趣味の漢詩と日本文学

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March 10, 2006
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カテゴリ: 漢詩・漢文
雜詠八首(上禮部李侍郎) 疲馬 劉長卿
玄黄一疲馬、筋力盡胡塵。
驤首北風夕、徘徊鳴向人。
誰憐棄置久、却與駑駘親。
猶戀長城外、青青寒草春。
【韻字】塵・人・親・春(平声、真韻)。
【訓読文】
雑詠八首 礼部李侍郎に上(たてまつ)る 疲馬。
玄黄一疲馬、筋力胡塵を尽くす。

誰れか憐まん棄置せらて久しく、却つて駑駘と親しむを。
猶ほ長城の外、青青たる寒草の春を恋ふがごとし。
【注】
○玄黄 黒毛の馬が病むと毛が黄色味を帯びるという。『詩経』《巻耳》「我が馬玄黄たり」。
○胡塵 攻め寄せるえびすの兵馬によって巻き起こる砂塵。
○驤首 馬が首をたてて走る。
○駑駘 鈍くて足が遅い馬。
○長城 万里の長城。
【訳】
疲れはてたる黒毛うま、胡地で力を出しきりぬ。
首を振り立て走りゆく、北風の吹くこのゆうべ、あちらこちらとさまよって、人に向かっていななけり。

それでも心、長城の外の世界にあこがれて、寒き地域に青々と草生いしげる春を待つ。





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Last updated  March 10, 2006 04:03:32 PM
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