りらっくママの日々

りらっくママの日々

2009年10月06日
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今日の日記




「ある女の話:アヤカ49」



そう思っていたら返事が翌日来てた。


  親の話、キツかったですね。
  そう思うのも無理ないか…。

  タカダさんも進路迷ったんですね。
  理由は違うかもしれないけど、実は俺もです。
  つい親の言うこと聞いてしまった。

  そのせいでですね、
  ひと月ほど学校行きませんでした。
  辞めようかと思っちゃって。

  でも今思うと、アレはアレで必要な時間だったかと…。
  お陰で今、親友って呼べるような友達と出会えたし、
  今までいた友達が、大事な存在ってわかるようになったし。
  ホント、学校に悩まなきゃ、アイツとは友達になってなかった。
  かけがえのない存在って、
  作ろうと思ってできるものじゃないですね。

  いろいろあったけど、
  まあ、今は今で悪くないかな…って思ってます。
  結局、学校とは関係なく、
  やりたいことやってますしね。
  最近、バンドも復活してます。

  やりたいことがあったら、
  結局誰に何を言われてもやっちゃうもんなんでしょうね。

  タカダさん何かやりたいことがあったんですか?
  何だろう?
  良かったら教えて下さい。

  こうしてタカダさんと会えたのも、
  お互いそういうことがなければ、
  会ってないんですね。不思議です。


そっか、赤木さんも…。
ホントにそうだ。
いろんなこと通過してないと、
きっと私達、会ってないんだな。

何かやりたい…
う~ん、ちょっと今、私にそういう情熱が無いんだけどね。


  ホントだ!
  きっと会ってないですね!

  私は絵を描いてたの。
  描くのが好きってだけで上手じゃありません。
  夫がね、デザイン系の仕事してて、
  それを見てるとね、プロの仕事って違うなって思っちゃう。

  何だか今は何を描いていいのかわからなくなってしまいました。
  受身でいるのが楽になってしまったんです。  

  何かを作るっていいですよね。
  いつか赤木さんの歌を聴いてみたいです。


翌日返事が来ていた。


  そっか。
  無理して何かを作り出すのってツライかもしれないですね。
  そう思うとプロは大変だとも思います。
  俺も目指そうかと思ったけど、
  結局それで家族できたら養っていけるのかな?
  なんて、思ってしまった。
  家族欲しかったんで。
  それに、俺も自分の才能とかって、よくわからなかったし…。

  でも、今はサラリーマンバンドも悪く無いです。
  好きだから、ただ歌いたいから歌ってるって感じです。
  いつか、聴きに来て下さい!

  いやでも何か、
  知り合いに見られるのがいつまでたっても慣れないんですよね…。

  俺、タカダさんの絵、いつか見てみたいですよ。
  お世辞じゃなくて、ホントです!


心の中が温かくなっていくような気がした。
あ~、でも、コレはマズいな、って。

好きだと思った。
赤木さんのこと。

でも、だから何だって言うんだろう?
そこからどうしたいって言うんだろう?

もしも私が独身だったら、
告白でもするのかな?
付き合って下さいとかって。

私は自分で自分を笑った。

結婚してる女が何考えてるの?
バッカみたい!

赤木さんは私のこと何とも思ってないだろう。
だからこんな心を開いたメールを送ってくれてるんだ。

今こうしてヒロトにも言えないような本音を話して、
それに対して多分本音で返事を返してくれてる。

そんな存在以上に何を求めるんだろう?

そう思うのに心のどこかで、
メールじゃなくて、
もっと二人でちゃんと話してみたいな…とか、
この前みたいにいっしょに飲みに行ったりしたいな
…って思ってしまう。

あ、やっぱり浮気モノなんだ、私。

私はため息をついた。

向こうの方で、赤木さんが仕事してるのが見えた。

ウエノさんが言ってたな。

学生時代に好きな子を遠くから眺めてるみたいで、
楽しかったって。

私も今、そんな気持ち。

でも、そんな気持ちは心の奥にしまっちゃおう。

だって、今こうして、
こんなに赤木さんの心が側にいる気がするから。

それだけでいい。

それに私にはヒロトがいるから。


そんなに深いメールをするようなことは、
本当にあまりなくて、
また変わらない日常が戻ってきた。

最近メールの中では、赤木さんから赤木くんになっていた。
かなりお互いのことをいろいろ打ち明けてたし、
人前ではいまだに赤木さんだけど、
ちょっと声かける時とかは、赤木くんだ。

そんなちょっとした変化があったくらいで、
いつものようにみんなで昼食を食べていたら、
そういえば~って感じで、カンダさんが言い出した。

「タカダさんの部署の赤木くん、
最近ちょっとヤバいみたいだよね。」

「ヤバいって何が?」

「なんかさ~、聞いた話だと、
ほら、この前辞めちゃったタムラさん?
あの子、赤木くんにフラれて辞めたって話だよ。」

「え?嘘?!」

「ホント、ホント。
二人で話してるとこ見てた人がいて、
タムラさん泣いてたって。
ヒドイ!とか、遊びだったの?!とかって、
赤木くんに向かって言ってたって。
帰り道だったらしいけど、
そんなとこでケンカするなんて、
よっぽどじゃないの?」

私は驚いていて、
何て言っていいのかわからなかった。
みんなもひたすら話に聞き入っている。
カンダさんが続ける。

「そう思ってたら、今度はさ、
何だか社員の男達で合コン?
やってたらしくて、そこの女の子も持ち帰りしたらしいのよ。
早過ぎでしょ?
彼って彼女いなかったっけ?」

「あー、何か別れたらしいですよ。
マツイさんがそんなようなこと言ってました~。」

社員ちゃんが言う。

「今かなり荒れてるのかもしれないですね~。
何か、その彼女と結婚考えてたようなこと言ってましたから。
あ、コレも他の人たちから聞いた話ですけど。
何か、オネーチャンのいる店でも、
アイツばっかり女が寄ってきて、
ムカツクって言ってましたよ~、他の人たち!
だから、彼女がいないのナイショにしてるのに、おかしいって。」

みんなが笑う。

「解り易い人だね~、赤木くんて。」

「でも、そういうのカワイイじゃないですか~。」

「ダメよ~、そんなこと言って、
遊ばれちゃうよ~!」

「そうよ~、女の敵ってやつよ!」

みんなが笑っているのに、
私は何だか笑えなかった。
だけど、笑わないのも何だか変な気がして、
無理やり作って笑った。

胸の奥がキシキシ痛んだ。









続きはまた明日

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最終更新日  2009年10月06日 19時05分31秒
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