天使の降りた家

天使の降りた家

2013.10.29
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カテゴリ: 日々の思う事
『生きる形とは・幸せとは・障害とは』という講演会に参加しました。


弦ちゃんの主治医がどんな考えを持っているのか、興味もあったし
テーマそのものにも興味がありました。


小児科のO先生は、他の先生にはない明るさがあり
診察もすごく前向きで楽しい雰囲気なので、弦ちゃんも楽しそうにしている。

その先生が、『生きるとは』について中学生に授業をした話から始まった。
子供が親に、自分が産まれた時の気持ちをインタビューして、作文にし
それをみんなの前で先生が読み上げたそうだ。


「自分を大切にしたいと思った。」と言う子が何人もいた。

自分自身も子供を授かって産んだ時の感動と喜びが、また思い起こして
少しウルウルしてしまった。




今、子供の出生人口は減っている。
なのに、子供の自殺は増えているらしい。

なぜか。

いじめ問題や家庭環境など色々あるかもしれないが、
一番の問題は、命の大切さを知らないのではないか。



先生は、障がいのある子供に携わり、その家族に出会い
沢山の命を見てきたそうです。
その中で、この現状を何とかしたいと





ある話が印象に残りました。

出産時のトラブルで低酸素になり、脳性麻痺になった未熟児。
検査データでは、目も耳も聞こえるはずがない状態だったそうです。

でも、お母さんが話しかけると、明らかに聞こえている反応をする。
音楽を鳴らし、曲が終わるとにこ~っと笑う。


先生は、これは見えているし、聞こえている。
検査データではなく本人そのものを見れば、一目瞭然である。

医師はデータを見て将来を判断する人が多いが
実際は医学上では分からない成長をすることがある、と。




弦ちゃんもそうだなぁ、と思いました。

赤ちゃんの時に色んな検査を受けて、脳の状態を調べた結果
「座ることも立つことも歩くことも、しゃべることも出来ない、重度です」

と言われ、それなら何が出来るんだろう・・・と途方に暮れ
目の前が真っ暗になる程のショックを受けた。

だけど、実際はどうか。
6歳にして、ここまで成長するとは、誰が予想したか。

少し支えれば座れるし、立ち上がろうともするし、
何よりものすごく表情が豊かで、自分の気持ちを表すことが出来る。
それは言葉を話せる話せないの枠を超えて、意思を伝える表現を持っている。


検査データでは、分からない。
生身の人間はどんどん進化する。
目の前の弦ちゃんを見て行こう、そう思った。





それから、もう一つ心に残った話。

脳性麻痺の子供を持つ家族の父が、倒れた。
急性脳症で運ばれ、帰らぬ人となった。
救急隊の仕事をしていた、先生の仲間の様な人だったらしい。

病室で先生がお母さんに、何も言えずにいると
脳性麻痺の子が、にこ~っと笑ったそうです。

先生が、「〇〇君、笑っていますね」と言うと

「本当ですね。私も頑張らなくちゃ」
とお母さんが言ったそうです。

お母さんはこの子が産まれた時、一緒に死のうと思っていたそうです。
でも、お父さんが「俺が二人を幸せにしてやる」と言ったそうです。

お父さんが亡くなって以来、その子が家の大黒柱になったそうです。
よく笑う明るい大黒柱で、お母さんもその子がいるから元気になれたそうです。





そのお母さんの気持ちが、痛いほど分かりました。
我が子の笑顔に救われたという、お母さんの気持ち。


弦ちゃんも、そんな力があります。
一緒にいる人の気持ちを読んで、癒したり元気付けたりする力。

疲れたり悲しいことがあったりしたとき
弦ちゃんの側に行くと、その表情を見て
心配そうに「ふわぁぁ~」と言って、手を差し伸べてくる。
その手で頭を触られ頬を撫でられると、不思議と気持ちが穏やかになる。

弦ちゃんは、笑いの感受も多い。
外に出て風が吹くと、それすらも笑いになる。
弟が面白いことをすると、それは大笑いになる。
私たちが忘れている様な日常の変化も、弦ちゃんにとっては素敵な出来事になる。

弦ちゃんを見ていると、
こんなに素直に笑ったり感じられて羨ましいと思う。

それから弦ちゃんは、我欲というものも、あまりない様に感じる。
自分のものだ、自分のため、自分がやりたい、自分・・・自分・・・
そういうのをあまり感じない。

私がもし弦ちゃんの立場ならば、一日の大半をキレているだろう(笑)
今まで出会った人の中で、誰よりも我欲がなく、温厚で素直で優しい。
どうしたらこんな人格になれるのか、教えて欲しい。




先生は、
「人は平等ではない」と言う。
能力が人それぞれ全く違う。

オリンピックに出ろと言われても、無理だし
今から科学者になれと言われても、無理。

五体満足に生まれてくる子もいるけど
人によって能力は全然違う。

脳性麻痺でも、耳が聞こえなくても、手足がなくても
親がいなくても、貧しくても、学力がなくても
どんな状態であっても、幸せの形は作れる。

その人の能力による、幸せの形。
それが、平等ではないか。



と言っていた。

そして、
「幸せの形の一つに、笑いが重要。」だと。



これは、私の中ではあまりない言葉だったので
ほぉぉ~っと思いました。

笑いは幸せのカギらしい。

そう考えると、弦ちゃんはよく笑っている。
幸せのカギを持っているのかな~。
(芸人の人はすごい。逆境を笑いに変えられるって、ある意味幸せな人生だなぁ)

兄弟

二人で電車ごっこ。
弦ちゃんにとって、はるとは分身の様。
笑いの宝庫、動きの勉強材料って感じかな。

笑い

子供は笑いの天才。
幸せづくりの天才だわ。



最後に、生きる授業をした中学生の、感想を読んで、講演会は終了した。


その感想の中で
「障がいのある人が怖いと思っていたけど、ぼくたちと同じなんだと知った」
「障がいのある子が笑っていて、こんなに笑うんだと驚いた」

という感想があって、びっくりした。

障がいを持つ人が身近にいなかった社会で育つ事の重大さに
今更ながら危機感を感じた。





色々幸せについて考える、いい機会になりました。






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Last updated  2013.10.29 16:35:18
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