とんかのクローゼット

とんかのクローゼット

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2007.03.28
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カテゴリ: いろいろ
春になると北海道時代、教会の空き地に咲いていたわすれな草を思い出す。

勇払原野のわすれな草はそんな風情は無い。

「忘れたらゆるさないわよ!!」

と言わんばかりにうっそうと茂り、アスファルトも持ち上げる勢い。

わたしは幼い頃から実に多くの人に出会い、別れてきた。
海外の日本人学校は生徒の出入りが激しい。
そして、不運にも内気なわたしがやっとなかよしを作ると、その子が引っ越していく。

手紙のやりとりをしようと固く指きりするのだが


ある日、引っ越した子からの返事を待ちながら考えた。
手紙が来なくなったのはきっといいことなのだ。
あの子は新しい学校で友だちもたくさんでき、
あえない人を思い出すひまもないくらい、たのしい時を送っているのだろう。
べそをかきながら、やはり喜ばなきゃいけないことだと思った。

忘れないよ、連絡するよ、という言葉は
長く時間をかけたさようならなのだ。
別れるさびしさを見ないための魔法なのだ。

いつか地上にわたしのことを知っている人がひとりもいなくなるときがくる。

転落防止の鉄格子のはまった高層アパートから空を見上げると
強い海風が吹いてきた。


そのときも、わたしを覚えている何かがある。
それはきっと、わたしのことを忘れない。

小学校3年生のときだった。
(早熟と思うだろうか、わたしたちが思うよりはやく子供は本質を理解する。表現する言葉をもたないけれど)


教会にいると、想像を絶する過酷で孤独な歩みをしてきた方と出会うことがある。


「わたしを忘れないで・・・思い出してください」
神に覚えられていること、それが恵みだ。
祈りを原野の花のように咲かせよう。







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Last updated  2007.03.28 23:00:45


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