趣味の漢詩と日本文学

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May 10, 2008
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カテゴリ: 漢詩・漢文
送友人東歸 二首 劉長卿
 其一
對酒■(サンズイに「覇」。ハ)亭暮、相看愁自深。
河邊草已緑、此別難為心。
【韻字】深・心(平声、侵韻)。
【訓読文】
友人の東へ帰るを送る。
酒に対す■(ハ)亭の暮(ゆふべ)、相看るに愁へ自ずから深し。
河辺草已に緑にして、此の別れ心を為(おさ)むること難し。

○■(ハ)亭 唐代には都から旅立つ者を送るとき、長安の東の■(ハ)水にかかる橋まで送り、そこで別れた。別れぎわに柳の枝を折り取って「環」に結び、旅立つ者に渡す習わしだった。「環」は「還」と同音で、再びここまで無事に帰還できるようにとのおまじないであった。
【訳】
友人が東方へ帰るのを見送る詩。
■(ハ)亭の旅籠に送別の酒酌み交わすこの夕べ、故郷へ帰る君の顔みやれば深き愁いあり。
明ければ川辺の草青く、別れのつらさいかにせん。

 其二
關路迢迢匹馬歸、垂楊寂寂數鶯飛。
憐君獻策十餘載、今日(一作去)猶為一布衣。
【韻字】帰・飛・衣(平声、微韻)。
【訓読文】

憐ぶ君の策を献ずること十余載なれども、今日猶ほ一布衣たることを。
【注】
○関路 関所を出て次の宿場へ向かう道。
○迢迢 遠く遥かなようす。
○匹馬 一頭の馬。

○寂寂 ひっそりとして静かな様子。
○鴬 チョウセンウグイス。
○献策 漢代にで策(竹のふだ)に書いた政治や経書に関する問題に対して答える文章。ここでは科挙(官吏登用試験)を受験したことをいう。漢の司馬相如が景帝に仕えていたが長いあいだ不遇だった故事をふまえる。
○布衣 庶民の着る麻や葛でつくった衣服。転じて、官位の無い民間人。
【訳】
関所いづれば道はるか馬に揺られて君は発つ、柳しずかに枝を垂れウグイスあそぶ二羽三羽。
ああ君文才豊かにて策を献じて十余年、されども不運にみまわれて未だ仕官の口を得ず。








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Last updated  May 10, 2008 07:19:43 PM
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