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日本が糖尿病患者様への眼底検査の実施率が最も低い、という衝撃のデータでした。イギリスやスウェーデンでは80%、アメリカでは70%弱、OECD平均で50%強なのに対して、日本は40%弱しかないのです。
世界最高と広く知られている日本の医療システムですが、この上記のデータは日本では診療科をまたがる連携に未だやや難があることを浮き彫りにしているとも言えます。実際の臨床の現場でも、「今日はなんだか眼がかすむから初めて眼科に来てみた。糖尿になって20年になるけど、今まで一度も眼科に行けなんて内科の先生に言われなかったよ。」という患者様もたまにいらっしゃいます。
どうしてこういうことが起こるのか、実はそれには糖尿病による眼の合併症である、糖尿病網膜症の発症機序が関与しています。
一般的に言って、最初に糖尿病になってからそれが「眼に来る」までに15年間かかります。糖尿病の患者様は平均すると発症15年後に単純糖尿病網膜症(SDR)という初期の合併症の状態になりますが、この時には眼底(眼の底の網膜)にはパラパラと小さな出血が見られる程度で視力低下は無く、自覚症状も全くありません。
ところがここからが糖尿病網膜症の恐ろしいところで、20年目には増殖前糖尿病網膜症(PrePDR)という中期の状態に、そして22年目には眼の底に大きな出血を来たして一気に視力が低下してしまう増殖糖尿病網膜症(PDR)という末期の状態になってしまうのです。
つまり糖尿病による眼の合併症は、
「なかなか出ないけど、一旦出現すると一気に進行し、急な坂道を転がり落ちるように悪化する。」
という怖い特徴を持っているのです。
そのため、糖尿病と診断された患者様は絶対に定期的な眼科でのチェックが必要なのですが、上記のように日本ではそこが必ずしもうまくいっていないのが実情なのです。この理由は日本では内科の先生というのは本当に忙しいのでなかなか体の隅っこの目の合併症のことまでは気にして頂けないことと、何より我々眼科専門医の発信力不足があると思います。
私もこれからも糖尿病の患者様への目の検診の大切さを、常に分かりやすく説明していかなくてはならないと肝に銘じました。
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