、伊佐治にたびたび語らせるよりも、もっとそれぞれのセリフや振る舞いで表現できたら、より深みが出たようにも思いました。でも、物語はもちろんのこと、この二人のやり取りも、まずまず面白かったので、続編を読みたいなと思っていたら、この9月に出てたんですね。さっそく図書館に予約しちゃいました訳ありの遠野屋主人・清之介の今後も気になるところだったので、とっても楽しみです
2007年10月05日
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データベースより暑い夏の一日。僕は30歳を目前に離婚しようとしていた。現代の若者を覆う社会のひずみに目を向けながら、その生態を軽やかに描く。第135回芥川賞受賞作ほか1篇を収録。 八月の路上に捨てる/貝からみる風景◆◇◆◇◆◇◆「八月の路上に捨てる」の方は、主人公の僕は、別れてしまう理由やそれまでの経緯を、バイト先の年上の女性社員(離婚歴あり)に仕事中話しながら、物語が進行していきます。女性社員の経験からの受け答えから、男と女の思考の違いや、過去を振り返り、何がいけなかったのか、何が足らなかったのか、相手が何を求めていたのか、少しずつ絡んでいた糸が解けていきます。女性社員が、男勝りでサバサバしたキャラクターなので、重く深いテーマであるはずなのに、ベッタリした感じがなく、サラッとした読後感でした。もう一編の、「貝から見る風景」は、若い夫婦の日常の物語。こちらもサラッとしていて、読みやすかったのですが、もう少しドキドキ感も欲しかったかなと思いました。
2007年10月01日
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データベースより愛しぬくことも愛されぬくこともできなかった日々を、今日も思っている。大切な何かのために懸命に生きる人たちの、6つの物語。器を探して/犬の散歩/守護神/鐘の音/ジェネレーションX/風に舞いあがるビニールシート ◆◇◆◇◆◇◆かなりお気に入りの『DIVE!!』の著者、森絵都さんの作品です。こちらは短編集なのですが、なかなか読み応えがありました。どの作品も、ある道のスペシャリストなんだけど、感情表現や人間関係など他のことには不器用な人達を描いた、ちょっと切なく心温まるお話です。中でも気になった「鐘の音」は、難しそうな仏像修復師のお話ですが、仏像の秘める魅力や艶かしさ、宗派についての豆知識のようなことが、仏教を知らない私でも、わかり易く表現されていたので、飽きることなく読み進めることができました。私自身が学生時代、古美術を少し勉強したことがあったからかも知れませんが、とても興味深く、懐かしさすら感じさせてくれました。他の作品もそれぞれ、達人であるがゆえの非常識な部分や滑稽さ、一生懸命な姿が、温かい視点で描かれています。「DIVE!!」のようにとても読みやすかったので、ますます他の作品も読んでみたくなりました。「DIVE!!」と言えば、来年、映画が公開されるようです!主人公の知季役に、映画「バッテリー」の主人公・巧役を演じた、林遣都クンが選ばれたそうですね。巧とは、また違ったキャラなので、どんな知季になるのか楽しみです。要一や飛沫、ピンキー山田(笑)など他のキャラも気になるところ。今から公開が待ち遠しい感じです
2007年09月28日
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