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宇宙人がいて、木星には固い地面が存在する――なにしろ本書は1931年の作品で、コンピュータはもちろん、テレビや人工衛星すら存在しなかった時代の古き良きスペースオペラなのである。設定は滑稽かもしれないが、いまから70年後のスターウォーズやガンダムはどうだろうか。私は、SFは面白ければ、それでよいと思う。
私が最初に読んだSFは「宇宙大作戦」(現・スタートレック)だったが、2番目に読んだのがE・E・スミスの処女作「宇宙のスカイラーク」である。ちょうどその頃、ハヤカワSF文庫から初めて「火星航路SOS」の翻訳が出版された。いまから30年前の話である。本書はリメイク版となる。
さて、本書の冒頭で、経営者からの命令でロケットを定時運行するために悪戦苦闘する“計算士”の苦労話が描かれているが、これは、電車を定時運行させようと必死に努力している某国の運転士にそっくりではないか。時代が変わり、技術が変わろうとも、経営者の考えることは変わりないようである。
■メーカーサイト⇒ 早川書房 火星航路SOS
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