りらっくママの日々

りらっくママの日々

2009年08月22日
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「ある女の話:アヤカ3」



私がバンドに入って二ヶ月後のことだ。

最近タカダくんここに来ないんだね、って話をふったら、
エリが教えてくれた。
彼女ができてラブラブみたいだよ、って。

多分、学祭でいっしょにいた女の子かな?
って思った。

タカダくんの絵は、絵画教室で見たものとは違って、
一層上手くなっていたような気がした。
学校の友達と共学っていいね~なんて話をしてた。
終わるとみんなでダンパみたいなことやってた。
もちろん私達は入れない感じの。

エリの学祭では、エリは喫茶店してたし、
マノくんたちは男ばっかで飛び跳ねるような、激しいバンドをやってた。
みんな楽しそうに見えた。

私のとこの学習発表会みたいな文化祭と違って、
すっごく面白かった。

そっか~。
タカダくんにも彼女がね。
道理で最近絵画教室も来てないと思った。
先生が、遅くに来るって言ってたけど。
最近来ないことが多いって言ってた。
辞めちゃうかもしれない。

私は予想してたことが当たったので、
そんなに意外でも無かった。

バレンタインデーに告白されたらしいよ。
おとなしい子なんだって。
彼女ちょうどいなかったし、
カワイイ子だし、
断る理由のが無いから付き合ってみるって言ってたよ。

私とエリと弟のヨッちゃんは、
タカダくんがいないのをいいことに、タカダくんの話で盛り上がった。


わかる~。
タカダくん最近大人っぽくなったな~って思ってたもん。

えーそうなの?
オレだって背ぇ伸びたんだけどな。

ダメでしょー、もうちょっとセンス磨かないと。
あの子センスいいよね~何となく。

オレだってガンバってんじゃーん。

雰囲気が違うのよ~。

ちぇー。
いいよ、オレはサッカー頑張るし~。


そんな話をしてコタツに入って笑ってた。
ヨッちゃんとダンスのゲームで対戦する。
私らの中には高校生になったとかってあまり無かった。
しょっちゅう会ってるせいか、
いつまでも子供の頃のままの姿が残っている。

「アヤちゃん意外と上手いじゃん!」

「へへっ!こないだ悔しかったから家で特訓してました~♪」

ヨッちゃんは、私がどうすればいいのかわからなかった、
ミスる部分を回転してクリアーした。

「あ!すごい!こうやればミス無しなんだ?」

「そうだよ~。タカちゃんが教えてくれたんだ!」

私はタカダくんがここでヨッちゃんとダベってゲームして笑ってたのを思い出す。
もうしばらくは来ないんだなぁ…。
いや、もうそんなに会えないかも。
私が来た時に来るワケじゃないし。

もう小学校の頃みたいに、草野球することもなくなった。
エリたちが住んでいた団地も取り壊して、新しい建物になるらしい。
どんどん思い出が死んでく気がして、
何だか私は淋しかった。

「ねえアヤさ~。」

「なに~?」

「ツカちゃんから連絡行かなかった~?」

「何が~?」

私はコントローラーをさばきながら言う。

「ツカちゃん、アヤに気があるみたいだよ。」

「はい?!」

コントロールミスった!
いや、コントロールどころの騒ぎじゃない。

「えええっ?!ウッソだぁ~?」

「ホント、ホント!マジマジぃ~!」

「だって、私、あんましゃべったことないよー、ツカちゃんと!」

「だって私、相談にのってるんだも~ん。
そのうち電話行くんじゃない?
照れてるんだよ、きっと。」

「そんな、電話来ても困るよ~。」

「何で?アヤ好きな人いないんでしょ?」

「んー、そうだけどさ。」

「こないだの電車の人はダメだったって言ってたじゃん?」

「うんそう。彼女いるんだって~。
撃沈ですよ~。
信じらんないよ。
あんなふうに朝いっしょに楽しくしゃべってたのに。
こっちが気があるってわかった途端にあの態度…。
お陰で気まずくなって、休み明け電車変えた~。」

ヨッちゃんは青春ですね~って笑った。
エリが頭をペシッと叩く。

「でもさ、良かったじゃん?
聞かなきゃもしかしたらフタマタかけられてたかもしれないよ?」

「そだよね~。
こっちは学校行っちゃえば、相手が何してるかわかんないしね。
ま、いっか~。
あーでも、ホントに好きになっちゃってた~。
考えちゃったよ。
出会いなんか無いし、
出会う人が彼女いる人ばっかなんだもん。」

「じゃあさ、いいじゃない?
お互いフリーなんだし?」

「そうかなぁ~?
でも男って何だかワケわかんない。
もう女同士でいる方が楽かも。
それに、ツカちゃんってモテるんでしょ?
私は、自然と出会って、こう、友達が勧めるとかじゃなくて、
お互いの素の姿見て、好きっていうのがいいんだよね~。」

「でも、アヤのことホント気になるって言ってたよ。
こんなに声かけられないのって、初めてとかって言ってて。」

えええーっ?
そんなこと言われて、嬉しくない女の子っているんだろうか?
そんな素振りはみじんも感じなかった。
でも、気になってた人ってワケじゃないから、
ちょっと嬉しさは半減だけど。

「ほら、だからファミレスとか行くと、
必ずツカちゃんアヤの隣に座るでしょ?」

「えー?
アレって、ポジションが決まってただけじゃなかったの~?
いつもみんな同じ席に座るじゃん!」

「そうなんだけどさ、
ツカちゃんはそういうつもりだったみたいだよ。
ね、付き合ってみれば~?」

「そういうのって、バンドに迷惑かかんない?」

「そっか~。それも何だよね。」

「あ~もう、やめて~!
次から自然に話せなくなっちゃうじゃ~ん!
何とも思って無いから話せたのにさ~。」

へーそういうものなんだ?
ってヨッちゃんが言った。
エリがニラんで、ヨッちゃんはゲームの続きを始めた。

「エリはどうなの?
マノくん?」

「あ~うん。相変わらずなの。
でもいいんだ。
とりあえず今はいっしょにバンドで繋がってられたらいいから。」

私とエリはそんなんでいいの~?ってゲラゲラ笑った。
だって、恋なんて、
私たちからはどうにもできないし。
自分の心が好きって言っても、
相手が同じ気持ちにならなきゃしょうがないんだ。

ツカちゃんとは、
練習込みで会ったことがあるのはわずか4回ほどでしかない。
でも、聞いたら、何となくツカちゃんを意識するようになってしまった。

会って4回で気になる?
あまり信用ならない。
エリとはバンドの連絡もあって、
しょっちゅう電話でしゃべってるらしいけど。

でも、
私とツカちゃんの距離が縮まったのは、
エリが風邪をひいたからだ。









続きはまた明日

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目次




おやすみなさい~☆





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最終更新日  2009年08月22日 23時48分56秒
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