趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

February 12, 2011
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カテゴリ: 国漢文
【本文】大井に季縄(すゑただ)の少将すみけるころ、帝の宣(のたま)ひける、「花おもしろくなりなば、かならず御らむぜん」とありけるを、おぼし忘れて、おはしまさざりけり。されば、少将、

ちりぬれば くやしきものを 大井川 岸の山吹 けふさかりなり

とありければ、いたうあはれがりたまうて、いそぎおはしましてなむ御らんじける。
【注】
・大井=いまの京都市右京区の地名。
・季縄少将=左中弁藤原千乗の子、藤原季縄。官は従五位上、右近衛の少将に至った。(生年不祥……919年)。
・帝=ここでは醍醐天皇。
・宣ふ=「言ふ」の尊敬語。
・大井川=京都府嵐山付近を流れる桂川上流の名称。

もしも天皇がご覧あそばされないうちに散ってしまうと残念だなあ、大井川の岸の山吹が今日まっさかりだ。
と歌を作って天皇にお贈りしたところ、たいへん称賛なさって、さっそく準備されて大井に出向かれてご覧になったとさ。





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Last updated  February 12, 2011 01:35:30 PM
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