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アメリカで物議を醸し出したドキュメント本である。アップルの創立者の1人であり正式にCEOに就任したスティーブ・ジョブズの半生を描いたドキュメンタリーであるが、ジョブズの人となりを正確に描き出したがために、アップル信者からの猛反発を受けたらしい。
スティーブ・ジョブズは、私より10歳年長のヒッピーで、私がパソコンをはじめた頃、すでにアップルIIで大成功をおさめた英雄であり、秋葉原にMacintoshが上陸したときには神にも等しい存在であった。その後、アップルを追われ不遇な十数年を送るが、ピクサー社をして映画界で成功を収め、ついにアップルに返り咲き、iMac、iPodというヒット商品を世に送り出した。
マイクロソフト製品は単なるテクノロジーなのだが、アップルの製品はカルチャーである。iMacが登場して間もなく、国内家電製品のデザインがiMacっぽくなった。iPodは、性能は大したことはないのに、ウォークマンを駆逐してしまった。ジョブズは、コンピュータ、映画、音楽の3つの文化を変えてしまった。
我が家にもMacintoshが多いので、否が応でもジョブズの動勢が耳に入ってくる。それだけ目立つ存在である。
一方で、養子であったジョブズは、最初にもうけた娘リサの養育を放棄した。にもかかわらず、Macintoshの前身であるマシンに「Lisa」の名を冠するという、矛盾した行動に出る。天才の行動は理解できない。彼に比べると、マイクロソフトのビル・ゲイツの考え方は理解しやすい。
文化を変えていく英雄である反面、人間的には矛盾に満ちているスティーブ・ジョブズ――その半生をありのままに記述したがために、本書に対する議論がわき起こったのだろう。
本書では、スティーブ・ジョブズを中心に、マイクロソフト、ディズニー、ルーカス・フィルム、ピクサーといったアメリカの大企業の動きまで知ることができる。
■メーカーサイト⇒ 東洋経済新報社 スティーブ・ジョブズ 偶像復活
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