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野口健を初めてテレビで見たのは、彼が最初のエベレスト登頂を目指す時だったと思う。そのとき、なんて澄んだ瞳をしている青年だろう、と感じた。
三度にわたるチャレンジの末、ついにエベレストに登頂、七大陸最高峰最年少登頂記録を達成した記事はスクラップしてある。その後、エベレストや富士山の清掃登山をしていると聞き、いつか彼の講演を聴こうと思ったまま時間だけが過ぎてしまった。
先日、出張先の書店でたまたま本書を手に取り、そのまま、帰りの新幹線で読みふけった。
帰国子女であったために受けた「いじめ」、目的を失った時に読んだ植村直己の本。マスコミ報道からはうかがい知れない人生を歩んできた男だと思った。
意外だったのは、登山を始めてから順調な人生だったかというと、その間にも何度か挫折があったこと。そして、それらを乗り越えてエベレストの征服したこと。
彼は地球環境のことを心配する。「アフガニスタンの難民の多くが『戦争難民』ではなく『生態系難民』であった」(309ページ)という指摘は、彼がはじめてではないだろうか。これが事実なら、われわれが掲げる「人道主義」とはいったい何なのか。
「命を燃やす」というのは大げさかもしれないが、彼の言葉は生き生きとして燃えている。いつか必ず彼の話を聴きに行こう。
■メーカーサイト⇒ 集英社 落ちこぼれてエベレスト
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