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* | 京都府下で一番有名な山は比叡山であろうか。あるいは大文字山か。しかしこれらの山は、観光地や歴史の山として知られているのであって岳人の登る山ではない。関西在住の山好きの人に「京都府の最高峰は?」と尋ねて「さぁ?」という返事なら普通ではないかと思う。それぐらい京都には際立った山がない。ちなみに最高峰は、鯖街道西の皆子山(みなごやま 971m)だそうだ。私も先ほど調べて初めて知った。 高い山はないものの京都市を囲む山並は続いて幾重にも深い。市内から望む三方の連山を、西山・北山・東山という。西山は南寄りのポンポン山付近、東山は伏見稲荷の背後にある稲荷山を南に北は比叡山まで。北山は山岳重畳の北部一帯を指す。また東山を総称して東山三十六峰と呼ぶ。市内から実際に三十六の峰を指呼できるわけではなく、三十六は三十六計逃ぐるにしかずや四十八滝などと同じ多数の意味である。東山は、連なる山々と起伏の多さがより間近に映ったのであろう。 三十六峰から窺えるように、市内から眺める稜線がまずは京都の山の姿であった。月を観るように、海を観るように。 ハイキングの大衆化した今、近郊の山はどこも登山道が多く拓かれている。東山も例に漏れずで、山麓に建立された寺社の裏手から山へ入るハイキングコースが多く存在する。峰の数は三十六なくともルートの数なら三十六をゆうに越しそうだ。それらのコースを束ねる縦走路が京都一周トレイルや東海自然歩道という道である。 「東山三十六峰マウンテンマラソン」は京都一周トレイルの東山コースにほぼ重なる。しかし、信号機の回避やエイド設置の都合で外れる箇所も多い。京都一周トレイルのマップは 京都市産業観光局観光部観光企画課に申し込めば 入手できるが、おそらくそのマップがあってもこの大会のコースは試走できないであろう。それどころか当大会事務局作成のコースマップを手にしていても難しいと思われる。 今回初参加で無事にゴールできたのは、コース案内を務める多数のスタッフの方々と、前走者の導き、チョークやリボンのおかげである。コースは予想以上に入り組んでいたが、運営のサポートも予想以上に行き届いていたという印象を受けた。しかし、それは自分がミスなく辿れたからかもしれない。道を間違えて引き返していたグループもいたし、この曲がり角になぜ案内がないのか不思議な箇所もあった。こういうレースに出ていると、いつか自分もコースミスで大きなロスタイムを負うはめになりそうだ。どうすればルートを間違わないですむか、それも山岳縦走マラソンに必要な技能として、修練と覚悟を積んでおきたい。 かなりやっかいなコースであったが、道のアップダウンと走りやすさを兼ね、かつ東山の地理的要所を欲張りに押さえたコースであったと思う。見どころは多かったが、足元に払う注意と先を急ぐ気持ちで、どこをどう走ったのか分からないというのが今の私の現状である。 その見過ごしてしまった魅力を、これから完走記を綴ることで少しでも補えればと願う。 ▲東山から京都市内を見下ろして |
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