りらっくママの日々

りらっくママの日々

2009年06月06日
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カテゴリ: オレとボク
今日の日記


「アイツとボク41」



同じ部署の先輩が精神的にキてしまったとかで、
会社を休みだしたのだ。

いきなりのことで、みんなビックリしていた。
先輩が持っていた得意先が、ボクの得意先と近いことから、
仕事の分担がボクにもまわってきた。

一気に押し寄せてきた仕事。
要領のいい同期や先輩は、適当に断ったらしいのに、
上司の疲れた顔を見たら、
つい引き受けてしまった…。

もし、ボクが引き受けなかったら、
あの仕事のしわ寄せが上司に全て行くかと思うと、
放っておけなかった。

上司は、人が良くて、面倒見が良くて、
弱音を吐かない人だけど、
ボクには時々弱い面を見せてくれた。
それは、ボクだから見せるような気がしていた。

新しい得意先を回るうちに、
先輩が精神的に病んだのが、
何となくわかってきた。

一人は気難しいジイサンの老人ホーム園長、
一人は何だかつかめないバアサンの幼稚園園長。

特に、ジイサンには閉口した。
ワンマンで、とにかく偉そう。
製品を使う前から文句ばかりだった。

バアサンは、わかってるんだかわかってないんだか。
その場はうなずくけど、
帰ってから、やっぱりわからないと何度も呼び出された。

カリナは相変わらずで、
ボクは彼女の話に終始頷いている。
触れば泣き出しそうな彼女にできるのはそれ位で、
もちろん結婚話も保留のままだ…。

「ごめん…、カリナ。
明日早くて…。
新しい得意先がちょっと慣れないんだよ。」

「そう…。
うん、いいの。また週末会えるもんね。
ごめんね。」

そう言って電話を淋しそうに切るカリナに申し訳ないと思いつつ、
ボクは疲れきっていた。

は~。
誰か助けてくれよ。

あの状態のカリナに仕事のことを話せる訳も無く、
かと言って、暗い顔してると親が心配するだろうし、
部屋にこもって、
好きな曲でもボンヤリ聴いていたい。

でも、そんな暇も無い程、帰りも遅くなっていった。

とりあえず、
カリナに短いメールだけは打っていたけど。
毎日、オヤスミ…と。

どんなに遅くなっても、
コレが来ていると安心するから…
とカリナが言っていたからだ。

正直休みも家で寝ていたかった。
でも、そんなことをカリナに言い出せなかった。
彼女にとって、
ボクと会えることだけが、
唯一の心の息抜きになってることがわかっていたからだ。

カリナの状況は、
聞けば聞くほど悪くなる。

負けたくない一心で、
仕事をやればやる程誤解が生じているらしい。
この前は、
「そんなに頑張る必要はないから。」
と、言われたそうだ。

でも、彼女は辞めない。
こんなことで負けたくないと言う。

わかってくれる人はわかってくれてるから…と。

お互い疲れて、
このままボクらはダメになってしまうのだろうか?
いや、せめてボクだけでも、
何とか気力を出さないと。

例え、あのジジイがボクの言うことなんか聞かなくても。
あのババアに何度呼び出されようと。


そんなある日、
いつも行く、馴染みの幼稚園の園長が、
ボクを見て言った。

「青山くん、疲れてるでしょ?」

「え?そう見えますか?
ヤダなぁ、顔に出てます?」

「ううん、多分顔には出てないわね。
アナタ、いつもニコニコ笑ってるから。

でもね、ちょっとマズいわ。
どこかで、抜かないと、アナタだめになるわ。」

キビキビしたお婆ちゃん園長ならではの、断言口調で言われる。

「あら園長?それは、いつもの予言ですか?」

「園長先生のは当たるんだよね~。」

職員が、先生の顔を脱いだ気安さでしゃべる。

「え?園長先生はそういうのがわかるんですか?」
ボクは驚いて聞いた。

「ううん、何だかちょっと伝わってくるだけ。
ナゼか知らないけど、そういう人がいるとわかるのよ。
若い頃は気のせいだと思ってたんだけどね。

何となく声をかけると、
とんでもない問題抱えてたりね…。
だから、こうしてココにいられるのかしらね?」

「私も園長のお陰でココにいますしね~。」

他の職員が過去何かあり気に言った。
園長がボクの顔をマジマジと見る。
ボクはギョッとしながらも、見られたままでいる。

「ああ…、でもアナタは大丈夫よ。
何かがアナタのこと支えてるみたい。
アナタの周り、イイ人が集まるみたいよ。
ちょっと大変でも、辛抱が実るわ。

でも…その辛抱が問題ね。
いつか息を抜くようになる。心当たりある?」

「検討もつかないです…。」

しまった。
これじゃあ、疲れてるって言ってるようなものだ。

「じゃあ、とりあえずコレでも飲んで、
少し休んで帰るといいわよ。」

園長が直々に淹れてくれたお茶をもらう。

「多少のことは、自分を許していいのよ。
それと、
これから、何か起こる気がするんだけど…。
何も無いといいわね。」

園長はお茶を持つボクに言った。

「怖いなぁ~。やめて下さいよ~。」

園長はニッコリと笑って、
子供たちの様子を見に行った。

お茶は温かく、ボクの喉をゆっくりと通って行き、
体がホカホカと温かくなった。
心が落ち着く。

何かって何だろう…?
いつもなら世間話ってことで流してしまうとこだけど、
妙に心にひっかかった。




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最終更新日  2010年03月27日 17時23分04秒
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