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2021.08.29
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カテゴリ: 日替わり日記
「Cafeたね」は加藤さん夫妻が経営する小さな飲食店。その昔、うどん屋をしていた店をリフォームして開店したのが五年ほど前、伊那市で最も盛衰の激しい地域の裏通り。
かつては芸者置屋などもあり賑わった場所だが、今は通行人の誰とも会わずに通り抜けることができることがあるほど寂れた場所だ。
電気工(だったような気がする)ご主人と二人で汗水流して内装した、手作り感がいっぱいだが、前を通ってもうっかりすると通り過ぎてしまうほど目立たない店だった。
しかし、縁は異なものと言おうか、若い女性客…、いな、幅広い女性客たちのスポット的な店となり、ぼくの知るかぎり客の途絶えたのを見たことがない。
いや、実はぼくはあまり顔を出さなかったから、実際のところは知らない。いつ行っても女性やカップル、小さな子連れ家族などで埋まっていて、ぼくのようにシャイな男が一人で出入りするにはやや勇気がいるからだ。
それはともかく、その繁盛の秘密は夫婦の人柄、殊に奥方のTさんの物怖じしない、しかし可愛げな話しぶりや嫌みの無い、立ち振る舞いにあるのだろうと、ぼくは見ている。いうなれば“ とでもいおうか。
実年齢はお聞きしてないが、ご主人のHさんは還暦を迎え、娘さんもふたり嫁がせたというから、それなりの年齢だろう。しかし小柄で童顔のこともあり、誰が見ても、話しをすればなおのこと40歳台そこそこである。
それらにプラスして、「Cafeたね」という店のコンセプトや、味、食器、接客アイテムなどの工夫が優れていたと思う。真似ならできそうでも、トータルにまとめるには至難の業だ。
飲食店を出す人は誰もが自分の夢に、さまざまな知識・工夫を駆使して始める。しかし、出店した8割、9割は数年を経ずに撤退を迫られるのが実情だ。10年以上つづけている店は、資本がしっかりしているか経営者が特別に優れているからだろう。
その加藤さん一家が塩尻市洗馬に一軒家を購入し、あらたにあちらで開店するため、今日で閉店すると聞き訪れた。
前ぶりが長くなったが、これからが本題だ。
会計をしながら、問うてみた。
「せっかく伊那にひとつの文化が根付いたと思ったのに、無くしてしまうのは罪ではない…」と。
夫婦は謙遜して、笑って否定したが、ぼくはいたって真面目に問うたつもりだ。
伊那には昔から、ひそかに名店と言われた店が幾つかあった。いや、今もあるのだろうが、歳とともに行動半径の狭まったぼくは、あまり多くを知らない。
近年も、飯島食堂、肉の越後屋、料亭だるま…等々歴史を誇った名店が消えてしまった。小さないい店も数限りなく淘汰してゆく。
そういえば、20年ほど前、文芸仲間だったKさんがやっていた「Barモスコー」も伊那の文化人のたまり場のような場所であった。
医者、大学教授、新聞記者、弁護士のほか、芸術家や、一家言士、きどった女性客も出入りし、ぼくらのようなボンクラ客はむしろ少な目であった。ちなみにKさんのひとり娘は舞台女優をしているが、帰省時には店に顔を出し、演技論やその世界の裏話なども語ってくれた。
ぼくは、この店で親しくなった友人知人たちのお陰で、身の丈以上のものを身につけることができた。文化とは、神社仏閣などや伝統的に培われたものばかりでなく、人との繋がりで生まれ、時代とともに育ってゆくということを身をもって知らされた。
今だから話せるが、「モスコー」の会計は客の懐具合で決まるらしかった。隣席の客が五千円払ったあと、ぼくは千円かせいぜい二千円。だから隣席の客が帰った後でないと店を出にくかった。
話が逸れてしまったが、文化とは人との交わりのなかで生まれ消えてゆく。そういった意味で「Cafeたね」も、伊那のひとつの文化として定着しつつあると思っていたのに残念である。
“人間到る処に青山在り”といわれるように、加藤さん夫妻ならどこに行っても歓迎され、上手にやって行くことだろう。しかし、飲食店生存率にあるようにけしてラクな道のりではないだろう。







photoは、「Delicious×Komachi」ほか

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Last updated  2021.08.29 01:00:02
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