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「桜が綺麗ですね」 「きっと今日がピークだね」 上向く横顔 見つめながら 舞い落ちる言葉を訳します 心を大きく くり抜かれたあの日から 眩しい時間が 胸を満たしているけれど わたし あなたの家も知らない 家族の顔も知らない 愛するひとの名前も 生まれた街の景色も 想像できない未来は かなわないことだけ知っているの 今夜、明日を閉じようと思う 春の羽根の絨毯が美しいうちに 心を大きく くり抜かれたままだから このさきずいぶん うまく息ができないな あなた わたしの朝も知らない 働く姿も知らない 二日目のカレーの味も 「おはよう」「おやすみ」の声も 想像してきた未来に かなわないことだけ知っているの 今夜、ふたりを閉じようと思う 春の羽根の絨毯が汚れゆく前に 桜が綺麗ですね 本当に綺麗ですね あなたを想って見上げる空も これで捨てるよ わたし あなたの温度は知っている 声も香りも眼差しも 誰も知らない本音も 声にしなかった言葉も 今夜、すべてを閉じようと思う 春の羽根の絨毯が美しいうちに 桜は綺麗でした 本当に綺麗でした。
2021.03.28

大きく笑い尽くした一日でも 世界に怒り狂った一日でも ふんわりと温もりに包まれながら あなたのいない今を見つめているよ あのね 最近いちばん 哀しかったのは ついに夢のなかでも 背を向けられてしまったこと 目を閉じて 思い出のあら探しをしている 何度も 何度も 何度も 何度も だってもう新しく傷つくことさえできないから マスク外して春を吸い込んでみても 猫の瞳に本音を話してみても 喉の奥の奥こころが倒れていて わたしが変われないよう見つめているの あのね 最近いちばん 淋しかったのは 神様にしていた 言葉も光らなくなったこと 目を閉じて 思い出をすすいで洗っている 何度も 何度も 何度も 何度も どうせもう新しく汚れることさえできないのに わたしの世界から あなたがいなくなったんじゃないね あなたの世界から わたしがいらなくなったんだね 目を閉じて 思い出のあら探しをしている 何度も 何度も 何度も 何度も それでもまだ新しく傷つきたくて汚れたくて ふんわりと温もりに包まれながら あなたのいない今を見つめているよ 夜はいつも いつもいつも
2021.03.03
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