おぢさんの覚え書き

おぢさんの覚え書き

2016.06.10
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カテゴリ: 読書
福島第一原発事故による放射能汚染が気になりだしてネット上であれこれ読み漁っているのだが、やはりネットだけでも飽きるし効率も悪いので関連する本を読んでみた。

1/2読 ★★★

1979年5月から1980年3月まで朝日新聞の福島版と東北総合版の約2百回の連載をまとめたもので、今となっては貴重な事故より前のまとまった情報。本は事故が起きる31年前のもので、事故が起きた2011年頃の情報を得ようという目的には合わない。
1980年当時の福島第一原発とその周辺に於ける原発問題を幅広く取り上げた本となっていて「地震による津波の危険性についての認識や対策はどうだったのか」という今日的な関心には合っていない。
当時の原発問題一般を知る資料としての意味と、第一原発をサンプルとして原子力村の姿勢を窺い知るという意味のある本。
原発の運転技術者を養成するための訓練センターについて書いている節で宮城県沖地震に触れた個所がある。ここでは訓練センターのシミュレータは冷却材喪失事故など原発で予想されるあらゆるトラブルをスイッチ一つで再現して訓練できるといったことが書かれている。そして2011年に現実に起ってしまったような事態に関する以下のような記述もあった。

軽水炉の事故で一番怖いのは、炉心を冷やしている冷却水が失われたり、炉が「空だき」になることだ。ECCS(緊急炉心冷却)は、こういうとき炉心に水を送り込むための設備である。主蒸気管や給水管の切断を想定して、中央操作室後方にある教官卓(コンソール)のスイッチを押してみよう。
p.57

別の箇所で東電が計算した事故の際の被爆の推計でも冷却水喪失による空だきに触れている。

原子炉の冷却水が喪失し炉が空だきになるといった原発にとって最悪の事故が生じた場合、原発敷地周辺にいた人は、全身に二百五十ミリレム、甲状腺に八.三レムの被爆をすることになっている。原子炉で沸かした蒸気をタービン発電機に送る主蒸気管で破断した場合の全身被爆は四十五ミリレム、甲状腺被爆は二十一レムである。
p.146-147

空だきまでは想定しているがメルトダウンまでは想定に無いようだ。

下に掲げた目次にあるように第一原発に関わる雑多な問題が取り上げられている。1980年までに第一原発で発生した様々な事故「廃液漏洩事故(1973)」「ボヤ騒ぎ(1976)」「ガス中毒事故(1978)」にも触れている。


五十一年七月、福島第一原発の下請け作業員で周辺のある村出身のX(当時五四歳)が死んだ。胃がんだった。まだ暑い日差しが大地に照り返していたころ、村の遺族を訪ねた。≪中略≫「ちょうどあれは五十一年の田植えのころだったない。田植えで息子も原発を休んでおって、『どうも腹がゴロゴロする』というので病院で診てもらったら、すぐ手術ということになった。胃かいようだと思っとったが、切ってみたらがんということだった。そう長いこと入院もせず病院で死んでしまった」。老母はボソボソと当時を思い出しながら小声で語った。
p.201

Xががんで死んだころ、その前後二、三年で同じ会社の作業員だけで「六、七人が死んだ。全員ががんだった」と元下請け作業員のE(五一歳)は証言している。
p.202

Bの記憶では黒人作業員が一度に百人ぐらい投入されたこともあった。「こっちは三十とか五十ミリレムのアラームメーターを持つが、あの人たちのはもっととんでもない数だった。被ばく線量一日百ミリレムなんてものじゃなかった」。
p.203

これまでこれと同じような症状で死んだ作業員は、大学≪苗字(おぢさん補注)≫が知っているだけでも五人はいる。いずれも極度に疲労した状態が続き、それから血を吐き、体が衰弱していって最後は目、口、鼻、耳から血を出して死ぬ、といった無残な症状だったという。作業員たちはこれを「原発病」と呼んでいる。
p.212-213

目次:
 まえがき
プロローグ
 (1)スリーマイル島の日 (2)廃液漏えい事故
第1章 東電福島第一原発
 (1)スタッフ (2)BWR・訓練センター (3)ルポ・管理区域 (4)使用済み核燃料
 (5)放射性廃棄物 (6)防災 (7)ビル代行 (8)被爆 (9)環境監視 (10)元請け企業
 (11)下請け作業員 (12)所長 (13)緊急報告・1号機
第2章 生活
 (1)米人技術者 (2)生活・広報
第3章 地域



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1/2読 ★★★

19人の内外の科学者などの論集。一人当たりの分量が少なすぎて話が半分で終わった様な印象で欲求不満になる。それでも、おぢさんのように原発問題にあまり興味のなかった人には得られる情報も多い。より深く調べる手がかりとすれば悪くはない。


1/2読 ★★★

福島第一原発の電源が失われ二号機に冷却水を注入できないという情報が流れているなか、3月12日に1号機の爆発のニュースが流れた時おぢさんはメルトダウンを意識してこれは避難する必要があるかもしれないと思い始めていた。その当時の著者牧野氏の気分が綴られている。

この悪夢は少なくとも三重のものでした.最初は起こってほくなかった原発の重大事故,おそらくメルトダウンが実際に起こったこと,第二は,東京電力と政府の発表,マスコミでの報道や解説が事態をまったく過小評価するものであったこと,第三は,知人の物理系などの研究者を含めて,ネット上での論調のほとんどがこの過小評価を支持し,客観的な現実認識をこばむもののように見えたことです.
p.9

牧野氏はこのような思いを抱きながら科学的に考えた自身の認識をネット上に書いていた。


政府が避難を勧告した時には混雑により避難が困難になると考えたおぢさんは12日夜に西に向かって逃げた。結果的に関東からの避難が勧告されることはなかったが、日本政府が東京から住民を避難させる計画を立てていたことを考えれば適切な判断だったと思っている。

本書では高校程度の物理の知識とネット上で見つけることのできたデータで放出された放射性物質の量を桁程度では見積もることができたことが示されている。このように科学的に考えて簡単に放射性物質の大量放出があったことは分かっていたのに政府も専門家も著しい過小評価の嘘情報ばかりを垂れ流していたことが分かる。メルトダウンにしても放射性物質の大量放出も専門家は知っていて黙っていたとしかおぢさんには思えない。

目次
 まえがき
序章 3.11から最初の一週間
     ―三重の悪夢の中で
第1章 原発事故の規模
     ―自分で考えるための科学的方法
第2章 事故のシミュレーションはなされていた
     ―まかり通った大嘘
第3章 専門家も政府も,みんな間違えた?
     ―あるいは知っていて黙っていた?
第4章 原子力発電という巨大リスク
第5章 福島原発事故の健康影響をどう考え,それにどう対応するか
結びに
 付録 2011年3月19~21日に私が考えていたこと
     ―ウェブ日誌より「福島原発の事故(2011/3/19-21)」
 補論 ホットスポットと食品汚染


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Last updated  2016.06.12 09:20:10
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