りらっくママの日々

りらっくママの日々

2009年10月05日
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今日の日記




「ある女の話:アヤカ48」




「ん?」

「子供って欲しい?」

「何で?」

ヒロトが私の方を向いて言う。
最近、何だかお互い体を求めることも少なくなった。
何となく、側にいてくれれば安心っていうか。

週末時々、
気が向いた時にするって感じ。
今日も何だか久しぶり。
もう、お互いのやり方も知り尽くしてる気がする。
マンネリってやつなのかも?

以前飲み会で男の人たちが言ってたことは何となくわかる。
家族とするみたいで何だか…。

うちはお互い、まだそこまでにはなってないけどね。
子供がいるいないで違うんだろうか?

「何かまた言われた?会社で。」

「まあね~。」

「いいんじゃない、まだ。
それともそろそろ欲しい?」

「ううん。
まだいい。
一人でここで育てる自信無いもん。」

「ならいいんだけど。
ここだと、結局一人で育てさせちゃうようになりそうだし。」

「帰ってから、できなかったら考えよ。
できなくても私はいいし。
あ、でもヒロトは欲しい?」

「いや~、
こればっかりは神様の言う通りでいい~。」

「天の神様の言う通り~♪」

私は軽く歌った。

「アヤちゃん、欲しく無いの?」

「何で?」

「ん?何となく。」

「人育てるのって怖いよ。
それだけ。」

「まあね。」

ヒロトはTシャツを着て、冷蔵庫から麦茶を出して飲んだ。

「私さ…」

「ん?」

「私、子供をカスガイにするのがイヤなんだよね。」

麦茶を入れたコップを持って、こっちに来る。

「カスガイね。」

「子供がいるから別れないとか、
子供のために冷めても続けるって言うのイヤなの。
子供が可哀想じゃん?」

「ソレって俺達が別れるの前提っぽくない?」

「そう言うんじゃないんだけどね。」

「まあ、言ってることはわかるけど。
何となく…ね。」

ヒロトが麦茶を渡してくる。
私はシャツを羽織って、それを飲む。

「俺だって、怖いよ。
人育てていくの。」

ヒロトが私を見て言った。

「でも、見てみたい気もする。
いつか…俺らの子供。
会ってみたい。」

「うん…
うん。
そうだね。」

ヒロトの言葉にホッとして、
私たちは軽く笑った。

お互い、今、この街では欲しくないのはわかってる。
それにまだ、自信が無いんだ。
育てていくこと。
できたら、できたでいいけど。

でも、
周りは結婚したってだけで、
子供は?子供は?
って聞いてくる。
何でだろう?
結婚したら、子供を産まなくちゃいけないの?

最近、何だか自分でも、その言葉に過敏になってる気がして、
ちょっとうんざりする。

みんな子供が欲しいから結婚してるのかな?
私たちが変なんだろうか?

でも、周りと比べる必要は無いと思う。
うちはうちの結婚生活を楽しんでいる。
少なくとも私はそう思う。


赤木さんに借りたハーレクイーンロマンスを読んだ。
なるほど、感動作なのに笑えたワケがわかった。

こんなのを係長が選んだって言うのが、
想像するだけで可笑しい。
恋愛的に感動作であればあるほど笑えた。

私は赤木さんの机に伝言票と本を置いた。
メールを書く。


  本貸してくれてありがとう~。
  係長サイコー!

  特に子供の存在が良かった…。
  子はカスガイって感じがしました。
  でも、私は子供をカスガイにするために産みたくないんだけどね。


出してからちょっと後悔した。
変なこと書いたかも。
返事に困るかも。

そう思ってたら、
すぐに返事が来た。
今日は忙しくないのかな?


  でしょ?
  係長オイシーキャラですよね!

  そう言えば、カスガイってどういう意味ですか?
  俺、かけがえの無いものって意味かと思ってたけど、
  違うみたいですよね?


私は返事に安堵した。


  カスガイって、ドアと壁を繋ぐ金具って言えばわかるかな?
  親同士を繋ぐものって意味なんだけど。


またすぐに返事が来た。


  へぇ~。
  子供ってそんな大事な役割をしてくれるんですね?
  なるほど。
  子供を大事にしなきゃいけないワケですね。

  うちの親、俺のことそう思ってたのかな?
  俺がいてもいなくてもいいみたいだけど。
  勝手に親同士にしかわかんないような会話してますよ。
  でも、俺はそんなんでイイと思ってます。
  コレは結婚しなきゃわからなそうだと思いました。

  俺は親が共稼ぎだったから、
  結構みんなバラバラに飯食ったりしてたんですよ。
  あんまり家族の団欒って感じで過ごすことが少なくて。

  それはそれで気楽でいいんすけど、
  俺は家族が欲しいです。
  俺あっての誰かって言う存在が欲しいです。
  それがカスガイでも何でも、
  俺の家族っていうのが大事かな。


大事な役割。
自分あっての誰か。
そんなこと考えたこともなかった。

きっと赤木さんの子供は幸せなんだろうな…。
すごく大事にしそう。
そんなことを思った。


  うちはね、
  私がいい子にしてないと親が別れちゃいそうな気がしたの。
  だから、本当は学校も違うところに行きたかったんだけど、
  親の言うことについ従っちゃいました。
  でも、自分の才能とかって言うのにも自信がなかったからなんだけど…。

  だからかな~。
  ちょっと子供をカスガイってやつにするのには抵抗があります。
  それで今子供を生まないってワケじゃないけど。

  赤木さんなら知ってますよね。
  ほら、今、生んでも一人で育てるような感じになるから。
  いつか地元に帰ったら、考えようと思ってます。
  子供は自然次第ってことで。

  でも、授かった時は、赤木さんが言うみたいに、
  私あっての存在になるのかな?

  ちょっと嬉しい存在になるのかもしれないですね。
  考えたこともありませんでした。


男達は自分で産まないからなのか、
いろんなことを
自分の家族になるものに思っているみたいだ。

正直、私が子供を産むなんて、
想像もつかないんだけど。

赤木さんやヒロトの言葉が、
いつか私も子供を産むかもしれないな…
って、ささやかな夢をくれる。

だって、子供を産むなんて、
本当に何だか怖いんだもん。

俺あっての誰かって、
まずは奥さんになる人のことだよね?

でも、
読み返すと気になる。

  俺あっての誰かが欲しい
  俺の家族

彼は今とても淋しいんだろうか?








続きはまた明日

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最終更新日  2009年10月05日 18時00分25秒
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