三河の住人の庵

三河の住人の庵

享保14年広島



象止宿之刻御附廻り御衆中宿々賄料之帖(断簡) 享保14 年(1730)4月6日
久枝家文書(8905-1)
象は4月6日に広島城下に到着した。その宿所は、広瀬組堺町二丁目(現広島市中区堺
町一丁目)あたりの馬継場の後庭があてられ、隣家の芥川屋との境の塀をくりぬいて小屋
を作り泊まらせた。当時在国中の藩主浅野吉長も、同町内の沢村屋まで出向き、噂の珍獣
を見物した。この文書は、象に付き従った武士や従者たちの宿泊に関する資料で、その運
送に関わった人々の階層構成や止宿した諸経費、彼らを宿泊させた町人の名前を知ること
ができる。
なお、この4枚の文書はもともと帳面であったと思われる。文書が残されたのは、宛所
となっている城下広瀬組の大町年寄芥川屋と考えられるが、これが見つかったのは、山県
郡北広島町大朝の郷土史家久枝秀夫氏(故人)宅の襖の裏張りからである。広島城下芥川
屋に伝わった帳面が、襖の下張りの材料としていつの日か山県地方まで流れていたわけで
ある。

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