趣味の漢詩と日本文学

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September 28, 2008
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カテゴリ: 漢詩・漢文
雙峰下哭故人李宥 劉長卿
憐君孤壟寄雙峰、埋骨窮泉復幾重。
白露空沾九原草、青山猶(一作獨)閉數株松。
圖書經亂知何在、妻子移家(一作因貧)失所從。
惆悵東皋却歸去、人間無處更相逢。
【韻字】峰・重・松・従・逢(平声、冬韻)。
【訓読文】
 双峰の下にて故人李宥を哭す。
憐れぶ君の孤壟の双峰に寄るを、骨を窮泉に埋めて復た幾重。

図書乱を経て何くに在るを知らんや、妻子家を移して従ふ所を失ふ。
惆悵す東皋却つて帰り去れば、人間処として更に相逢ふこと無きを。
【注】
○李宥 大暦年間の人。■(「高」の下に「木」。コウ)城県(河北省藁城)の主簿に官す。
○双峰 ▲(草カンムリの左下に「單」、右下に「斤」。キ)州黄梅県の山。
○孤壟 ぽつんと一つある墓。
○窮泉 九泉の下。墓の中。
○九原 春秋時代の晋の国の卿大夫の墓地のあるところ。ひろく、墓地を言う。
○東皋 野外の高地。
【訳】
双峰山のふもとで亡き友人の李宥の死を嘆く。

涙の露も白露も空しく墓地の草ぬらし、墓地のそばには数本の松が枝をばしげらせる。
君の蔵書は戦乱の世をへて今はいずこやら、妻子も家を引っ越して行方もしれずなりにけり。
墓地の丘から帰りくりゃ、この世で逢えぬ君恋し。





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Last updated  September 28, 2008 05:35:05 PM
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