土曜日の書斎 別室

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ダンディー少佐

【土曜日の書斎】  名作断章




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(サム ・ ペキンパー監督作品 『ダンディー少佐』 )

  南北戦争末期・・・。
  合衆国政府軍の騎兵一個中隊がアパッチの一団に襲撃され、 全滅。
  合衆国軍の ダンディー少佐 (チャールトン ・ ヘストン) は、 南軍捕虜 20名 を含む、 総員 46名の討伐隊を指揮し、 アパッチを追って、 メキシコ領へ越境。
  討伐隊は、 メキシコ侵略中のフランス軍と衝突し、 大部隊から追われる羽目に・・・。

  悪戦苦闘の果て・・・アパッチを殲滅し、 所期の目的を達するが、 討伐隊が国境のリオ ・ グランデ河にたどり着くと、 対岸 (詰まり・・・米国領内) にはフランス槍騎兵一個大隊が布陣し、 彼らを待ち構えていた。
  背後からも大軍が迫っている。
  ダンディー少佐は戦闘命令を発し、 字義通り・・・リオ ・ グランデ河を鮮血で染める、 凄絶な死闘が繰り広げられる。
  時に・・・1865年4月19日。
  南北戦争終結から十日後の事であった。




ダンディー少佐

(1865年4月19日)




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『ダンディー少佐』 (1964年度作品) は、 バイオレンス映画の巨匠として知られる サム ・ ペキンパー 『昼下りの決闘』 (1962年度作品) に続いて監督した西部劇です。
  キャスティングも豪華なら、 戦闘スペクタクル場面も圧倒的な迫力で、 堂々たる大作の風格を示しているのですが、 脚本が見事に破綻していて、 ペキンパー作品中では最も評価の芳しくない仕上がりになっています。
  製作サイドと紛糾を重ね、 主演の チャールトン ・ ヘストン の横槍も加わって、 結末を大幅に書き換えられた顛末は、 つとに知られている所で、 監督からしたら、 自らのキャリアから抹消したい程の作品なのかも知れませんが、 それなりの見所は盛り込まれているものです。
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  階級上昇志向の強い主人公 ・ ダンディー少佐 と事々に対立する タイリーン南軍大尉 (リチャード ・ ハリス) が体現する反骨精神。
  捕虜の身となっても失われる事のない南部軍人の誇り・・・不滅の南部魂を描いた、 幾つかの印象的なエピソード。
  誰の眼にも有能な指揮官と映っていたダンディーが、 アパッチの矢を受け、 一時的に指揮権を喪失したのを転機に、 人間的な脆さを曝し出していくのと反対に、 負け犬的な立場であったタイリーンが求心力を高めていく、 詰まり・・・ダンディーの優位性が崩れてしまう展開の中に、 辛うじてペキンパーの面目を見て取る事は出来ます。

  ・・・因みに、 この作品に登場するアパッチは群盗同然の兇悪 ・ 兇暴な存在として描かれています。









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