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美味しいお弁当を戴きながら、ようやく勉強の始まりです。
サークルレンズ、いわゆる「カラコン」ですがこれは、瞳を「大きく・美しく」魅力的に見せるためにレンズの周辺部に様々な装飾が施されているものです。最近は女子中高生の「3種の神器」の一つと言われるほどで、つけま(付けまつ毛)・スマホと一緒に若い女性に爆発的に広まっています。
ところがこのサークルレンズ、「カラコン」に関しては、眼科専門医の指導を受けずに自己流で使用し、結果として重い眼障害を発症してから駆け込んでくる患者様が急増しています。
今回のセミナーでは、このサークルレンズに関する諸問題が取り上げられていました。その中で印象的だったのは、眼科専門医とカラコンを装用されている患者様との間には物凄い「意識のギャップ」があり、そのことを我々は常に念頭に置かないといけないという話でした。
カラコンというのは私達眼科専門医の立場からすると、あまり酸素を通さないので目の負担が大きい、角膜(黒目)の上皮の障害が出やすい、見え方も悪い、目の健康が損なわれやすい、と欠点のオンパレードで、とても「第一選択として自信を持ってお勧めしたい」ようなレンズではありません。むしろ、出来ることなら処方したくない、「鬼っ子」のような存在です。
ところがカラコンを装用されている患者様と言うのは、流行の洋服やアクセサリーを購入するのと同じ感覚でカラコンを使われており、貪欲なまでに「美」を追求しています。そのため我々がカラコンに関してネガティブなことを言ったりすると、「あなた、その洋服、全然似合わないわよ。」と言われたような気分になり、不快感をあらわにされることが多いのです。こういう状態になると、我々眼科専門医と患者様の間には大きな溝が出来てしまい、二度と再診されないということになってしまいます。そのため、我々眼科専門医はその「意識のズレ」を認識して「なんでも否定する」ことがないように、誠心誠意を尽くして丁寧な診察をすることが大切であることが強調されていました。
また、元々カラコン患者様というのは、ほとんどがドンキホーテなどのディスカウントストアやインターネットでレンズを気軽に購入し、友達が装用するのを見よう見まねで使い、正しい取扱は知らず、目の具合が悪くなってから眼科を受診する、そして症状が改善したら2度と受診しない、というのがゴールデンパターンです。そのため、カラコン患者様が目の前に現れた時にはレンズの取扱いや材質の問題点などについて説明させて頂ける「最初で最後の機会」であることを心に留め、治療に全力を尽くし、「まずとにかく治しましょうね。」と声を掛け、決して患者様を責めてはならないということが繰り返し述べられました。
ま、いずれにせよ、これからもカラコンによる目のトラブルは更に急増するだろうと思います。私は眼科専門医として角膜感染症の病態や治療に関して、更に勉強を加速しなければならないな、と思いながら会場を後にしました。
ちなみにこの「カラコン」問題については、以前にも深く掘り下げて日記で書いていますので、興味のある方は こちら も是非あわせて御覧下さい。
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