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6月のタイで食べたマンゴーは最高だった。日本にもマンゴーはあるが、あそこまでのものはなかなかない。だが、銀座をブラブラしているある日、きちんとした店舗ではなく、ちょっとした物産展の雰囲気をかもしている農産物販売所で売ってるマンゴーを試食したら、タイで食べた味そのもの・・・いや、もしかすると凌いでいると言ってもいいレベルで、驚いた。OTENTOというブランド名。聞けば日本の資本で、現地の農場で生産したものを直接販売しているのだという。マンゴスチンもあったのだが、残念ながらこちらは少しフレッシュさがない気がした。現地の味とはだいぶ差がある。だが、マンゴーは文句なし。値段は現地の市場の・・・何倍だろう? 10倍?チェンマイのワロロット市場で、こぼれんばかりに積み上げられて売られていたマンゴー。あの熱帯の豊かさと大都会銀座の臨時直売所では比べるべくもないが、マンゴーに関してだけ言えば、見かけはタイの市場のものよりぐっといい。サイズも大きいし、色つやもいかにも美味しそう。日本に来て急に高級な希少品になった感がある。いずれにせよ、政情不安で足が遠のいたタイへの郷愁をまたかきたてられる味だった。次はやっぱり、南のプーケットかな。「いつフランスから帰って来たんだっけ?」(←Mizumizu連れ合いの台詞)
2010.07.02
タイで功成り名を遂げた異邦人の中でも、ジム・トンプソンほどチャーミングでミステリアスな男はいない。アメリカの裕福な家庭に生まれ、大学卒業後、いったんは建築家として人生のキャリアをスタートさせながら、戦争が勃発すると志願兵に。自ら進んで諜報員に転じ、ヨーロッパへ。さらにドイツ降伏後は、日本軍への秘密作戦に従事すべくインドシナ半島へ。そこで終戦となったのちは、タイで実業家に転じ、衰退著しかったタイシルクを産業として復興させ、世界にその名を広めた。そして人生の絶頂期に、バカンス先のマレーシアで謎の失踪。いまだに行方が知れない。バンコクのジム・トンプソン・ハウスは、日本人にはあまり知られていないが、ぜひとも足を運んで欲しいスポットだ。ここを見ると、ジム・トンプソンという男性が、並外れた美意識の持ち主であったことがわかる。ティファニーの「フランク・ゲーリー」シリーズの例を挙げるまでもなく、昨今、建築家にオシャレもののデザインを任せるのが流行りだが、ジム・トンプソンにこうした仕事を依頼したら、さぞや洗練された、一味違うものを作ってくれただろう。ジム・トンプソンの家には、建築家としての彼の空間意識の高さが示されているのはもちろんだが、東南アジアの古美術品に対する彼独自の鋭い審美眼が室内装飾に存分に生かされている。美的な家を作るには、財力が必要だが、それだけでは成金の家ができるだけだ。トンプソンの家は、成金趣味の調度品はほとんどない。どれも控え目だが、熟考に熟考を重ねて選ばれた美しいものばかり。自ら国境を越えて収集に出かけたという東南アジアの古い仏像は、タイの美術館でもなかなかお目にかかれない一級品だ。それをトンプソンは自身の美学にしたがって、部屋と調和するように配置している。仏像を置くための空間を特別に考えながら、部屋が美術品の展示室になることなく、あくまで美術品が部屋の一部になり、空間を装飾しているところに、限りない贅沢を感じた。しかも、彼は単なる好事家ではなく、ビジネスの才能もあった。さらに、戦時下には諜報員として暗躍し、謎の失踪を遂げたまま永遠に姿を消したというミステリーも手伝って、その人生は家を訪れる人の好奇心と想像力を掻き立てる。個人名としては破格のブランド力をもつ、ジム・トンプソン。バンコクではタイシルク製品の店として観光客に人気があるが、日本では、なぜか「ジム・トンプソン・テーブル」というレストラン・ブランドとして、進出を果たした。バンコクではあまり聞いたことがない。レストランやバーはあるようだが、やはりタイシルクのショップのほうが有名。店は赤坂と銀座にあるが、Mizumizuが行ったのは、銀座のマロニエゲート。ここは最近、仕事の打ち合わせも兼ねてよくランチに出向いている。「ジム・トンプソン・テーブル」も「タイセレクト」認定店。店の前にごちゃごちゃ出されたたて看板が、いかにも若者狙いのマロニエゲート。こういう宣伝をするから、マロニエゲートのレストランは、イマイチ垢抜けない。内装は、ライトグリーンを基調とした、明るい雰囲気。平日のランチは、一品料理に食べ放題ブッフェが付く。こちらがブッフェから取ってきた前菜。春雨や野菜、シーフードなど各種のサラダに、鶏の照り焼きなど。ブッフェとしては、味はいいほう。というか、このくらいがブッフェの限界と言うべきか。長方形の皿がオシャレ。ソムオーとはえらい違い(笑)。向こうに見えるのは、黒タピオカのココナッツミルク、蓮茶、春雨入りスープ。蓮茶は、たぶん初めて飲んだが、とても美味しいお茶だった。一品料理は、Mizumizuは定番のグリーンカレー。タイ料理は、グリーンカレーの味で決まる・・・と個人的には思っている(苦笑)。ジム・トンプソンのグリーンカレーはかなり甘く、西洋人好みにしてある。だが、これはこれで非常に美味しい。日本で食べるグリーンカレーの中では、個人的にはかなりの上位に来る。ライスももちろん長米。もう少し上等なジャスミンライスが欲しかったが、香りが強いお米は、日本では「くさい」とか言って嫌う人が多いので、あえてこのぐらいのものにしているのかもしれない。Mizumizu連れ合いはガパオライス。鶏肉のバジル炒めご飯で、タイでは屋台の定番らしいのだが、タイでは食べたことがない。要はアジアの混ぜ混ぜご飯だと思う。韓国のビビンバもこの系統かと。連れ合いは、やや「西洋人に媚びた風」になっているのが、気に入らないらしく、再訪するならソムオーだという。Mizumizuは、だんぜんジム・トンプソン・テーブルのほうがいい。黒タピオカのココナッツミルクはアップで。タピオカは大粒のほうが、もちもちしていて美味しいと思う。洋風のシフォンケーキとプティングもあった。味は・・・「・・・・」まあ、東南アジアの洋物スイーツってのは、期待はできない。ちなみに、まずくはありません。値段も手ごろだし、味も「上だ」し、悪くない店だ。しかし、ジム・トンプソンの名前を、こんなカジュアルな若者向けレストランに使うのは、多少もったいない気もした。高級路線ではやっていきにくいのかもしれないが、あの謎めいた魅惑の男、「ジム・トンプソン」の香りは・・・カケラもない店だった。ティファニー フランク・ゲリー フィッシュブレスレット送料無料・プレゼントにメール便送料無料【Jim Thompson】 蝶柄 バタフライシルクブランド 【ジムトンプソン】コットン ハンカチ 20%オフ47.5cm四方
2009.11.27
「タイセレクト」認定店のソムオー。新大久保と高円寺に店舗があり、距離的に近い高円寺店に行ってみた。駅からも近く、店舗は彫刻を施した木をふんだんに使ったタイ風の内装。厨房では、若いタイ人の男の子が2人。ウエイトレスの女の子も日本語が達者なタイ人。ここはランチメニューが豊富。カオソイもあったが、麺がインスタント麺のようで、もうひとつ食指が動かない。Mizumizu連れ合いは、珍しくパッタイ(タイ風焼きそば)をオーダー。タイ人が作るパッタイだけあって、かなり辛い。・・・のだが、なぜかナンプラーや砂糖といったお決まりの調味料が出てこなかった。パッタイのほかには、日本風のサラダとスープ、デザートのタピオカココナッツが付く。タピオカは大粒で美味。・・・なのだが、お皿はまるで赤ちゃん用(苦笑)。ここまで安っぽいプラスティック皿は久々に見た。Mizumizuは3種のカレーにしてみた。レッドカレーとグリーンカレーのカレースープはかなりイケる。タイで言えば、アタリの屋台といったところ。・・・なのだが、野菜の切り方が物凄くザツ(苦笑)。しかも、これでもかッてぐらい入ってる。グリーンカレーからはあふれそうなタケノコの山。あまりにテキトーに切ってあるせいか、はたまた火の通りが悪いのか、なんとなく生っぽい。イエローカレーはベトナム風。・・・なのだが、これ、びっくりするほど「ぬるい」。タイでもえらく「ぬるい」カレーが出てきたことがあった。タイ人は猫舌で、あまり熱いものを好まないと聞いた。そのせいかもしれない。・・・にしても、このイエローカレーはあまりにぬるすぎた。にんじんもデカすぎ。カレーのほかに、やはりスープとタピオカココナッツがつき、ボリュームは満点。・・・というか、多すぎる(苦笑)。店内を見渡すと、若い男性が多い。ナルホド。そういう店ですか。ドリンクは飲み放題で、種類も多いが、ハッキリ言ってどれもイマイチ。・・・というか、イマサンぐらいか。率直に言えば、マズい。特にコーヒーは、オイオイってレベル。料理の味そのものは本格的タイ料理なのだが、あちこちがテキトーなところが、またタイそのものというべきか。Mizumizu連れ合いは、「また来てもいいかな」と言っていたが、Mizumizu自身は、微妙。会計のとき、1900円(2人でこれだけ食べて1900円というのは、相当安いと思う)を7900円と打ち間違えてきた。キャンセル方法がわからないとかで、結局そのままサインして、6000円を返してもらった。なんか、こういう適当なところ、でも決して悪気はなく、間違いを指摘されたら一生懸命合掌しながら謝っているところなどは、タイで見聞したタイ人そのもので、懐かしくなった。
2009.11.25
最近は、銀座のランチもかなりお得感がある。マロニエゲートのヴェトナム料理店ヴェトナム・アリスは、料理本まで出してる有名店だけあって、ランチもプレゼンテーション、味、値段ともにハナマルをあげられる。ヴェトナムアリスのアジアン・エスニックMizumizuがヴェトナム料理のウマさを知ったのは、北海道のザ・ウィンザーホテル洞爺のレストラン。ミシュランの星付きレストランばかり宣伝されるが、あの野菜中心のバカ高いフレンチより、値段も手ごろだし、味もいいし、ずっとオススメ。シェフが替わっていなければ、だが。ヴェトナム料理はよく言われることだが、フレンチの風を受けて洗練された。タイ料理ほど辛くなく、中華ほど油っぽくないが、この2つの伝統的な料理の影響もある。その意味では、フュージョン料理の先駆けとも言える。なかなか美味しいヴェトナム料理の店が日本になかったのだが、最近は様相が変わってきた。こちらは1500円のランチセットにつく春巻き。揚げ春巻き、生春巻きにさつま揚げ、別の皿には蒸春巻き。向こうに見えるヴェトナム醤油をかけていただく。好みによっては香草を一緒に食べてもいい。日本人には香草が嫌いな人も多い。こうやって水を入れたガラスに挿しておけば、好きな人は好きなだけ自分でアレンジできる。よく考えている。春巻きもサーブするときは、この2つの小皿を重ねて手に提げて持ってくる。テーブルの上で上下を広げて2つの小皿に展開するプレゼンテーションは、なかなか。アジアの汁麺が大好きなMizumizu連れ合いが頼んだのは、ブン・ボー・フエという辛口のビーフン、牛スジ入り。野菜ともやしを自分でトッピングして食べる。辛さの中にさわやかな酸味のあるスープは、この値段にしてはかなりのもの。連れ合い、大いに気に入る。カレー星人のMizumizuはヴェトナム風チキンカレー。ど~んとのっているのは、里芋とニンジンで、チキンは後ろに隠れている。タイのイエローカレーのようなものかな、と思ったら、それよりずっと美味しかった(タイカレーは好きなのだが、イエローだけはどうも・・・)。隠し味にレモングラスを使っているとか。マイルドだが、なかなかに深い風味を出している。ご飯が水っぽい日本米なのは・・・ 長米を嫌う人が多い日本では仕方ないのかな。こういうエスニックカレーには水気のない長米のが絶対に合うと思うのだけど。食後についてくるヴェトナムコーヒー。ナポリの直火エスプレッソみたいな淹れ方をするコーヒー。このプレゼンテーションも珍しくてgood。紙や布で濾さない分、湿った大地の香りそのものがするよう。悪く言えば雑味が出てる、ということになるのかも。こういうタイプのコーヒーも好きなのだが、下の練乳と混ぜたら、なんか缶コーヒーみたいになっちゃった(笑)。値段のわりに満足度が非常に高く、リピートは決定。次は「鶏肉のレモングラスごはん」にしてみようっと。ヴェトナム・アリスは新宿ルミネにもある。銀座のマロニエゲートは、2007年にオープンした比較的新しいビルなのだが、三菱地所がリキ入れて作った丸の内のビジネス&ショッピング・ビルディング群とは、あらゆる意味で雲泥の差。張りぼてパネルで内装をおしゃれっぽくしているが、基本的にあまりカネかけてないので、時間の経過とともに(←それもたった2年)かなり化けの皮が剥がれてきた。それでも、エレベータ表示はポップなデザインでカワイイと思っている。写真にしたらたいしたことないケド、黄色と紫の色遣いもなかなかキュートで好きなのだ。マロニエゲート1階、エントランスのデコレーション。11月に入ってクリスマス・モードに。このチャチさがいいよね。なんとか頑張ってオシャレにしようという、努力は大いに買います。全体的にどうしても垢抜けないが・・・こちらは、銀座の大通り。この道は旧東海道だったとか(←NHKの「ブラタモリ」という番組で聞きかじった話。この番組は、エラク面白い)。澄んだ秋空をいただいた夕暮れの銀座には、胸を締めつけられるような美しさがある。今は海外の有名ブランド店が多い銀座だが、羽振りのいいガイコク企業が進出しても、あるいはこののち撤退しても、銀座は銀座で揺ぎなくここにあり、地元民の誇りであり、おのぼりさんの憧れであり続けるだろうと思う。
2009.11.04
日本でもすっかりポピュラーになったタイ料理。それでも、タイから帰って来ると、「日本のタイ料理はどこかドロくさい。おまけに値段が高い」と思わずにいられない。どっかに頼りになる指針はないものか――と思っていたら、「タイセレクト」なるものがある、と小耳にはさんだ。タイ国政府商務省が認定する、本格的タイ料理店。全国に100店舗弱あるらしい。ちょうど用事があって有楽町に出かけた折、ビックカメラ有楽町店の6Fに「コカレストラン」という「タイセレクト」認定店があったのでランチに寄ってみた。入り口に掲げてあるこちらが、「タイセレクト」認定証。ふむふむ、政府お墨付きの本格タイ料理ってのは、いかがなもので・・・お店の雰囲気はファミレス風。ランチメニューはこの場所にしてはずいぶん安かった。ただ・・・ ビックカメラの上というのは、オシャレ度ゼロ、お食事のトキメキ度ゼロの場所かもしれない。つまり、手軽に、気軽に入れる店だ。連れ合いの頼んだイサーンランチには、まず、ソムタム(パパイヤのサラダ)登場。かなり辛い。とはいえ、シャキシャキしたパパイヤの噛み心地と、酸っぱくて少し青臭い、そしてほんのり甘い、ソムタムの味の複雑さはかなり出ている。合格の鐘~♪♪ タラララ、タラララ、タラ~ラ♪♪スープはトムヤム風。こうしたランチでは、単にコンソメスープにパクチー散らしたものが出てきがちだが、まがいなりにもトムヤムスープを出してくるところはエライ。具がチョット単純だけど、ランチセットだもんね、文句は言えない。そしてこちらが、イサーン風焼き鳥。もち米が付いてきた。イサーンとはタイの東北部。文化的に非常に栄えた時代もあったのだが、それも今は昔。タイの中でも貧困層の多い地域として知られ、都市部でフーゾク関係の仕事に就いているのは、イサーン出身者が多いのだとか。とまれ、イサーン料理はタイでもよく見かける。どういう特徴があるのかまでは、もうひとつわかってないのだが、もち米をよく食べるという話は聞いた。ソムタムももともとは、イサーンの料理らしい。今はタイ全土で食べられるが、そういえば、バンコクには案外少なく、北のチェンマイにはどこにでもあった。地理的にイサーンに近いせいかもしれない。焼き鳥の味は・・・Mizumizuは食べなかったのでわかりません。連れ合いによれば、辛いそうです、かなり。別にまずくはないけど、一度食べれば、こういうものかと満足する味のよう(←微妙な言い方・笑)。Mizumizuは定番のグリーンカレー。ココナッツの風味がかなり強いのだが、これまたかなり辛い。とは言え・・・合格の鐘~♪♪ タラララ、タラララ、タラ~ラ♪♪ファミレス風とはいえ、かなり頑張ってる味とお値段。満足しました。わざわざ行くとは思えないけど(いや、単に地理的に遠いだけ)、また近くに来た折には寄って食べてもいいと思う。「本格的なタイ料理」と言えるかどうかはわからない(そりゃ、間違いなくチェンマイのタイ料理のがウマイ)が、とりあえず、日本人向けに辛さをガクンと抑えてるということはない。ドロ臭さも、さほど感じなかった。辛いタイ料理が大丈夫な方は、近くに来た折に(←なんか妙に強調してる?・笑)、どうぞ。チェンマイの「ギャラリー」で食べた焼き飯(カオパット)とか、ラムドゥアンで食べた「カオソイ」とか、なつかしくてたまらない。エレファントキャンプの象さんにも、ずいぶん癒された。チェンマイに長期滞在する日本人が多いのも、あの料理のウマさと安さを考えると頷ける。と、東京でタイ国政府公認のタイ料理店に来て、またも思うのだった。
2009.10.26
石垣島の「ペンギン食堂」で売っている「石垣島ラー油」。テレビで紹介されて人気が出たとか。初めてのお客さんは直接頼んでも数ヶ月待ち…… という話も聞いたのだが、Mizumizuの場合は近所の店をとおして予約、いつもスンナリ買っている。普通のラー油のようには辛くない。そのかわり奥深く、複雑な味。島唐辛子、唐辛子、春ウコン、秋ウコン、ピパーチ、石垣の塩、黒糖、黒豆、白ゴマ、ニンニク、山椒、植物油…… こんなにいろいろなものが入っている。ラーメンなどのほかに、冷奴にかけるとやみつきになるおいしさ。ご飯にそのままかけて食べる人もいるらしい。
2008.04.05
久々に三宿の新記に行ってみた。香港ではいたってポピュラーだが、なぜか日本では珍しい、本場の海老ワンタン麺が食べられる店だ。贔屓にしてる店だが、日曜日の夕飯時は、えらい賑わいで、待ってる人もいた。ここまで混んでいたのは今回が初めて。中国人のウェイターさんが、愛想をふりまきながらテキパキと動き回る。忙しいのを楽しんでいるようでもあり、やはり活気のある店はいいな~と思う。ここの麺料理は、香港麺と日本麺が選べるが、迷うことなく香港麺を選ぼう。アヒルの卵の白身を練りこんだという極細の、コシのある香港麺。食べなれた日本の麺とはまったく別物で、まさに中華料理の奥深さに思いを馳せることができる。写真は手前が汁なしの海老ワンタン麺(労麺)。焼きソバではない。茹でた麺に中国醤油ベースのタレがかかっている。右が労麺につく上湯スープ。その上がこの店の一番人気料理の湯麺(スープに入った麺)。スープは豚骨ベースだが、くどくなく、あっさりとしながらも、そこはかとない奥深さがある。そこにぷりぷりの海老をくるんだワンタンがのってくる。日本で海老ワンタンを出す店があまりないのは、単純に「作るのが面倒だから」だという。香港ではあっちでもこっちでも作っているというのに、それはないだろう。香港では日本人も大好きな海老ワンタン。もっともっと日本でも普及してほしいと思う。湯麺には自家製のラー油をかけていただく。湯麺のあっさりした上品な味わいに辛いアクセントが刺激的だ。写真奥は水餃子。ナルホド、これなら「中国では餃子といえば、水餃子。焼き餃子なんてものは、古くなった餃子をムリヤリ食べるための調理法」というのも頷ける。厚手の皮がふっくらもちもち。中の豚肉にもしっかり味がついていて、まさに本家の餃子をいただいた気分。そういえば、もう20年も前になるが、中国旅行に行ったとき、上海のホテルで食べた餃子がこんな感じだった。パクッと齧ったとたん、もちもちの皮の中から味のしっかりついた具がジワッ~と口の中に染み出してきた。皮の美味しさ、中の具材の絶妙な味付け… 日本で食べてる餃子って何なんだろう、とカルチャーショックだった(ちなみにそのときの旅行はツアーだったが、野菜や肉などの炒めものの料理はまったく大したことはなかった)。「ラビオリなんて、点心の亜流」と中国人が胸を張る気持ちも、このレベルの餃子を食べるとよくわかる。加えて三宿の新記は年中無休。本当に中国人はよく働く。Mizumizuはクリスマスから新年をイギリスで過ごすなどという暴挙を、若き日にしてしまったことがある。お店は全部クローズ、鉄道さえ止まってしまい、ロンドンの真ん中で、マジで飢え死にするかと思った。そんなときでも中華料理店(とインド料理店)は開いていた。大晦日に中華料理店でチャーハンにありついたときの感動は忘れられない。折りしも中国産の食材の不安が広がっている昨今、このようにキチンとした仕事をしてる中国人による中華料理店もあるのだから、中国大陸のお偉方も、「外国のメディアが大げさに騒いでるだけ」なんて詭弁はやめて、まともな努力をしてほしいものだ。
2007.07.09
今回ご紹介する「夢飯」は西荻でも屈指の人気店だ。場所も便利。駅を降りて、「カレー屋通り」を少し歩き、向かい側に三菱東京UFJが見えたところで左折。ほの暗い路地にある。西荻とは思えない(?)洒脱でこざっぱりとした店だ。若いカップルでいつも混んでいて、週末は行列が出来ることも。ここは「日本で最初の海南チキンライス専門店」として出発したという。人気の海南チキンライスは、鶏がらのスープで炊いたご飯に蒸し鶏、しょうがレモン・チリ・中国醤油の3種のタレ、それにキュウリが添えられている。好みのタレをつけながら、鶏とキュウリとご飯を一緒に口に放り込むと、なんともシアワセ。ちょっぴり中華でちょっぴりエスニックな、でもやさしい味が口いっぱいにひろがるのだ。マレー風カレーもなかなかだ。味は日本人向けにマイルドにアレンジされている気がするが、コリアンダーの香りも甘やかで、トマトの酸味とココナッツの風味豊かなマレーのカレーのエッセンスは味わえると思う。逆に、エスニックが苦手の人でもイケるのではないか。写真は「小」。この店は「小」「中」「大」で量が選べるのも特長。中華風のおかゆもある。写真は「鶏がゆ」、カレー味の卵は別にオーダー。塩味が強く、一口目はおいしく感じるが、ややダシの力が弱いかな。それは、この店全般に言えることで、ダシにはあまり深みはないかもしれない。ゴマとココナッツの白玉のデザートもなかなかユニーク。ひんやりとしたお皿に、少し暖かな白玉がのっている。グレーのベースは一瞬「チョコレート?」と思うようなリッチな口当たり。これもなかなかなのだけど、白玉の質は特段高くは、ない。マンゴー&杏仁プリンもイイ。マンゴープリン自体は酸味が強く、それほどでも… なのだけど、濃厚な口当たりの甘い杏仁プリンと合わせて食べると、「お値段(430円)以上」の満足感が得られる。すべてに関してハズレはなく、料理もそれほど待たずに出てくる。明るい雰囲気で、リゾート気分を盛り上げるようなポップな音楽が流れている。若者を中心に人気があるのも頷ける店。西荻ならではのディープな雰囲気ではないが、行って後悔はしない、素敵な店だと思う。店名 Mu-Hung 住所 東京都杉並区西荻北3-21-2 徳田ビル1F 電話 03-3394-9191
2007.06.25
荻窪駅の北、歩きにくいロータリーを越えて、青梅街道を阿佐ヶ谷方面に進むこと約5分。店が途切れて、さみし~くなりはじめたところに、その店はある。見よ! このうらぶれた感じ(失礼じゃん)。今回紹介するのは真ん中の「馬来風光美食」。そこはかとなくエスニックな字体の漢字の看板(これでも新しくなりました。ちょっと前まで店の名前の色が剥げてて、夜になると判読不明のただの板になってたもん。今や文字はゴージャス??なゴールドでライトまでついてる!)ですね。ところで、なんて読むかわかります? マーライ・ふうこう・びしょく、つまりここは中華系マレー料理の店なのです。急な階段を降りて右。狭くて暗いお店を、たった一人の若き女性がテキパキと切り盛りしてる(ホント、中華系ってたくましいよね)。イポー(ってどこさ? ま、マレーシアなのは確か)出身の中華系マレーシア人。お店の雰囲気は… うーーん、論評を避けよう。なんというか、マレーの屋台料理を室内で味わうための空間、ってことで勘弁して。とりあえず、アットホームなことは間違いなし。4人掛けのテーブル2つとカウンターだけ。そこに明るくてテキパキした女性シェフ1人… でもシェフというより、料理上手な「従姉妹」に美味しいものを作ってもらってる、っていったほうが当たってる気がする。話さなければ、外国人とはわからないルックスも含めて、親近感のわくキャラクターなのです。これは魚と豚肉のすり身を湯葉でくるんで揚げた「炸腐皮」。特製のチリソースでいただきます。生の湯葉とは全然違う味ですが、そういわれれば豆腐っぽい風味が… 「へー、湯葉って揚げるとこんな感じなんだ」とかなり目からウロコです。うーーん、熱帯の夜の屋台では、みんなこんなの食べてるんだろうな~ とマレーシアに行ったことはないのですが、想像してみたりして。そして、イチオシはマレー風チキンカレー。不思議なことに毎回、微妙に味が違う気がするんですよね。安定してないというべきか、手作り感があって飽きないというべきか… 入ってる野菜もあるときはナスだったり、あるときはトマトだったり。このへんも「料理上手な従姉妹」に作ってもらってるって印象を高めてます。ところでカレーのお味ですが、相当強烈です。「そんなに辛くしてない」らしいんだけど、それでもかなり辛い。東南アジアのスパイスにココナッツの隠し味、それに揚げたナッツと香草(シャンツァイ、マレーシアではパクチーかな?)のトッピング。ジャスミンライスの香りも高く、うーーん、酔ってしまいそう! 日本人の解釈の混ざってない「中華系マレーシア料理」というエスニック。なかなか貴重な存在だと思います。おまけに安い! 小皿料理だと500円を切るのもあるし、カレーだって1000円しない。インドカレーなんかだと1200円ぐらいはするのが相場の荻窪だから、ずいぶん良心的な値段設定です。1人でやっていればこそですね。小さい店ということもあるけど、常連さんでいつも混んでます。いきなり予約なしで行くと、「ごめんなさ~い。今日は予約でいっぱいで…」と断られることもしばしば。事前の電話予約は必須でしょう。ところで、この店、「メニューにない料理もたくさんあるよ」ってことですが、メニューに「ある」亀ゼリーがなぜかいつもない。「今日はない」「今、材料が切れてる」「ごめんなさい。今日は忙しくて。次回はゼッタイ作る」などなどと言われます。次回は本当に食べられるのかな? 誰か食べた人いますか? 馬来風光美食の幻(と勝手に命名)の亀ゼリー。仕込みに手間がかかるのかもね。なにせ1人でやってるから。2人で行って別々のものを頼むと、料理が出てくるのが時間差になることだってある。1人だから仕方ない。サービス面は、良心的な値段がカバーしてると考えましょう。今は夜しかやってないので、注意。
2007.06.10
ぷあん (タイ料理 / 西荻窪)★★★★☆ 4.0西荻窪の週末の名物と言ってもいい、「ぷあん」のカオソイ。900円。「この店この一品」の西荻北の横綱が坂本屋のカツ丼なら、南の横綱はまちないなく、コレ。タイ北部のココナッツミルクスープラーメン、とのことですが、麺はラーメンというよりイタリアのフェットチーネのよう。もちもちなのです。そして、カリカリの揚げ麺がトッピングされていて、対照的な食感が楽しめます。さらには骨付きの鶏肉まで入っていて、ボリューム満点。薬味として出てくる高菜とムラサキタマネギを入れると、また一味変った味が楽しめるのです。スープがまた絶品。辛さの中に甘やかなココナッツの風味がいっぱい。こういう、辛くて甘いという強烈な味覚は、日本料理にはない領域ですよね。スープも当然、全部飲み干しちゃいますね。かつて吉祥寺にあった「ジャイタイ」のグリーンカレーも洗練された味だったけど、そのジャイタイなき今、ここまで上品なタイ料理を味あわせてくれる店はもはや、西荻・吉祥寺近辺ではここだけかも。昼12時すぎから始まるこの店で、午後2時(!)に行って、すでに「今日、カオソイ終っちゃったんですけど、いいですか?」と言われたことも。同じように声かけられてるお客さんもいました。これ目当てに週末やってくる常連さんがいかに多いかってことでしょう。なんで平日は作らないのだろうか?ぷあんの前の道はこんな感じ。アジアンな路地なのです。せまい車道の両側には昭和30年代に建てられたとおぼしき建物がお互いに支えあうように建っています。天井も低いし、ドアも小さい。ごちゃごちゃした電線もなんとなく懐かしいのです。暑くなってくると、お店の中庭(?)から風が吹き抜けてくるんですよね。うーーん、このなまめいた心地よさもやっぱり、どこまでもアジアンなのです。週末のお昼に西荻に降り立ったアナタ、エスニックの味がわかるなら、迷わずに「ぷあん」にGO! キッチンで料理してるオーナーの女性が、暖かく迎えてくれるでしょう。時々、長期でタイに食材の調達にいくとかでクローズすることがあるので、事前の電話連絡はお忘れなく。中央線西荻窪、徒歩3分。杉並区西荻窪南2-24-1tel 03-5346-1699定休日=月曜日開店時間=昼12:00~15:30 夜17:00~22:30
2007.06.07
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