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☆7月13日、あきる野市・八王子市を訪ねました。その時に見かけた植物を紹介してきました。ハナイカダの果実です。(2018年7月13日撮影)。☆ハナイカダは、北海道(南部)から本州・四国・九州の山地の林内に生えるハナイカダ科ハナイカダ属の落葉低木です。幹は叢生し、上部で多数枝分かれして、高さ1~3メートル程度になります。なお、クロキストン体系では、ミズキ科に分類されています。☆ハナイカダは、雌雄異株・雌雄異花で、雌株は葉に1個の花をつけます。(2018年4月19日撮影)。☆ハナイカダの果実は核果で、最初は緑色ですが夏から秋には黒紫色に熟します。核果とは、桃や梅などの果実のように、果実の外果皮が薄く、中果皮は多肉質で水分が多く、内果皮は硬くて木質化した核になり、その核の中に種子があるものです。☆ハナイカダの別名はヨメノナミダ(嫁の涙)で、熟した雌株・雌花の黒い実を、嫁いだ家で悲しい思いをした嫁が人に隠れて流した涙がハナイカダの葉に落ちたものと思われたそうです。☆ハナイカダ(花筏)の名は、葉の上に花が載っている様子を筏にのる人に見たててつけられたそうです。☆ハナイカダについては、2018年5月20日の日記で詳しく紹介しました。◎葉の上に花が載っている様子を筏にのる人に見たてたハナイカダの花。http://plaza.rakuten.co.jp/okada1952/diary/20180520/
2018.08.11
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☆ウォーキングコースにネムノキが何本かありますが、あの独特の花が咲き始めました。ネムノキは、本州・四国・九州に自生するマメ科ネムノキ属の落葉高木です。☆右上につぼみ、左上に開いた花が見えます。右下の花は、白く長い雌しべが目立つので、開花後に雄しべがしおれ始めた花でしょうか。☆マメ科の木本では、ハナズオウなどがありますが、ネムノキは花の形が大きく違っています。淡紅色の雄しべが長く、美しい花です。☆花は、10~20個の花でできている集合花です。一つひとつの花のつくりは、基部にあり先端が5つに分かれている薄い黄緑色の花冠、基部が白く先が赤くなっており先端に丸い小さな葯が付いている約30本の雄しべ、先端まで白く雄しべより太く見えるのが雌しべです。雄性先熟なので、雄しべが先に花粉を出してしおれてくると雌しべが姿を現します。☆この写真では、先端が5つに分かれている薄い黄緑色の花冠がよくわかります。その基部には、花冠より少し色が濃い萼が見えます。☆開花後に雄しべがしおれ始めた花で、白く長い雌しべが目立っています。☆ネムノキ(合歓木)の名は、夜になると葉は垂れ下がり対生する小葉が閉じる就眠運動をすることから、古くは「ねぶる」が「眠る」になったことに由来するそうで、漢字名の「合歓木」は中国の伝説で不機嫌になった夫にネムノキの花を酒に入れて飲ませると機嫌がよくなることから、夫婦円満、家族が仲良くなるという意味で「合歓(喜びを共にする)」が使われたことから付けられたものだそうです。
2013.07.04
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☆イチョウの実、銀杏が鈴なりです。実の重みに耐えかねて、枝が手の届くところまで垂れ下がっています。イチョウは、イチョウ科イチョウ属の落葉高木で雌雄異株です。☆枝をよく見ると、1本の柄の先に実が2個ずつ付いているようです。☆1本の柄の先に2つの実がついています。花は、春の4~5月に葉が出てくる時につくそうですが、今年も観察できませんでした。来年は注目してみたいと思います。☆銀杏の名は、実の形がアンズ(杏)に似ており、種子の殻が銀白色であることに由来するそうです。☆イチョウの花については、下記を参考にしました。◎イチョウ。http://had0.big.ous.ac.jp/plantsdic/gymnospermae/ginkgoaceae/icyou/icyou5.htm☆トチノキを見上げると、実がなっているようです。トチノキは、日本全土に分布するトチノキ科トチノキ属の落葉高木です。トチノキは雌雄同株です。☆春にトチノキの花を見たことはありましたが、実が付いているのを見たのは初めてです。☆トチノキの実は熟すると果皮が3裂し、光沢がある赤褐色の種子が出るそうです。実は食用になるそうで、アクを抜いて栃餅などに利用するそうです。
2013.08.27
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☆団地周辺では、以前から見かける帰化植物とともに、最近新たに見かけるようになった帰化植物があります。近所の方からの問い合せもありますので、団地周辺で見かける帰化植物をまとめて紹介してきました。6月から咲くワルナスビの花です。☆ワルナスビは、北アメリカ原産の帰化植物で、明治初期に日本に渡来し北海道から沖縄までの日本全土に分布するナス科ナス属で多年草です。ワルナスビは、地中を横に伸びる根茎から、直立して高さ80センチに達する地上茎を出して群生します。☆ワルナスビは、夏に茎の途中から枝を出し、先端に淡紫色または白色の花を6~10個集散状につけます。ワルナスビの茎や葉の主脈、花柄には、たくさんの鋭い刺があります。『日本帰化植物写真図鑑』によると、明治初期に千葉県三里塚牧場に侵入し、オニナスビ、オニクサと呼ばれたそうです。☆ワルナスビの花のつくりは、5枚の萼片、先端が浅く5つに分かれる白い花冠、黄緑色の短い花糸に大きな黄色い葯が付いている5本の雄蕊、柱頭が緑色の雌蕊です。☆ワルナスビの花は、花冠が薄紫色の花もあります。この株は、薄紫色の花と白い花が混在して咲いています。☆ワルナスビ(悪茄子)の名は、茎や葉に鋭い刺が多いうえ、垂直および水平に広がる地下茎や種子でよく繁殖し、除草剤も効きにくく、一度生えると駆除しにくいという始末の悪さから。ワルナスビの命名は、千葉県で発見した牧野富太郎博士によるものだそうです。☆ワルナスビの花言葉は、「欺瞞」「悪戯」だそうです。「欺瞞」はナスやジャガイモに似た花を咲かせ黄色いトマトに似た毒のある実をつけることから、「悪戯」は優しい色のかわいい花なのに葉柄や葉脈や茎に鋭いトゲが持つことからつけられているそうです。
2018.07.23
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☆自然観察ブログ「しろうと自然科学者の自然観察日記」を始めて7年、連載は連続2,500回を超えました。そこで、「自然観察の振返り」を随時掲載しています。【自然観察の振返り[23]】はキンポウゲ科の植物です。第22回は、ヒエンソウの花です。(2012年6月1日撮影)。☆ヒエンソウは、ヨーロッパ原産で、日本には明治初期に渡来し、観賞用の草花として植えられるようになったキンポウゲ科ヒエンソウ属(デルフィニウム属、オオヒエンソウ属※注※)の1年草から多年草です。草丈は20センチ~2メートルです。☆ヒエンソウの花期は6~8月で、総状花序または穂状花序をつけます。☆花柄の途中には1対の小苞片があります。☆ヒエンソウの花は、外側の花弁のように見えるのが5枚の萼片(上萼片、側萼片2枚、下萼片2枚)で、上部の萼片の後方が距のように伸びています。ヒエンソウの花弁は、上下2対あります。花弁の中に雄蕊があるのがわかります。☆花を正面から見ると、花弁のように見える5枚の萼片、上下2対の花弁があるのがわかります。☆右上と左上の花を見ると、1対の上花弁の後方が距になり、それが上萼片の膜に被われていることがわかります。☆ヒエンソウ(飛燕草)の名は、花の形が燕の飛ぶ姿に似ていることから名づけられました。花のつくりや形は、昨日紹介したセリバヒエンソウときわめて類似しています。
2019.03.04
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☆2012年8月、ウォーキングコースで初めてハグロトンボを見かけました。それ以前にも見ていたかもしれませんが、意識していなかったので気づきませんでした。ハグロトンボは、本州・四国・九州に分布するカワトンボ科アオハダトンボ属の昆虫だそうです。ハグロトンボ(羽黒蜻蛉)の名は、文字通り羽が黒いトンボでしょうか。☆ハグロトンボが、一つの岩にオス(左)メス(右)仲良く並んで止まっています。☆ハグロトンボのオスは、体に青い金属光沢があります。羽に紋様がうすく見えます。☆ハグロトンボのメスは、体の色が黒褐色です。オスよりも、黒い羽に褐色の紋様がはっきりとわかります。☆メスが紅葉の小枝にとまって、水中に産卵しているようです。☆なお、甲虫類などに特徴的な金属光沢は、光の波長や微細構造による発色現象である「構造色」の一つ「多層膜による干渉」で見えるものだそうです。多層膜による干渉とは、薄い膜を何層も重ねたような構造による光の干渉で、甲虫類の金属光沢のような色はキチン質の層構造によるものだそうです。体に青い金属光沢があるハグロトンボのオスの体色も、同じ原理なのでしょうか。☆カワセミの羽の鮮やかな色も、同じ原理による構造色の一つで、羽の色素によるものではなく、羽毛にある微細な構造によって見えるものだそうです。☆夕焼けについて調べる中で、夕焼けは構造色というもので、光の波長や微細構造による発色現象であることがわかり、さらに自然への理解が広がりました。構造色については、2014年1月5日の日記で紹介しました。◎夕焼けを科学してみました。http://plaza.rakuten.co.jp/okada1952/diary/20140105/
2014.08.19
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☆9月12日、東京都八王子市の高尾山に植物観察(17回目)に行きました。その内容を紹介しています。オオバチドメと果実です。(2019年9月12日撮影)。☆オオバチドメは、本州(関東地方以西)から九州の林下の湿った土地に生えるウコギ科チドメグサ属の多年草です。☆オオバチドメの茎は地を這い、斜上する枝に花序をつけます。☆オオバチドメの葉は大きく直径3~6センチで、掌状に浅く切れ込みます。表面に毛があります。☆オオバチドメの葉は、表面に短毛が散生しますが、写真でも確認できます。☆オオバチドメの花期は7~10月で、葉腋から1~数個の球状花序を出します。直径5ミリの球状花序には、緑白色の小さな花が20数個集まってつきます。写真はありませんが、花弁は5個、雄蕊は5個です。☆若い果実です。多数の花が集まって、球状花序を作っていたことがわかります。果実から2個の雌蕊花柱が出ているのがわかります。☆オオバチドメ(大葉血止)の名は、葉が大きいチドメグサに由来します。チドメグサ(血止草)の名は、この草を揉んで、その汁を傷口に塗れば出血が止まることに由来します。☆オオバチドメの花言葉は見つかりませんでした。なお、チドメグサ(血止草)の花言葉は、「秘密」です。
2019.10.23
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☆個人的な事情で今年は高尾山の植物観察に行くことができませんでしたが、タカオスミレだけは観察したいと思い、急遽高尾山を短時間訪ねました。なんと、4月が始まったばかりなのに、タカオスミレは花の終わりの時期でした。(2023年4月8日撮影)。☆花の終わりの時期になっていたため、タカオスミレの特徴である葉の表面の黒紫色・暗赤褐色・こげ茶色は、薄くなりかけていました。◎そこで、4年前2019年の4月中旬に観察した「しろうと自然科学者の自然観察日記」を再録して紹介することにします。※一部修正※☆4月15・16日、東京都八王子市の高尾山に植物観察(5回目・6回目)に行きました。その内容を順次紹介しています。タカオスミレの花です。(2019年4月15・16日撮影)。☆タカオスミレは、ヒカゲスミレの品種で、谷筋の落葉樹林など湿り気のある半日陰の林縁に生えるスミレ科スミレ属の多年草です。高尾山で多く観察できますが、他の地域にも分布しています。☆高尾山で、たくさんのタカオスミレを観察することができました。☆タカオスミレの葉は、花の時期に表面が黒紫色・暗赤褐色・こげ茶色になります。株によって、表面の色や濃度は異なっています。☆タカオスミレの葉は卵形で先が尖り、基部は湾入しており、葉脈の部分が凹んでおり葉に凹凸があります。全体に毛が多く、花柄や葉柄には白い毛がありますが、この写真でも葉の周りに毛が見えます。☆この写真では、葉柄に毛があるのがわかります。☆タカオスミレの花期は4~5月で、花弁は白く、唇弁はもちろんですが上弁と側弁にもわずかに紫条があります。側弁基部には、毛が目立ちます。雌蕊柱頭は、カマキリの頭型です。☆タカオスミレの距は、細長く淡紫色です。萼片は幅が広く、付け根から付属体が花茎方向に張り出しています。萼片の付属体には切れ込みがあります。☆タカオスミレ(高尾菫)の名は、高尾山で最初に発見されたことから名づけられました。☆タカオスミレは、花が終わると表面の黒紫色・暗赤褐色・こげ茶色はほとんど消えてしまい、ヒカゲスミレとの見分けはむずかしくなります。☆スミレ類の記事作成にあたっては、次の資料を参考にしました。(1)『増補改訂日本のスミレ』(写真・解説/いがりまさし、山と渓谷社、2004年)(2)『スミレハンドブック』(山田隆彦著、文一総合出版、2010年)(3)『高尾山全植物 草・木・シダ1500種』(山田隆彦著、文一総合出版、2018年)
2023.04.08
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☆カキの花が咲いています。カキは、カキノキ科カキノキ属の落葉高木です。雌雄同株で、雄花と雌花がありますが、写真は雌花です。☆カキの名は、赤い実がなる様子から、「赤き実」あるいは「赤木」が略されて「カキ」になったとのこと。☆雌花の花のつくりは、4枚の萼片、4裂する花冠、先端が4裂する雌しべです。花冠の中の雌しべの下には、小さなカキの実が見えます。☆カキ(柿)で思い出したのが、新しい歌舞伎座の「こけらおとし(柿落し)」でした。調べてみると、こけらおとし(柿落し)の「こけら(柿)」とは、材木を削った時に出る切り屑のことで、工事の最後に建物の「こけら」を払い落としたことから、完成後の最初の興行を「こけらおとし」と言うようになったそうです。☆気になったのは「柿」の文字です。カキ(柿)の字は、「きへん(木)」に「なべぶた(亠)」+「はば(巾)」で9画です。いっぽう、こけら(柿) の字は、「きへん(木)」に「十」+「冂」で8画だそうです。諸説あるようですが、カキで気になったので調べてみました。
2013.05.21
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☆ウォーキングコース(玉川上水)でヌルデの木を見つけました。ヌルデは、北海道から沖縄の日本全土の山野の林縁に生えるウルシ科ヌルデ属の落葉小高木です。☆ヌルデの葉は互生し、奇数羽状複葉で小葉は3~6対あります。☆ヌルデの葉は、9~13枚の小葉からなる奇数羽状複葉ですが、何といっても小葉と小葉の間の葉軸に翼があることが特徴です。☆ヌルデの小葉は長楕円形で縁には粗い鋸歯があり、小葉と小葉の間の葉軸に翼があります。☆葉の上から見た葉軸の翼です。☆苞らから見た葉軸と翼です。葉の裏面は、軟毛が密生して黄白色です。☆ヌルデ(白膠木)の名は、この木の幹を傷つけると白いにかわ(膠)のような樹液が出て、これをウルシなどのように器具に塗っていたので、「塗る手」になったそうです。漢字名の「白膠木」は、白いにかわ(膠)のような樹液が出る木に由来します。
2016.06.27
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☆自然観察ブログ「しろうと自然科学者の自然観察日記」を始めて6年7カ月、連載は連続2,400回を超えました。そこで、「自然観察の振返り」を随時掲載しています。【自然観察の振返り[7]】はキク科アザミ属の植物です。第1回は、アザミの仲間とアザミに似ている植物です。写真は、キク科アザミ属のノハラアザミの花です。◎キク科アザミ属の葉には、刺(トゲ)がある。☆キク科アザミ属の葉には、トゲがあります。「アザミ」の名は、トゲを意味する「アザ」に植物名に多い接尾語「ミ」が付いたという説、トゲが多いことから「驚き呆れる、傷む、傷ましい」の意味の「あざむ」に由来する説などがあるそうです。写真は、キク科アザミ属のトネアザミの葉です。☆漢字の「薊」は、「草冠+魚+刀」からなる字で「魚」はトゲトゲした骨があることを表し、トゲがあって刀のように刺す草を表しているそうです。写真は、キク科アザミ属のアメリカオニアザミの葉です。◎頭花は全て筒状花で、花冠は先端が細長く5つに分かれている。☆キク科アザミ属の頭花は全て筒状花で、花冠は先端が細長く5つに分かれています。写真は、キク科アザミ属のノアザミの花です。☆写真は、キク科アザミ属のノハラアザミの花です。◎雄性先熟で雄蕊が先に熟し、その後雌蕊が熟して柱頭が伸びてくる。☆雄性先熟は、自家受粉(自分の花の花粉で受粉すること)を避け、他家受粉(他の花の花粉を受け取って受粉すること)します。同じ種の中でも、多様な遺伝情報を受け取ることによって、個体の生命力を高めるための巧妙な仕組みです。雄性期のキク科アザミ属のトネアザミの花です。集約雄蕊の先端から花粉を出しています。☆雌性期になったキク科アザミ属のノハラアザミの花です。花粉は見えなくなり、集約雄蕊の中から雌蕊花柱が伸びてきています。◎アザミ全体の花言葉は、「独立」「厳格」「権威」「復讐」「報復」「満足」「安心」「人間嫌い」「触れないで」など。☆アザミの花言葉は、アザミの植物の特徴に由来するようです。写真は、キク科アザミ属のトネアザミです。◎アザミ属でないのに「アザミ」の名がついたキツネアザミ。☆キツネアザミは、キク科アザミ属ではなくキク科キツネアザミ属の越年草です。◎アザミ属でないが花の形がアザミに似ているタムラソウ。☆タムラソウは、キク科アザミ属ではなくキク科タムラソウ属の多年草です。
2018.10.08
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☆自然観察ブログ「しろうと自然科学者の自然観察日記」を始めて6年7カ月、連載は連続2,400回を超えました。そこで、「自然観察の振返り」を随時掲載しています。【自然観察の振返り[8]】はキキョウ科の植物です。第8回は、キキョウ科の二重のホタルブクロ(八重ホタルブクロ)の花です。(2012年6月18日撮影)。◎2012年、初めて出合った二重のホタルブクロ(白花八重ホタルブクロ)の花。☆ウォーキングコース(玉川上水)で、ホタルブクロなのに花冠が二重(ふたえ)に見えたので、近づいて撮影してみました。外側の花冠は内側の花冠の半分ほどの長さで、先端が外側に反り返っています。(2012年6月15日撮影)。☆どの花も、花冠が二重になっています。(2012年6月15日撮影)。☆花を注意深く見ていくと、萼片が一部残っており、二重の花冠の外側は萼片が変化したように見えます。二重の花冠は、外側は萼片が変化したもので内側は本来の花冠のようです。萼片の間が盛り上がっており、萼片の間に反り返る付属片がないので、ヤマホタルブクロの変異種のようです。(2012年6月15日撮影)。☆花冠が二重になっているものは萼片がないので、萼片が花冠のように変化して、二重の花冠になった変異種と考えられます。◎2度目に出合った二重のホタルブクロ(白花八重ホタルブクロ)の花。☆ウォーキングコース(玉川上水)の別の場所で、二重のホタルブクロを見つけました。最初に紹介したものは外側の花冠が内側の花冠の半分ほどの長さでしたが、こちらは外側の花冠が内側の花冠とほぼ同じ長さです。(2012年6月18日撮影)。☆株を増やしてきているのでしょうか。10本前後が群生していました。(2012年6月18日撮影)。☆こちらの花も、花冠が二重になって萼片がないので、萼片が花冠のように変化して、二重の花冠になった変異種と考えられます。(2012年6月18日撮影)。◎2013年、翌年出合った二重のホタルブクロ(紅花八重ホタルブクロ)の花。☆最初にウォーキングコース(玉川上水)で二重のホタルブクロに出合った翌年の2013年、花冠の色が紅紫色の二重のホタルブクロ(紅花八重ホタルブクロ)に出合いました。外側の花冠は、内側の花冠の半分ほどの長さで、先端が外側に反り返っています。(2013年6月5日撮影)。☆1株の茎に、1個の花が咲いていました。(2013年6月5日撮影)。☆こちらの花も、花冠が二重になって萼片がないので、萼片が花冠のように変化して、二重の花冠になった変異種と考えられます。(2013年6月5日撮影)。◎2014年、再び出合った二重のホタルブクロ(白花八重ホタルブクロ)の花。☆2014年、ウォーキングコース(玉川上水)で、二重のホタルブクロ(白花八重ホタルブクロ)の花に出合いました。外側の花冠は、内側の花冠の半分ほどの長さで、先端が外側に反り返っています。(2014年6月10日撮影)。☆最初に二重のホタルブクロ(白花八重ホタルブクロ)の花に出合った場所とは、別の場所でした。ウォーキングコース(玉川上水)では、数カ所に数品種の二重のホタルブクロ(八重ホタルブクロ)の花が生えているようです。(2014年6月10日撮影)。☆こちらの花も、花冠が二重になって萼片がないので、萼片が花冠のように変化して、二重の花冠になった変異種と考えられます。(2014年6月10日撮影)。◎ツツジの花で萼片が花冠のように変化して二重の花冠になった事例。☆萼片が変化して花冠が二重になる事例は、他の植物でも見かけます。ツツジの花でも、二重の花が咲くツツジでは萼が見えません。花柄の先に萼はなく、直接に花冠が付いています。(2013年4月23日撮影)。
2018.10.24
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☆2月25日、2020年初めて高尾山に行きました。そこで見かけた植物を紹介しています。石垣に生えているノキシノブです。(2020年2月21日撮影)。☆ノキシノブは、北海道南部以南の樹の樹皮や崖、傾斜が急な場所の地表などに生えるウラボシ科ノキシノブ属の常緑シダ植物です。葉の表からも、主脈の両側にそれぞれ1列に並んでいる胞子嚢群(ソーラス)があるのがわかります。☆胞子嚢が集まった胞子嚢群です。☆ノキシノブについては、2019年12月5日の日記で詳しく紹介しました。◎ノキシノブ(2019年12月5日の日記)。http://plaza.rakuten.co.jp/okada1952/diary/20191205/
2020.03.09
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☆ヤツデは、関東以西の海岸近くの森林周辺に自生するウコギ科ヤツデ属の常緑低木です。ウォーキングコースでは柵の中でしたが、団地内で咲くヤツデの花を見つけたので、開花前期(雄性期)と開花後期(雌性期)の花を間近でじっくり観察してみました。☆ヤツデは、球形の散形花序が集まって大きな円錐花序を作ります。散形花序にはたくさんの白い花があり、これは開花前期(雄性期)で小さい5枚の花びらと5本の雄しべがあります。花の中央の花盤には、たくさんの蜜の粒が見えます。☆ヤツデは、雄性先熟の植物です。散形花序ごとに雄性期から雌性期になります。開花前期(雄性期)の花では、雄しべの葯にたくさんの花粉が見えますが、花盤中央の雌しべは伸びていません。ヤツデの花盤には糖度50%という甘い蜜があり、花が少ない冬の時期にほのかな香りと特別に甘い蜜で昆虫をおびき寄せます。☆この花は、花粉がたくさん見えるとともに、花びらが後ろに反りかえってきています。花盤中央には、伸び始めた5つの雌しべ柱頭が見えます。これから開花後期(雌性期)に移り始める花のようです。☆花びらと雄しべが落ちると、雌しべの柱頭が伸びて開花後期(雌性期)になります。雌性期になっても、雌しべの周りの花盤には透明な蜜の粒が見えます。今度は、雄性期の花の花粉を体に付けた昆虫を呼び込むのでしょうか。☆雌性期の花を上から見てみました。花の中央に5本の雌しべ柱頭が伸びて広がっているのがわかります。散形花序ごとに雄性期から雌性期になり、同じ散形花序内での自家受粉を避ける仕組みになっています。☆雌性期の花を、さらに拡大してみました。ヤツデは虫媒花で、ハエが花粉を媒介する「ハエ媒花」だそうです。ハエは、気温が低い時期にも活動するので、ヤツデなど冬に花が咲く植物にとっては重要な訪花者になるそうです。☆「ハエ媒花」には、白い花が多いこと、小さい花がかたまって咲くこと、蜜腺が露出していること、蜜腺が皿形になっていることなど、ハエが着陸しやすいという特徴があるそうです。☆ヤツデ(八つ手)の名は、葉が深く手のひらのように切れ込んでいることに由来するようですが、「八つ」は数が多いことを意味するそうです。葉は、7つか9つの奇数に裂けており、8つに裂けることはないそうです。写真に見える葉は、手前が7つに裂け左下の葉は9つに裂けています。☆ヤツデの雄性期と雌性期)の花を間近でじっくり観察してしているうちに、虫媒花(ハエ媒花)のことにも足を踏み入れてしまいました。
2013.12.24
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☆紅葉を見て感動した秩父ミューズパークで、飛行機雲を見かけました。☆左右2本ずつの飛行機雲が見えたので、旅客機の飛行機雲のようです。飛行機雲は、ジェットエンジンの排煙ではなく、飛行機の航跡にできる細長い雲です。飛行機雲のできる仕組みには、「(1)エンジンから出る排気ガス中の水分から発生する」「(2)翼の後ろの低圧部が原因で発生する」の二通りあるそうです。☆4基のジェットエンジンから、それぞれ1本ずつの飛行機雲が伸びていますので、エンジンから出る排気ガスが作り出す雲です。気温は地上から100メートル高くなるごとに0.6度下がり、飛行機の飛ぶ高度1万メートルでは、地上より約60度も低く、マイナス40度以下の世界になっています。☆このような状態で、飛行機のエンジンが周囲の空気を吸い込んで、圧縮・燃焼させ、300~600度となった排気ガスを出すと、その中の水分が急に冷やされて凍り、雲となって白く見えるのです。冬の寒い日に息を吐くと、白くなるのと同じことです。☆4本の飛行機雲をよく見ると、ジェットエンジンの排気ガスの出口から少し離れてできています。飛行機は時速約900キロ(1秒間に約200メートル)のスピードで移動しており、排気ガスの水分が凍って雲になるまでには、少し時間がかかるためです。☆飛行機雲は、飛行機の飛ぶ高さや上空の温度・湿度・空気の流れなどの条件がそろわないと発生しないそうです。☆以上の記事は、日本航空の「航空豆知識―Q飛行機雲は、なぜできるのか?」を全面的に参考にさせていただきました。◎「航空豆知識―Q飛行機雲は、なぜできるのか?」https://www.jal.co.jp/entertainment/knowledge/agora54.html
2016.11.22
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☆冬になって木の実などがなくなると、ヒヨドリが畑にやってきます。ヒヨドリは、昆虫類、樹木や草の果実、花や蜜、葉野菜などをエサにしているそうです。☆ヒヨドリが大挙してやってきていた近所のブロッコリー畑。ブロッコリーの葉は、すっかり食べ尽くされてしまいました。☆柔らかな葉を好んで食べるようで、茎と葉の芯(葉脈)だけが残っています。☆しろうと自然科学者の庭の家庭菜園で成長しているブロッコリーです。やはり、葉が食べられ始めています。ブロッコリー(花芽)にも、つついた跡が見えます。☆春キャベツの柔らかい葉も被害(?)にあったので、ネットで覆いました。☆2012年の春、花の蕾が出始めたコマツナにやってきたヒヨドリです。(2012年3月22日撮影)。☆農作物へのヒヨドリの被害は大きく、防鳥ネットで覆ったり、収穫しない野菜や果実は農地に残さずに圃場にすき込むなど、各地で対策がとられているそうです。
2015.02.10
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☆ウォーキングコースで、夏咲モクレンを見かけました。春の花だと思っていました。念のため調べたところ、「ジュージヘンリーケーン」という品種があって、矮性モクレンで、数は少ないが夏にも花を咲かせるということでした。(ブログ「エコガーデン・エコファーム」参照)。☆花も葉も、確かにモクレンです。☆つぼみも次々と出てきているようです。☆ブログで、次のような記事もありました。☆「何年目からか?春先にヒヨドリが日参するようになって‥‥毎年、春のシモクレンの蕾をことごとく食べてしまいほとんど花を見る事ができなくなったとあきらめていた所、青々と繁る葉の間から 蕾が見えるではありませんか!それ以来、庭のシモクレンは夏咲きの花となりました。……この近年は春夏二度咲きするようになりました。」☆近所の別の民家でも、玄関脇のモクレンが葉と一緒につぼみをつけているのを見かけました。☆ある品種だけに限られた特徴なのか、そもそもモクレンに備わっている性質なのか、今後とも注意深く観察してみようと思います。
2012.07.08
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☆自然観察ブログ「しろうと自然科学者の自然観察日記」を始めて6年8カ月、連載は連続2,400回を超えました。そこで、「自然観察の振返り」を随時掲載しています。【自然観察の振返り[10]】はユリ科の植物です。第4回は、ユリ科のコオニユリの花です。(2016年7月20日撮影)。☆コオニユリは、北海道から九州の山地などの日当たりの良い場所に自生するユリ科ユリ属の多年草です。☆コオニユリ(小鬼百合)は、名前の通りオニユリに似ていますが草丈や花が小さいのが特徴です。茎の高さは、30~60センチです。☆コオニユリの葉は互生で、下部の葉は線形で茎に密についています。☆オニユリは葉腋にムカゴがありますが、コオニユリにはムカゴがありません。コオニユリは種ができますが、実生から花が咲くまでには6~8年かかるそうです。☆コオニユリは、茎の先に2個から10個の花が咲く総状花序をつけます。☆コオニユリの花は橙赤色で、6枚の花被片(外花被片3枚と内花被片3枚)、よく目立つ雄蕊が6本、雌蕊が1本です。☆コオニユリの後ろに反りかえる花被片には、オニユリと同じように斑点があります。☆コオニユリ(小鬼百合)の名は、オニユリ(鬼百合)と比べて草丈や花の大きさが小さいことに由来しますが、全体の印象もほっそりと清楚な印象です。オニユリは中国から古い時代に朝鮮半島を経由して渡来し、古くから食用に栽培され人里近くに野生化していますが、コオニユリは日本の自生種です。☆コオニユリの花言葉は、「情熱」「賢者」「陽気」「愉快」などだそうで、オニユリと共通しています。花が咲いている様子からイメージしたのでしょうか。
2018.11.11
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☆植物観察のために遠出することもできないので、引き続きウォーキングコースの玉川上水緑道で見かけた植物を紹介します。ムラサキカタバミの花です。☆ムラサキカタバミは、南アメリカ原産で江戸時代末期に観賞用として導入されたカタバミ科カタバミ属の帰化植物で、今では野生化して、日当たりの良い草むらや道端に咲いています。☆ムラサキカタバミの花は、5月から7月頃まで見かけます。ムラサキカタバミの花は、花びらは細長く色も薄いこと、花の中央はさらに色が薄く明るい黄緑色であること、雄蕊の葯は白いことなどが特徴です。混同されがちなイモカタバミの花は、花の色が濃く、花弁中央部は色が濃く赤紫色なので区別できます。(2012年5月29日撮影)。☆ムラサキカタバミ(紫片喰、紫酢漿草)の名は、花が紫色のカタバミから。ムラサキカタバミの花言葉は、「輝く心」「喜び」だそうです。
2020.06.08
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☆コウホネは、北海道から九州の池沼に生えるスイレン科コウホネ属の多年草です。泥の中の地下茎が白色で骨のように見えるのでコウホネ(河骨)の名が付いたそうです。☆コウホネの花の内側は、たくさんの雄しべが星状の雌しべを取り囲んでいるように見えます。☆コウホネの花を拡大してみました。中央の柱頭が星状に見える雌しべの周りに、細長い雄しべが幾重にも取り囲んでいます。花びらのように見えるのは5枚の萼片で、萼片の内側に花弁があります。外側にそり返った細長い雄しべと萼片の間に、雄しべよりは幅広く萼片よりは小さい花弁が見えます。☆ミズアオイは、北海道から九州の水田や沼地に生えるミズアオイ科ミズアオイ属の1年草です。除草剤の使用や用水路の整備によって減少し、分布が限られてきているそうです。☆ミズアオイ(水葵)の名は、水生植物で葉がハート形で葵に似ていることから名付けられたそうです。この写真は、花を後ろ側から撮ったものですが、萼片のようなものは見えません。☆ミズアオイは、別名ナギ(菜葱)と呼ばれ、葉が食用にされたそうです。☆ミズアオイの花は青紫色の花ですが、青紫色の6枚の花びらに見えるのは外側3枚が外花被(萼)で内側3枚が内花被(花弁)です。雄しべが6本、雌しべが1本です。雄しべ6本のうち1本は葯の色が紫色で、他の5本は葯の色が黄色です。☆ミズアオイの雄しべについて、大阪市立大学のホームページには次のように書かれていました。「ミズアオイは昆虫に花粉を運んでもらう植物(虫媒花)で蜜腺を持っていません。昆虫を引き付けるために花粉を利用しますが、花粉を全部昆虫に食べられてしまっては種子が出来ません。そこで、5本の雄しべを目立つ黄色にして『見せ球』として昆虫に与え、残り1本を目立たない青色にして昆虫の体にこっそりと、くっ付けるようにしています。」☆ミズキンバイは、北海道から九州の池沼に生えるアカバナ科チョウジタデ属の多年草です。現在ミズキンバイの生育が確認されているのは、千葉県、神奈川県、高知県、宮崎県の4県のみだそうです。☆ミズキンバイは、5弁花の黄色い一日花を咲かせるそうです。ミズキンバイ(水金梅)の名は、水生植物で花がキンバイソウ(金梅草)に似ていることから名付けられたそうです。☆ミズアオイの雄しべは、役割が違う2種類あることがわかりました。サルスベリ(百日紅)にも同じように2種類の雄しべがあることを思い出しました。◎サルスベリ(百日紅)(8月17日の日記)http://plaza.rakuten.co.jp/okada1952/diary/20130817/
2013.09.07
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☆ウォーキングコースで、クワの実が熟してくる季節になりました。クワは、日本全国に分布するクワ科クワ属の落葉高木で、養蚕用で見るクワの木のイメージとは違って、高さ15メートルの大木になります。葉の間から実が熟してきているのが見えます。さまざまな品種があるそうですが、そこまではわかりません。☆クワ(桑)の名は、蚕が葉を食べるので「食う葉(くうは)」または「蚕葉(こは)」から転訛したといわれており、「桑」の字は中国の漢名から。☆クワは雌雄異株ですが、雌雄同株のものもあるそうです。雄花は茎の末端から房状に垂れ下がるそうです。これは、雄花の蕾のようです。このクワの木は雄株のためだと思いますが、実はなりませんでした。(2010年4月25日撮影)。☆こちらは、雌株の雌花のようです。雌花は、茎の先端に付く雄花と違い、枝の基部に付いています。(2010年5月16日撮影)。☆雌花は、白っぽい色の実が赤く変わり、赤黒く変化していきます。味も甘くなります。ほとんどの実が熟する頃には、クワの木にムクドリが集まってきます。☆子どもの頃、クワの実が熟す季節には、クワの実を食べて唇が紫色になったことを思い出します。
2014.06.07
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☆3月29日、植物観察入門講座で八王子市・高尾山での植物観察を行ないました。その内容を順次紹介しています。エンレイソウの花です。エンレイソウについては4月1日の日記で紹介しましたので、記事は重複しています。(2018年3月29日撮影)。☆エンレイソウは、北海道から九州の山地の林内のやや湿った場所に生えるユリ科エンレイソウ属の多年草です。☆エンレイソウは、茎の高さは20~40センチで、茎の先端に3枚の葉が輪生し、小さな花を咲かせます。葉は葉柄がなく、卵状菱形で先端は短く尖り基部は広いくさび型です。☆花柄は長さ2~4センチ、花びらのように見えるのは3枚の緑色または褐紫色の外花被片(萼片)です。内花被片は普通ありませんが、まれにあるものがあるそうです。雄蕊は6本で葯は長楕円形、雌蕊柱頭は3つに分かれています。☆エンレイソウ(延齢草)の名は、中国では薬草として用いられていて、漢名を延齢草根(えんれいそうこん)という胃腸薬として用いられていたことから。☆エンレイソウの花言葉は、「奥ゆかしい美しさ」「落ち着いた美しさ」「叡智」「熱心」などだそうです。
2018.04.23
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☆3月30日と4月2日、東京都八王子市の高尾山に植物観察(3回目・4回目)に行きました。その内容を順次紹介しています。アオキの花です。これは、雄株の雄花です。(2019年3月30日・4月2日撮影)。☆アオキは、北海道から沖縄までの山地の樹林の下に生えるミズキ科アオキ属の常緑低木です。高さは、1~2メートルです。栽培が容易で、日陰でも育ち、常緑の葉が美しいので庭木として利用されています。アオキは、APG分類体系ではガリア科(アオキ属、ガリア属)、またはアオキ科(アオキ属)に分類されています。☆アオキは、雌雄異株です。アオキの花期は3~5月で、枝先に円錐花序を出します。これは、雄花序です。☆アオキの花は、子房下位で、「萼筒は長卵形で、先端に萼歯が4個ある」と書いてある資料がありました。写真でも、「萼歯が4個ある」ようです。雄花では、子房下位は確認できません。☆こちらの写真は、2013年4月に撮影した雌株の雌花です。4個の花弁の下に子房が見え、子房下位であることがわかります。(2013年4月9日撮影)。☆アオキの雄株・雄花の花弁は4個で紫褐色、雄蕊は4個で、花の中央に雌蕊の痕跡があります。雄蕊の花糸は紫褐色で、先端にクリーム色で2つに分かれている葯があります。☆こちらの写真では、雄蕊の花糸は下半分が紫褐色で、上半分は淡い緑色です。花粉が出ています。☆アオキについては、2019年4月2日の日記で詳しく紹介しました。◎冬に光沢のある果実が赤く熟すアオキの花と果実(2019年4月2日の日記)http://plaza.rakuten.co.jp/okada1952/diary/20190402/
2019.05.22
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☆近所の公園で、カリンの木に実がなっているのを見つけました。カリンは、中国原産で、平安時代に渡来したとされるバラ科ボケ属の落葉高木です。東北地方や関東甲信越で、庭木として栽培されています。(2016年10月19日撮影)。☆カリンは、樹皮が灰緑褐色で平滑、樹皮が鱗片状に剥がれるのが特徴です。☆どのように剥げ落ちるのかはわかりませんが、片状に剥げ落ちた斑紋が残っています。☆カリン(花梨)の名は、マメ科のカリンの木理(木目:木材の断面に年輪の配列などによってつくられる模様)が似ていることから名づけられたそうです。☆カリンの葉は互生で、倒卵状の楕円形です。☆カリンの葉の表面は、無毛で光沢があります。☆カリンの葉の裏面は、葉脈に沿って軟毛があります。☆カリンは、ボケの実を大きくしたような楕円形の果実をつけます。☆カリンは、ボケと同じように花柄がごく短いので、茎に果実が直接ついているように見えます。果実は、硬く酸味が強いので生食はできませんが、輪切りにして砂糖漬けにしたり、焼酎漬けにしてカリン酒を作ったり、咳止めなどの薬用にも利用されるそうです。☆最初に観察してから10日後のカリンの果実です。次第に黄色く色づいてきました。(2016年10月29日撮影)。
2016.11.01
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☆ウォーキングコース(玉川上水)で見かけるヤマモモの木です。ヤマモモは、本州(関東南部・福井県以西)・四国・九州の常緑樹林に生えるヤマモモ科ヤマモモ属の常緑高木です。庭木や公園樹として植えられています。☆ヤマモモは雌雄異株なので、花の時期に観察してみることにしました。これは雌株です。☆ヤマモモは、枝先の葉腋から穂状花序を出します。これは雌花序です。長さ約1センチで、あまり目立ちません。(2017年4月4日撮影)。☆雌花序は、ややまばらに多くの雌花がつきます。雌花は雌花序の先のほうから開花しており、花被はなく赤い雌蕊花柱が見えます。☆3日後に再び観察してみると、雌花から赤い花柱が2つに分かれて飛び出していました。6月には球形の果実が赤く熟してきます。(2017年4月7日撮影)。☆こちらは雄株です。枝の先に雄花序がついているのが目立ちます。☆雄株も、枝先の葉腋から穂状花序を出します。雄花序は長さ2~4センチで、密に多くの雄花がつきます。☆雄花からは花粉が出ているようです。☆雄花には、それぞれ5~8本の雄蕊があるそうです。それぞれの雄花には、赤紫色の葯が数個あるのがわかります。葯は2室で、縦に裂けています。☆ヤマモモの葉は互生し、枝の先に束状に集まっています。幼苗では葉に大きな粗い鋸歯があり、若枝でも葉に小さな鋸歯がありますが、通常は全縁で丸い葉です。☆ヤマモモ(山桃)の名は、山で食べられる実がなることから、また中国名「楊梅(やんめい)」からの変化とも言われているそうです。ヤマモモの花言葉は、「教訓」「一途」「ただひとりを愛する」などだそうです。
2017.04.17
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☆ノビルのムカゴ(珠芽)を初めて見つけました。(2017年5月28日撮影)。☆ノビルは、日本全土の畑や道端、土手などに普通に生えるヒガンバナ科ネギ属の多年草です。これまでは、春先に線形の葉がたくさん生えているのを観察してきました。農作物とともに古くに中国から渡来したという説もあるそうです。(2012年3月7日撮影)。☆このようにノビルの花茎が長く伸びているのを観察するのは初めてです。(2017年5月28日撮影)。☆ノビルは、5月から6月に、高さ40~60センチの花茎を伸ばし、花茎の先に散形花序をつけるそうです。☆ノビルの花は、観察できませんでした。花序には珠芽(ムカゴ)がつき、珠芽だけで花がないものもあり、花茎についたまま芽をだすこともあるそうです。☆ここの道端は、何度も通っていますが、他の雑草に隠れてノビルが生えていることは気がつきませんでした。葉の間から長い花茎が伸びて、初めて気づきました。ノビルの根生葉は長さ25~30センチで、断面は三日月状です。☆ノビル(野蒜)の名は、野に生えるヒル(蒜)で、「蒜」はネギやニンニク類の総称で鱗茎を噛むとヒリヒリすることに由来するそうです。☆ノビルの花言葉は、「胸のたかまり」「タフなあなたのことが好き」「慶び」「高まり」などだそうです。ノビルは、鱗茎、ムカゴ、種子の3種類で増えていきますので、どこにでも育ち増えていく強い生命力に由来するのかもしれません。(2012年3月7日撮影)。
2017.06.04
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☆自然観察ブログ「しろうと自然科学者の自然観察日記」を始めて6年11カ月、連載は連続2,500回を超えました。そこで、「自然観察の振返り」を随時掲載しています。【自然観察の振返り[22]】はオオバコ科の植物です。第3回は、マツバウンランの花です。(2017年5月3日撮影)。☆マツバウンランは、北アメリカ原産のオオバコ科マツバウンラン属の越年草です。マツバウンランは、1941年に京都で発見され、現在では北関東、北陸地方以西に普通に見られるようになったそうです。☆マツバウンランの茎は細く、基部で分岐して高さ50センチほどになり、基部から走出枝を伸ばして分株をつくります。☆マツバウンランの葉は、初めはロゼット状に重なりますが、後に互生します。葉の形は、松の葉のように細いのが特徴です。☆マツバウンランは、春から初夏にかけて、茎の先端に紫色の仮面状花を穂状につけます。☆仮面状花冠とは、上唇と下唇に花冠が分かれている唇形花冠で、下唇が大きくせりあがって花喉(上唇と下唇の間の花冠筒部分)をふさいで仮面状になっているもののことだそうです。上唇は2つに分かれ、下唇は先端が3つに分かれ中央部分が白く膨らんでいます。☆マツバウンランの花冠は、後方に伸びる線形の距があります。萼は、基部近くまで5つに分かれており、裂片は披針形で先が尖っています。☆マツバウンランの花柄の付け根にある苞葉は、線形です。☆マツバウンラン(松葉海蘭)の名は、葉が松の葉のように細いウンラン(海蘭)であることから名づけられました。ウンラン(海蘭)は、北海道から本州・四国の海岸に咲くオオバコ科ウンラン属の植物で、花の形が蘭に似ているので海(海岸)の蘭と名付けられたそうです。☆マツバウンランの花言葉は、「喜び」「輝き」だそうです。
2019.02.05
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☆ウォーキングコースで、ヤマボウシの花が咲いています。ヤマボウシは、ミズキ科ミズキ属の落葉高木で、本州から九州の山地に生え、街路樹・庭園樹・公園樹としても用いられています。☆白い花びらのように見えるのはハナミズキと同じ総苞片で、真ん中に見えるのが頭状花序で小さな花が集まったものです。なお、「苞(苞葉)」とはつぼみを包んでいる葉のことで、花序全体の基部を包む苞を「総苞」といい、個々の総苞を「総苞片」といいます。☆真ん中の頭状花序を見ると、小さな花が咲き始めているようです。小さな花が開き、薄緑色の花びらや黄色い葯がある雄蕊、緑色の雌蕊が見えます。☆ヤマボウシの一つの小さな花を観察すると、4枚の薄緑色の花びら、4本の雄蕊と葯、真ん中に雌蕊があります。☆ヤマボウシ(山法師、山帽子)の名は、頭状花序を僧兵の頭に見立て、また白い総包片を頭巾に見立てて、白い頭巾をかぶった山法師を連想することから。
2015.06.25
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☆5月中旬に満開だったエゴノキの実が大きくなってきました。☆エゴノキは、実に味がエグイのでエゴノキになったそうですが、秋から冬にかけて、カラス、キジバト、ヒヨドリ、ヤマガラなどに実が食べられるようです。とくに、ヤマガラは、一旦地中に埋めてから食べるので、貯蔵型散布種子といわれるそうです。☆エゴノキの枝の先端に、菊の花が咲いたように虫こぶが見られるようになりました。☆これは、エゴノネコアシと呼ばれる虫こぶです。まるで猫の足のようです。☆イネ科のアシボソを一次寄主とするアブラムシ「エゴノネコアシアブラムシ」が、春に二次寄主であるエゴノキに移動(寄主転換)してきて新芽を変形させて、猫の足を連想させるエゴノネコアシという虫こぶを作ります。☆エゴノキと同じエゴノキ科エゴノキ属のハクウンボクも実が大きくなりました。☆5月初めに、エゴノキと似たハクウンボクの花が満開でした。(2013年5月1日撮影)。☆ハクウンボクの実の大きさは、エゴノキより一回り大きいようです。
2013.07.14
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☆ウォーキングコース(玉川上水)のところどころに生えているシュロの木です。正確には、ヤシ科シュロ属の「ワジュロ」のようです。日本では九州地方南部に自生していますが、耐寒性が強いので東北地方まで栽培されているそうです。☆よく見ると、上の方に黒く熟した実がたくさん見えます。ワジュロは雌雄異株なので、これは雌株のようです。☆シュロは種がたくさんでき、鳥によって運ばれるため、あちこちに種がまき散らされるようです。ウォーキングコース(玉川上水)でも、まだ小さなシュロの木が、あちこちで見られます。このように、人が植えていないのに芽を出し成長しているシュロを、「ノラジュロ」「ノジュロ」というそうです。☆5月中旬、ウォーキングコースの別の場所で、ワジュロの雄株が花を咲かせていました。☆雌花は上向きに咲きますが、雄花はこのように垂れ下がるように咲いています。小さな雄花が集まって、このような雄花序を作っています。☆雄花は、花弁が3枚、雄しべが6本とありましたが、3枚の花弁と先端に葯がある6本の雄しべを確認できます。花弁が開ききったものは、花粉を出しています。
2014.01.04
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☆ウォーキングコースの公園で、シロツメクサが咲いています。シロツメクサは、ヨーロッパ・北アメリカ原産でマメ科シャジクソウ属の帰化植物です。☆シロツメクサは、四葉のクローバーが、珍重されます。☆シロツメクサ(白詰草)の名は、これを乾燥したものが、江戸時代にオランダから長崎に輸入されるガラス製品の梱包材として使われたので、白い「詰草」と名付けられました。☆同じ公園で見つけたアカツメクサです。☆アカツメクサは、ヨーロッパ原産で牧草として輸入されましたが、各地で野生化しています。☆こちらは、道端の雑草で繁殖力が強く、コンクリートやアスファルトの隙間にも生え花を咲かせているツメクサです。ツメクサは、ナデシコ科ツメクサ属の1年草です。ツメクサ(爪草)の名は、葉の形が鳥の爪のような形をしていること、切った爪に似ていることなどから。(2013年4月25日撮影)。☆ツメクサの花はとても小さな花ですが、花を包んでいた5枚の萼片、同じく5枚の白い花びら、5本の雄蕊、雌蕊は先端が5つに分かれており細い毛が見えます。(2013年4月25日撮影)。☆読みは同じ「ツメクサ」ですが、梱包材としての利用方法から名が付いたシロツメクサ(白詰草)、線形で先がとがった葉の形から名が付いたツメクサ(爪草)。それぞれの植物の名前の由来を調べていくと、その植物の歴史や特徴がわかり、それぞれの植物への理解や興味が深まります。
2015.06.27
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☆7月初め頃から、ウォーキングコースでヘクソカズラの花を見かけるようになりました。9月頃まで咲き続けます。☆ヘクソカズラは、日本全土に分布し、林の縁や藪などの比較的日当たりの良い場所で、他のものにからみつきながら繁茂するアカネ科ヘクソカズラ属の多年草です。ヘクソカズラ(屁糞蔓)の名は、万葉のころからの呼び名で、葉や茎に異臭があることから「屁糞」蔓(蔓は「つる植物」のこと)となったとのこと。☆ヘクソカズラの花冠は釣鐘状で、花冠の外側には白い粒状の毛が密生しているそうですが写真ではわかりません。萼片は5つに分かれています。☆ヘクソカズラの花のつくりは、花冠は約1センチメートルで筒部は白く中央が紅紫色、2本の長い雌蕊の花柱があるそうです。雄蕊は花冠の中にあり、外からは見えないそうです。☆昨年観察したヘクソカズラの花です。花冠の中央の紅紫色の部分が、はっきりとした五角形に見えます。花冠の内面には、たくさんの腺毛が見えます。(2014年7月20日撮影)。☆なお、花の中央が赤くお灸の跡に似ていることからヤイトバナ(灸花)という別名があり、さらに、美しい花の姿からサオトメバナ(早乙女花)という別名もあるそうです。
2015.07.22
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☆5月初旬から、道端でアカバナユウゲショウのピンク色の花が目立つようになりました。種名はユウゲショウで別名がアカバナユウゲショウとされていますが、しろうと自然科学者は花の特徴がわかりやすいので「アカバナユウゲショウ」の名を使っています。(2017年5月14日撮影)。☆アカバナユウゲショウは、5月から咲き始め、11月頃まで咲いています。アカバナユウゲショウは、熱帯アメリカ原産で、明治時代に鑑賞用として移入されたものが野生化したアカバナ科マツヨイグサ属の多年草です。関東地方以西の道端や空き地などで見かける帰化植物です。☆アカバナユウゲショウの葉は互生し、縁は波打っており、波状の浅い鋸歯があります。茎には、毛が密生しています。アカバナユウゲショウは、茎の上部の葉腋に花をつけます。☆アカバナユウゲショウの花は、子房下位です。上から、花びら、萼裂片、萼筒、その下に少し膨らんだ子房、その下に花柄です。☆ピンク色の花びらの下にある4枚の萼裂片は、頂部が合着して袋状になっています。萼裂片の下に萼筒があり、その下に少し膨らんだ子房が見えます。☆アカバナユウゲショウの花は、ピンク色の4弁花で、中央は黄緑色です。花弁は丸く、紅色の脈が目立ちます。雄蕊は8本、中央に雌蕊花柱が見えます。☆雌蕊柱頭は4つに分かれ、平開しています。☆アカバナユウゲショウの果実は、上から4本、下から4本、合計8本の稜があり、熟すと先端から4つに分かれるそうです。☆アカバナユウゲショウ(赤花夕化粧)の名は、赤く化粧したような艶っぽい色の花を夕方から咲かせることに由来するそうです。夕方からではなく日中も咲いています。なお、オシロイバナ(白粉花)の別名がユウゲショウ(夕化粧)なので、区別するためにアカバナユウゲショウ(赤花夕化粧)と呼ばれるようになったそうです。☆アカバナユウゲショウの花言葉は、「臆病」だそうです。可憐で可愛らしい花ですが、道端で逞しく広がっている様子からは、「臆病」のイメージとは程遠い印象を持ちました。
2017.05.23
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☆8月21日から23日まで、栃木県の那須高原に行きました。新たな植物との出合いもありました。那須高原での自然観察を紹介します。宿泊先から見た雲海です。(2017年8月22日7時55分撮影)。☆宿泊先のホームページには、「気象状況にもよりますので毎日見られるとは限りませんが、標高1,230mに位置する当館から見る雲海は絶景です。」と書かれています。☆この機会に、雲海ができる条件について調べてみました。「YAMA HACK登山」の記事を利用させていただきました。山や飛行機など高度の高い場所から下を見た時に、雲が海のように拡がっているのが雲海です。雲海が発生するためには、次の5つの条件が必要だそうです。1.季節:主に春や秋。2.時間帯:夜明け前から早朝。3.気象:湿度が高い、放射冷却がある、無風状態、快晴。4.気温:前夜の気温と次の日の早朝の気温に差がある。5.場所:山間部や盆地。☆ウィキペディアフリー百科事典によると、「那須高原とは、栃木県北部の那須岳の南側山麓地域を言い、那須岳の標高千数百メートルの地域より東北本線、国道4号が通る標高300m辺りまで、緩やかな斜面が広がる。また、那珂川を挟んで那須野が原、那須高原の北西側は福島県の甲子高原に連なる。」とあります。標高1,230mの宿泊先から見下ろした那須高原です。(2017年8月23日9時6分撮影)。☆この地形は、上記の「5.場所:山間部や盆地。」という条件を満たしています。(2017年8月23日9時6分撮影)。☆また、雲海は、次の4つのステップで発生するそうです。1.放射冷却などで地面が冷える。2.地面付近の水蒸気を含む空気が冷える。3.無風で冷えた空気が溜まる。4.空気中の水分が飽和状態を通り越して霧ができる。☆那須町のホームページでの、那須町の紹介です。「那須町は、栃木県の最北端に位置し、首都東京からは約170キロメートルにあり東京から仙台間の中間に位置しています。那須連山と八溝の山並みに広がるわが町は、北西部に那須連山の主峰、茶臼岳(1915メートル)がそびえ、今なお煙を吐き続けています。その南斜面には、1380年の歴史を持つ温泉があり、日光国立公園「那須温泉郷」として観光の名所となっています。山麓地帯には、別荘地やテーマパークがあり高原地帯には、傾斜地を利用した酪農が続き、中央・東部地区には、水田地帯が広がっています。」茶臼岳9合目の那須ロープウェイ那須山頂駅から見上げた茶臼岳頂上です。(2017年8月22日14時35分撮影)。☆また、那須高原は、朝焼けが美しいところです。今回は見ることができませんでした。昨年10月に感動した那須高原の朝焼けです。(2016年10月3日5時20分撮影)。☆那須高原の朝焼けについては、「しろうと自然科学者の自然観察日記」の2016年10月12日の記事をご覧ください。◎那須高原の神秘的な朝焼け(2016年10月12日の日記)。http://plaza.rakuten.co.jp/okada1952/diary/20161012/
2017.09.01
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☆5月初め、ウォーキングコースで大きな丸い葉と房状に咲く白い花が目に付きました。ハクウンボクの花です。(2014年5月6日撮影)。☆ハクウンボクは、北海道から九州の山地の落葉樹林に生育し、庭木や公園木として利用されるエゴノキ科エゴノキ属の落葉高木です。ハクウンボク(白雲木)の名は、白い花が満開に咲く様子が白い雲を思わせるので名付けられたそうです。☆ハクウンボクは、枝先に垂れ下がる総状花序を出し、20個ほどの白い花を下向きに付けます。☆エゴノキと同じエゴノキ科エゴノキ属なので、ハクウンボクの一つひとつの花はエゴノキによく似ています。ハクウンボクの花は、花冠が5裂し、雄しべは10本で雌しべ花柱は雄しべより長く伸びています。
2014.05.14
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☆ウォーキングコース(玉川上水)で、今年もヌルデの特徴的な葉が目立つようになりました。☆ヌルデは、北海道から沖縄の日本全土の平地の林縁や2次林に生えるウルシ科ヌルデ属の落葉小高木です。高さは5~10メートルで、13メートルになるものもあるそうです。☆ヌルデの葉は互生し、奇数羽状複葉で小葉は3~6対あります。ヌルデには「ヌルデシロアブラムシ」が寄生し、大きな虫こぶを作り中には黒紫色のアブラムシが多数生活しています。この虫えいを「五倍子(ごばいし)、付子(ふし)」と呼び、タンニンが多量に含まれているので、お歯黒や白髪染めの色素原料として利用されていたそうです。☆ヌルデの葉は、9~13枚の小葉からなる奇数羽状複葉ですが、何といっても小葉と小葉の間の葉軸に翼があることが特徴です。☆ヌルデの小葉は長楕円形で縁には粗い鋸歯があり、小葉と小葉の間の葉軸に翼があります。☆葉の表面から見た葉軸の翼です。(2012年9月2日撮影)。☆葉の裏面から見た葉軸と翼です。葉の裏面は、軟毛が密生して黄白色です。(2012年9月2日撮影)。☆ヌルデは雌雄異株で、8月から9月に枝先に円錐花序を伸ばして、多数の小さな花をつけるそうなので、改めて雄花と雌花を観察してみたいと思います。ヌルデ(白膠木)の名は、この木の幹を傷つけると白いにかわ(膠)のような樹液が出て、これをウルシなどのように器具に塗っていたので、「塗る手」になったそうです。漢字名の「白膠木」は、白いにかわ(膠)のような樹液が出る木に由来します。☆ヌルデの花言葉は、「信仰」「知的な」「華やか」「壮麗」だそうです。「信仰」という花言葉は、ヌルデの別名を「カチノキ(勝の木)」といい、聖徳太子が蘇我馬子と物部守屋の戦いで、ヌルデの木で仏像を作り、馬子の戦勝を祈願したとの伝承にちなむのではないかという説がありました。「知的な」「華やか」「壮麗」というイメージは、ヌルデの姿からは想像できません。
2017.07.09
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☆ウォーキングコースでキョウチクトウの花が咲いています。花の色は、ピンク・黄色・白など、さまざまな園芸種があります。花の形は、一重咲きや八重咲きもあります。☆キョウチクトウは、インド原産で日本には中国を経て江戸時代中期に伝来したといわれているキョウチクトウ科キョウチクトウ属の常緑低木(小高木)です。☆キョウチクトウ(夾竹桃)の名は、中国名の「夾竹桃」の音読みで、葉が竹の葉のように狭く、花が桃の花に似ていることから。☆キョウチクトウの花は、花冠が5裂しており、花の中央には細く先が尖っている副花冠(花冠や雄しべの一部が変形してできたもの)があります。☆花・葉・枝・根・果実すべての部分と周辺の土壌にも毒性があり、生木を燃した煙も毒性があるということなので、要注意です。乾燥や大気汚染に強いので、高速道路や一般道路など街路樹に利用されています。
2014.07.01
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☆タケニグサが、あちこちの空き地や原っぱで成長しています。このタケニグサは、草丈2メートル以上あるようです。タケニグサは、本州・四国・九州に分布し、日当たりの良い空き地や草原に見られるケシ科タケニグサ属の多年草です。☆タケニグサ(竹似草)の名は、諸説あるようですが、茎が中空で長く伸び竹に似ているからということのようです。☆タケニグサの円錐花序は、下から順に咲いていきます。先端はつぼみですが、中間は花が咲き、下の方は実が成長しています。☆タケニグサの花は花弁がなく、円錐花序の一つひとつは2枚の萼片に包まれたつぼみです。☆花が開くと2枚の萼片は落ちてしまい、線香花火のように広がる花になります。線香花火のように広がっているのはたくさんの雄しべで、花の中央には雌しべが見えます。☆雄しべをよく見ると、雄しべの白い花糸の先端に薄茶色の葯が見えます。☆左側には雄しべがある花が見えますが、右側では雄しべが落ちて実が大きくなりつつあります。☆タケニグサの円錐花序の下の方では、扁平な実が大きく成長してきています。
2014.07.09
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☆ウォーキングコースでは、新たな花や実が目立つようになりました。昨日の続きです。☆写真は全て楽天写真館から掲載していますので、クリックすると鮮明な画像になります。◎イシミカワ(タデ科イヌタデ属)の実☆ウォーキングで、いつもと違うコースを歩いていると、空き地の雑草の中に、見なれない青紫の実を見つけました。☆三角形の花の形や、茎に棘があることから、タデ科の植物ではないかと考え探してみました。タデ科イヌタデ属のイシミカワです。☆7月から10月に、他のタデ科イヌタデ属と同じ形の花を咲かせますが、花の後に萼が肉質となって果実を包み、藍色に変化するという特徴を持っています。☆花の時期には花びらのように見える萼が、実の時期には果実を包んで藍色になるというのは不思議です。イシミカワ(石実皮)の名前の由来は、よくわからないようです。初めて出合った不可思議な植物でした。◎サフラン(アヤメ科クロッカス属)の花☆ウォーキングコース(玉川上水)の柵の中で、サフランが咲き始めました。☆地中海沿岸原産で、江戸時代に日本に渡来したそうです。☆雌しべが香辛料として使用され、1グラム500円から1,000円するそうです。1グラムとは、いったい何本の雌しべなのでしょうか?!◎ツワブキ(キク科ツワブキ属)の花☆ツワブキは、昭和記念公園で、何度も見かけましたが、ウォーキングコースの日陰でも咲き始めました。◎ノブドウ(キレハノブドウ)( ブドウ科ノブドウ属)の実☆ウォーキングコースの大きなノブドウ(キレハノブドウ)の実は、しだいに色づいてきています。見つけた時から、1カ月近く立っています。☆実が鮮やかな青や紫色になってきました。◎ピラカンサス(バラ科トキワサンザシ属)の実☆ウォーキングコースの民家の塀で、ピラカンサスの実が鈴なりでした。◎プラタナス(スズカケノキ科スズカケノキ属)の実☆プラタナスの実を見かけました。プラタナスは、スズカケノキ属の総称だそうです。前回調べたところ、ウォーキングコースのこの木は、アメリカスズカケノキのようです。◎ホトケノザ(シソ科オドリコソウ属)の花☆ウォーキングの途中で畑を見たら、ホトケノザが咲き始めていました。春を告げる花と思っていたのですが、小晴日和の中で花を咲かせたのでしょうか。他の多くの植物たちも、春に向けて新芽を育て成長のエネルギーを体内に蓄えているのでしょう。◎うららかな春は きびしい冬のあとから来る 可愛い蕗のとうは 霜の下で用意された☆これから寒さが厳しい冬本番になり、その後、いっせいに山野草や木の花が咲く春がやってきます。しろうと自然科学者がブログを始めたのも、冬を乗り越えてスイセンやフクジュソウが咲き始めた今年の2月末でした。☆ふと、「うららかな春は きびしい冬のあとから来る 可愛い蕗のとうは 霜の下で用意された」(作家:宮本百合子)という言葉を思い出しました。季節の変化と植物の成長を書いていますが、そこには人生の厳しさや困難を乗り越えていくことや、もっと広い意味で閉塞感があり先行きの見えない時代の中で新しい時代の到来への思いも込められていたのかも知れません。
2012.11.15
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☆昭和記念公園の「トンボの湿地」で、ガマの穂、ヒメガマを見つけました。ガマの仲間は、地下茎が泥の中を伸びていき群落を作るそうです。☆ヒメガマは、日本全土の池の浅いところに生えるガマ科ガマ属の多年草です。他に、イネ科と思われる植物が繁茂していましたが、ガマの穂の形からヒメガマとわかりました。☆花穂の上の方が雄花群で、下の方の淡い褐色に見えるのが雌花群です。ガマやコガマと区別するヒメガマの特徴は、雄花群と雌花群の間に軸(花柄)がむき出しになっていることです。☆一番上が雄花群、その下に緑色の花茎が見え、さらにその下に雌花群が見えます。雄花群は雌花群よりも長く25センチ程度、途中の花茎は長さ5センチ程度、雌花群は長さ20センチ程度です。☆ヒメガマの雄花群です。花期は、7~8月だそうです。☆ヒメガマの雌花群です。花期にはどのような形なのか、機会があれば観察してみたいと思います。☆ヒメガマ(姫蒲)の名は、ガマよりも雌花穂や葉が細いことに由来するそうですが、コガマ(小蒲)よりは大きいのでヒメ(姫)になったのでしょうか。ガマ(蒲)の名の由来は諸説あるようです。☆なお、「ふとん」の漢字表記が「蒲団」なので、「ガマ(蒲)」との関係など、その由来も調べてみました。『語源由来辞典』には次のように説明されています。※一部修正しました。布団は、禅僧が座禅のときに用いる「蒲の葉」で編んだ円い敷物であった。円い蒲という意味で「蒲団」と書き、唐音で「ふとん」と読んだ。室町時代末頃になり、綿や布でくるんだ座布団のような敷物が作られ、蒲の「ふとん」と同じ用途で使われていた。江戸時代以降、綿作りが広がるとともに、大型の綿入れの「蒲団」が作られ、寝具として用いられるようになった。やがて、寝具の「ふとん」と敷物の「ふとん」は区別され、寝具は「蒲団」、敷物は「座布団」となり、「蒲」の意味が薄れて「布」の字が当てられて、「布団」「座布団」の表記になった。
2016.08.16
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☆今年4月、国営昭和記念公園の玉川上水口の近くに「泉町西公園」がオープンしました。5か月後、芝生には様々な野草・雑草が生え、花を咲かせていました。オオブタクサの花です。(2017年9月7日・8日撮影)。☆オオブタクサは、北アメリカ原産の帰化植物で、1952年に静岡県の清水港で発見され、北海道から沖縄まで全国の空地や鉄道線路沿い、河川敷などに広がっているキク科ブタクサ属の1年草です。オオブタクサは、全体に毛が多く、茎はよく分岐して高さ3メートル、太さ2~4センチにもなります。☆茎や葉柄、花柄には、毛が多いのがわかります。☆オオブタクサの茎には、下向きのたくさんの毛が見えます。☆オオブタクサの葉は、長い柄があって対生し、葉身は長さ20~30センチ。葉は掌状に3~7つに分かれ、裂片は細長く尖っています。☆『日本帰化植物写真図鑑』では、オオブタクサの葉は掌状に3~7つに分かれとありますが、葉には変異が多いようです。こちらの茎の先端の葉は、鋸歯がありますが、掌状には分かれていません。☆こちらの葉は、掌状に3つに分かれています。☆こちらの葉は、掌状に5つに分かれています。☆オオブタクサは、茎の先端に長い花穂を出します。穂状に長くまとまってついているのは、雄花です。☆こちらの写真は5年前のものですが、花茎から左右に出ている小さな葉の付け根に雌花が見えます。(2012年8月26日撮影)。☆オオブタクサは、雄花から大量の花粉が出て、ブタクサとともに花粉症の原因になっています。花粉が出始めているようです。☆オオブタクサの雄花の総苞片は合着して笠形になり、中に10個前後の黄色い筒状花があるそうです。笠形の総苞片の中を見ると、5枚の花弁がある多数の筒状花があるのがわかります。☆雄花の総苞片には黒い線があり、雄花の総苞片は合着して笠形になり、中に12~16個の黄色の筒状花があるそうです。写真では、先端が細長く伸びている筒状花が見えます。葯は離生し先端に細長い付属物があるそうですが、写真では筒状花の中に白く細長いものが見えます。(2015年8月24日撮影)。☆オオブタクサ(大豚草)の名は、ブタクサが高さ1メートルほどなのに対して高さ2~4メートルになること、ブタクサは英名のhogweed(hog豚・weed草)から名付けられたそうです。右下と左下に見える白い花は、オオイヌタデの花です。☆オオブタクサの花言葉は、「寂しがり屋」だそうです。オオブタクサが大群生することに由来するそうです。
2017.09.27
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☆自然観察ブログ「しろうと自然科学者の自然観察日記」を始めて6年7カ月、連載は連続2,400回を超えました。そこで、「自然観察の振返り」を随時掲載しています。【自然観察の振返り[9]】はヒガンバナ科の植物です。第12回は、ヒガンバナ科のネギ(ネギ亜科ネギ属)の仲間です。写真は、ネギです。(2012年5月23日撮影)。◎ユリ科ネギ属⇒ネギ科ネギ属⇒ヒガンバナ科ネギ亜科ネギ属へと変遷(1)1980年代までは、マクロ形態的な仮説を根拠に演繹的に作り上げたクロンキスト体系が主流で、ネギ属はユリ科に属していました。(2)1990年代には、ミクロ的なゲノム解析から実証的に構築されたAPG(Angiosperm Phylogeny Group: 被子植物系統発生グループ)分類体系が登場し、1998年に初版が出されました。ネギ属はネギ科とされました。(3)APG分類体系は、2003年に第2版、2009年には第3版が出され、この第3版ではネギ属はヒガンバナ科に分類されることになりました。◎ネギ(ヒガンバナ科ネギ亜科ネギ属)☆筒状の葉を食用にする青ネギ、肥大化した偽茎を食用にする白ネギがあります。(2012年5月23日撮影)。◎タマネギ(ヒガンバナ科ネギ亜科ネギ属)☆タマネギは鱗茎を食用にするものですが、鱗茎は茎ではなく葉が層状に重なり合っているものです。(2012年10月28日撮影)。◎ニラ(ヒガンバナ科ネギ亜科ネギ属)☆扁平な葉を食用とするニラです。ウォーキングコース(玉川上水)では野生化しています。(2012年9月27日撮影)。◎ワケギ(ヒガンバナ科ネギ亜科ネギ属)☆筒状の葉を食用にするワケギは、ネギとタマネギの雑種だそうです。(2012年10月28日撮影)。◎ノビル(ヒガンバナ科ネギ亜科ネギ属)☆山野に自生するノビルは、鱗茎を食用にします。(2012年3月7日撮影)。◎園芸植物のハナニラ(ヒガンバナ科ネギ亜科ハナニラ属)☆ハナニラは原産地が南米で、主にメキシコからアルゼンチンにかけて分布し、日本には、明治時代に入ってきたそうです。ハナニラは、ハナニラ属の総称です。ハナニラ(花韮)の名は、花がきれいで葉がニラに似ており、葉を折るとネギやニラのような匂いがすることに由来します。雑草のように丈夫で、種と球根(塊茎)で、庭だけでなく芝生の中など野生化して繁殖しています。(2008年3月30日撮影)。☆ハナニラの花期は春で、球根(鱗茎)から数枚の線形の葉を根生し、その中心から花茎を伸ばします。(2015年4月6日撮影)。☆ハナニラは、花茎の先端に細長い鞘状の苞があり、苞の裂け目から細長い花柄が伸び、1個の花をつけます。(2013年3月12日撮影)。☆ハナニラの花のつくりは、花被片6枚(外花被片3枚、内花被片3枚)、雄蕊が6本、雌蕊が1本です。(2013年3月12日撮影)。
2018.11.07
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☆4月15・16日、東京都八王子市の高尾山に植物観察(5回目・6回目)に行きました。その内容を順次紹介しています。ツクバキンモンソウの花です。(2019年4月15・16日撮影)。☆ツクバキンモンソウは、関東から四国の太平洋側の山地に生えるシソ科キランソウ属の多年草です。北海道・本州・九州の主として日本海側に生えるニシキゴロモの変種です。☆ツクバキンモンソウの茎は、紫色を帯びて立ち上がっています。☆ツクバキンモンソウの葉は対生し、葉柄は長さ1~2センチで紫色を帯びています。☆葉身は、長さ2~6センチ、幅1~3センチの長楕円形から広卵形です。葉の表は、葉脈が濃紫色で毛が散生し、光沢はありません。葉の裏は紫色を帯び、毛が散生します。☆花期は4~5月で、ジュウニヒトエは葉腋ではなく長さ4~6センチの穂状花序に花が多数つきますが、ツクバキンモンソウの花は葉腋に2~6個ずつつき、淡紅紫色から白色の唇形です。☆ツクバキンモンソウの花は、花冠の上唇がごく浅く2つに分かれ、長さ約1ミリと短く、雄蕊が花冠の外に出ています。まれに上唇弁が約2ミリの長いものも見られます。下唇は大きく3つに分かれています。☆上唇は2つに分かれていますが1ミリ位と短く、裂片上部は半円形です。上唇が極端に小さく1ミリ程度であることが、基本種であるニシキゴロモとの違いです。☆ツクバキンモンソウ(筑波金紋草)の名は、筑波山で最初に見つかったこと、キンモンソウ(金紋草)は基本種であるニシキゴロモの別名です。キンモンソウ(金紋草、錦紋草)は、紋様がある葉を錦に例えて名づけられました。☆基本種であるニシキゴロモ(キンモンソウ)の花言葉は、「強い結びつき」「追憶の日々」です。
2019.06.25
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☆公園のシマトネリコの木に、鈴なりの実がついています。今年の7月7日の日記に「雌株は、花が咲いた後に鈴なりの実をつけるというので、引き続き観察してみたいと思います。」と書きました。☆シマトネリコは、日本では沖縄に自生するモクセイ科トネリコ属の常緑ないし半落葉中高木です。常緑の樹木ですが、寒い地域では半落葉樹になるそうです。☆シマトネリコは、6月から7月に小さなたくさんの花を咲かせます。小さく艶のある葉が特徴です。葉は奇数羽状複葉で、小葉は5~11枚だそうです。熱帯育ちの植物なので、あまり寒さには強くありませんが、関東以南の地域では庭木などとして植えられているそうです。最近あちこちで見かけるようになりました。(2016年6月30日撮影)。☆シマトネリコは雌雄異株で、雌株の花は、白い花冠が基部でわずかに合着し、4つに分かれています。雄蕊は2本、雌蕊が1本です。雄株は花を咲かせることはないといいます。なお、本州の山地に生えるトネリコの花には、花冠がないそうです。(2016年7月6日撮影)。☆文字通り鈴なりになっているシマトネリコの実です。☆シマトネリコの果実は、翅果(しか)です。翅果とは、果皮の一部が羽のように発達しており、風により飛散する果実のことです。ニレ、ハンノキ、トネリコ、カエデなどの果実が翅果です。羽の部分を翼(よく)といい、翼果ともいいます。☆シマトネリコは、光沢のある小さな葉が涼しげな樹形を作るので、人気が出てきている樹木だそうです。シマトネリコ(島梣)の名は、島は沖縄などの南国諸島に生えるトネリコ。トネリコ(梣)は、樹皮に寄生するイボタロウムシが分泌する蝋物質を「トネリコ」と言うことに由来するそうです。この蝋を動きが悪くなった敷居の戸溝に塗ると、戸の滑りが良くなるそうです。そこで「戸塗木(とぬりき)」から「トネリキ」に転じ、「トネリコ」の名前になったそうです。
2016.10.30
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☆写真整理と自然観察の振り返り(その22)は、アザミと類似植物です。◎キツネアザミ(キク科キツネアザミ属)☆6月、ウォーキングコースでアザミのような花を見つけました。キツネアザミでした。キツネアザミは、本州から沖縄に分布し、道端や田畑に生える植物です。古い時代に、農耕とともに中国か朝鮮から入ってきたと考えられているそうです。(2012年6月7日撮影)。☆キツネアザミ(狐薊)の名は、花の姿がアザミに似ているが、アザミと違って葉は柔らかくトゲも無く、キツネにだまされるということから。地方によっては、猟師に追われた狐が、アザミに化ける時に慌てたのでトゲを付けるのを忘れたと言う伝承もあるとのこと。(2012年6月7日撮影)。◎アメリカオニアザミ(キク科アザミ属)☆ウォーキングコースで、葉や茎・総苞片など全身トゲトゲのアザミを見かけました。ヨーロッパ原産ですが、北アメリカを経由して日本に渡来した帰化植物アメリカオニアザミです。(2012年8月18日撮影)。☆1960年代に北海道で確認され、全国に広がっているそうです。格別に鋭いトゲなので、家畜やシカなどにも食べられることがなく、繁殖していくようです。アメリカオニアザミ(亜米利加鬼薊)の名は、アメリカ経由で渡来した鬼のような薊のようで、名は体を表すでしょうか。(2012年8月18日撮影)。☆アメリカオニアザミは、8月末には種が飛び始めています。この種が、また来年、どこかで芽を出し増えていくのでしょうか。(2012年8月25日撮影)。◎ノハラアザミ(キク科アザミ属)☆ノハラアザミは、ウォーキングコースで8月から11月まで咲いています。ノハラアザミは、本州中部以北に分布する多年草です。 (2012年8月18日撮影)。☆花は上向きで、クモ毛があり反り返らない短く規則的な総苞片が特徴です。(2012年9月27日撮影)。☆ノハラアザミは、花の時期にも根生葉があることが特徴で、それを確認することができました。(2012年10月17日撮影)。◎ノアザミ(キク科アザミ属)☆裏磐梯での自然観察で、ノアザミを見つけました。ノアザミの花期は、5月から8月です。(2012年8月21日撮影)。☆花は上向きで紅紫色、葉が羽状に中裂して縁の鋸歯の先端が鋭いトゲになっていること、総苞片の先端がそり返らず直立し、総苞片の背部が膨れて粘っているように見えることなどから、ノアザミと考えました。(2012年8月21日撮影)。◎タイアザミ(キク科アザミ属)☆タイアザミは、本州の関東地方から近畿地方に分布し、関東地方の日当たりの良い草原や林縁で秋に最もよく見かけるアザミだそうです。(2012年9月14日撮影)。☆タイアザミの特徴は、花が横や下を向いており、総苞片が反り返っているのが特徴です。タイアザミ(大薊)の名は、文字通り大きい薊です。関東地方に多いので、別名はトネアザミ。(2012年9月14日撮影)。◎マアザミ(キク科アザミ属)☆マアザミです。本州・四国・九州の湿地に生える多年草で、箱根湿生花園の掲示板で名前を知りました。マアザミ(真薊)の名は、若い葉を食用にする真の薊(?)という意味だそうです。(2012年9月14日撮影)。☆別名のキセルアザミの名は、直立した茎の先端に下向きに花を付けるのが特徴で、その形から煙草を吸う煙管(キセル)に見立てて、名前が付いたそうです。◎タムラソウ(キク科タムラソウ属)☆タムラソウは、本州・四国・九州の山地の草原に生える多年草です。花はアザミに似ていますが、葉に棘がないので区別しやすいと思います。箱根湿生花園の掲示板で確認しました。(2012年9月14日撮影)。☆茎が枝分かれして花が付いている形や、総苞片が棘にならないのも特徴的です。タムラソウ(田村草)の名は、由来がはっきりしないそうです。(2012年9月14日撮影)。
2012.11.27
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☆ウォーキングコースで、キリンソウが咲いているのを見つけました。自生しているのではなく、園芸種として植えられているようです。☆キリンソウは、日本原産で、日本全土の日当たりの良い山地などに自生するベンケイソウ科キリンソウ属の多年草です。☆キリンソウ(麒麟草)の名は、別名が「キジンソウ」・「キジグサ」で「傷薬の草」を意味し、これが転訛して「キリンソウ」となったとする説や、中国の古書に登場する伝説上の動物麒麟に由来するという説もあります。さらに、別名「黄輪草」で、茎葉頂部に黄色い小花が輪のようにつくので、黄花の1輪にたとえて黄輪草の名になったという説もあります。☆ウォーキングコースの道端で、今年3種類目のマンネングサの仲間、マルバマンネングサの花が咲いているのを見つけました。☆マルバマンネングサは、本州・四国・九州の山地の岩場に自生するベンケイソウ科マンネングサ属の多年草です。マルバマンネングサは、グランドカバーや観葉植物としても育てられています。☆マルバマンネングサ(丸葉万年草)の名前の通り、他のマンネングサ属の仲間に比べて葉が丸いのが特徴です。また、葉が対生なのがマルバマンネングサだけの特徴だそうです。マンネングサの仲間は10数種類あるそうですが、マルバマンネングサ以外の葉は対生せず茎に互い違いにつく互生だそうです。
2014.06.15
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☆ウォーキングコースの道端で、黒い実がなっている植物を見つけました。この場所で見つけたのは初めてです。☆全体の印象から、イヌホオズキの仲間であることはわかります。黒い実が1カ所に5~7個ついており、黒い実には少し光沢があります。☆実の数は5~7個。小花柄が1点から散状になるアメリカイヌホオズキと違って少しずれて小花柄が出ており、実に少し光沢があるので、オオイヌホオズキでしょうか。☆これは、実の数が6個で、実に少し光沢があります。イヌホオズキは実に光沢がないそうですが、個体差もあるようなので、断定はできません。☆これは、実の数が7個。やはり、実に少し光沢があります。今回は、一応オオイヌホオズキと考えましたが、イヌホオズキの仲間は区別が難しいので引き続き調べていきたいと思います。
2014.11.12
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☆昭和記念公園の自転車専用道路の脇で、大きな木でヒノキのような葉の木に変わった形の実がついているのを見つけました。☆調べてみると、ヒノキ科コノテガシワ属のコノテガシワの木の実でした。☆コノテガシワの実(球果)は、角がある独特の形です。色は、淡灰青色です。秋には褐色に熟し、楕円形で黒褐色の種子が4個入っているそうです。☆この独特の実の形。見た記憶があると思ったら、園芸品種のセンジュ(千手)が公園木や庭木として植えられているそうです。センジュは、こんもりと丸みをおびた小低木です。☆コノテガシワの特徴は、枝の表裏の区別がないことだそうです。同じヒノキ科でも、ヒノキ属は明確な表裏の区別があるそうです。ヒノキ・サワラ・アスナロなどの葉の裏面が白く見えるのは白色気孔帯があるためで、コノテガシワの気孔帯は白色ではないために葉の表と裏の区別ができないそうです。☆コノテガシワ(児の手柏、側柏)の名は、枝が直立する様子が、子どもが手を上げる様子に似ていることから名づけられたそうです。「側柏」の名は中国名で、葉が直立して上に伸びるという枝葉の形をそのまま表しているそうです。
2015.09.14
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☆今年もウォーキングコース(玉川上水)で、クマシデの果穂(かすい)が目立ちます。☆クマシデは、本州・四国・九州の日当たりの良い山地に自生するカバノキ科クマシデ属の落葉広葉樹です。樹高は15メートルになる落葉高木です。クマシデは、材が堅いので家具材・建築材・農具の柄などに用いられるそうです。☆クマシデ(熊四手)の名は、シデの仲間では果穂が最も大きいので「熊」の名がついたそうです。四手(紙垂)は、しめ縄や玉串などにつける細長く切った紙のことで、花が枝に垂れ下がる様子から。☆クマシデの葉の側脈は、アカシデ(9~12本)やイヌシデ(12~15本)より多く20~24本です。写真では、20本以上見えます。☆クマシデは、雌雄同株で雌雄異花です。葉の展開と同時に花が咲き、雄花序は長さ3~5センチで前年枝から垂れ下がり、雌花序は本年枝の先端か短枝の脇から垂れ下がります。雌花の基部の小苞が花の後に大きくなり、葉状の果苞になるそうです。新しい枝の先端に果穂が垂れ下がっています。☆果穂とは、種子を抱いた果苞(葉が変形したもの)が房状になったものです。アカシデやイヌシデは果苞がまばらですが、クマシデの果穂は果苞が密で太いのが特徴です。☆クマシデの雄花序は、まだ観察したことがありません。
2016.05.23
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☆ウォーキングコース(玉川上水)に生えているシュロの木です。正確には、ヤシ科シュロ属のワジュロ(和棕櫚)のようです。日本では九州地方南部に自生していますが、日本のヤシ科の植物の中では最も耐寒性が強いので、東北地方まで栽培されているそうです。☆よく見ると、上の方に実がたくさん見えます。シュロは雌雄異株なので、これは雌株です。☆シュロは種がたくさんでき、鳥によって運ばれるため、あちこちに種がまき散らされるようです。☆ウォーキングコース(玉川上水)では、シュロの木が、あちこちで見られます。鳥によって種がまき散らされ、実生で増えてきているシュロの木やトウネズミモチなどによって、落葉樹を中心にした雑木林の光景が少しずつ変わってきています。☆木の根元には、シュロの幼木も生えています。このように、人が植えていないのに芽を出し成長しているシュロを、「ノラジュロ」「ノジュロ」というそうです。☆シュロは雌雄異株・雌雄異花です。シュロの雄株・雄花序は、垂れ下がった状態のまま開花します。開花した時期の雄花序です。6年前に撮影した鮮明な写真がありました。(2010年5月16日撮影)。☆シュロの雄花序に近づいて見ると、クリーム色のたくさんの雄花が見えます。クリーム色の花弁は3枚、雄蕊は6本です。(2010年5月16日撮影)。☆こちらは、シュロの雌株・雌花序です。今年初めて観察することができました。(2016年5月4日撮影)。☆シュロの雌花は淡い緑色で、3本の雌蕊と6本の退化雄蕊があるそうですが、花弁の中から3本の雌蕊が出ているのがわかります。今年初めて観察することができたシュロの雌花、心に残る1枚です。(2016年5月6日撮影)。☆シュロ花言葉は、「勝利」「不変の友情」「祝賀」「戦勝」などがあるそうです。「勝利」は、古代オリンピック競技で優勝者にオリーブの冠とシュロの小枝が贈られシュロが勝利の栄冠の意味に用いられるようになったことからきているという説や、肉厚で長持ちする葉の様子からきているという説もありました。「不変の友情」は、「常緑で直立しているいつも変わらない姿からつけられたのでしょうか」という記事がありました。☆さらに調べてみると、第1回アテネオリンピック(1896年)の大会公式報告書の表紙に「勝者のみに贈られるオリーブの冠と棕櫚の小枝を持つギリシャ神話の女神アテナらしき少女」が描かれているという記事がありました。(公益財団法人日本オリンピック委員会ホームページ参照)。
2016.12.30
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