趣味の漢詩と日本文学

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December 26, 2007
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カテゴリ: 漢詩・漢文
送賈三北遊 劉長卿
賈生未達猶窘迫、身馳匹馬邯鄲陌。
片雲郊外遙送人、斗酒城邊暮留客。
顧予他日仰時髦、不堪此別相思勞。
雨色新添■(「シ」のみぎに「章」。ショウ)水緑、夕陽遠照蘇門高。
把袂相看衣共緇、窮愁只是惜良時。
亦知到處逢下榻、莫滯秋風西上期。
【韻字】迫・陌・客(入声、陌韻)。髦・労・高(平声、豪韻)緇・時・期(平声、支韻)。
【訓読文】

賈生未だ達せざるに猶ほ窘迫するがごとし、身は匹馬を邯鄲の陌に馳す。
片雲郊外遥かに人を送り、斗酒城辺暮べに客を留む。
予を顧みて他日時髦を仰ぎ、此の別に堪えず労を相思ふ。
雨色新たに添ふ■(ショウ)水の緑、夕陽遠く照らして蘇門高し。
袂を把りて相看れば衣共に緇く、窮愁只だ是れ良時を惜しむ。
亦た知んぬ到る処に逢ひて榻を下すを、滯ること莫かれ秋風西上の期。
【注】開元・天宝年間頃、洛陽における作。
○賈三 劉長卿の友人らしいが、未詳。 
○達 志を遂げる。
○窘迫 さしせまる。
○匹馬 いっぴきのウマ。

○片雲郊外遙送人、斗酒城邊暮留客。
○時髦 時の俊傑。、不堪此別相思勞。
○■(ショウ)水 山西省長子県の西に発し、東流して太行山を過ぎ、河北省■(ショウ)県の北に至る。
○蘇門 河南省輝県の西北にあり。かつて晋の孫登がかつて此の山に隠棲した。
○把袂 袖をとる。転じて、親しく面会すること。

○窮愁 貧困からくる悲しみ。
○良時 楽しい時。
○到処 行く先々。
○下榻 接待すること。後漢の徐稚は人徳があったので、役所からお呼びがかかったが、仕官しなかった。太守の陳蕃が、郡においては賓客を接待せぬが、徐稚が来たときだけは一榻を設けてもてなしたという。
○莫滯 長逗留するな。
○秋風西上期 都で科挙を受験する郷貢進士は、秋に都入りし、十月二十五日に戸部に集まり、正月に礼部の試を受け、二月の放榜(合格発表)に通い、四月に吏部に送られる。
【訳】
賈三が北に旅するのを見送る。
賈生は志なかば、すでに生活いきづまり、一匹の馬邯鄲の大路に馬を走らせる。
ひとひらの雲そらに浮く郊外遥かに人送り、一斗の酒を町はずれ夕暮れ君と酌み交わし引き留めようとするは我。
我をば君は顧みていつか俊秀仰ぎみる、いまこの別れに堪えずして君の苦労を思いやる。
あらたに雨が降りはじめ■(ショウ)水緑色ふかし、夕陽は遠く照らしつつ蘇門の山は高く見ゆ。
袂を把りて相看れば都の塵に衣は黒く、窮途の愁いひたすらに君との楽しき時惜しむ。
君は行く先行く先で皆の接待受けるだろ、秋には西の長安で科挙の受験があるゆえに長く滞在するなかれ。





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Last updated  December 26, 2007 01:24:13 PM
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