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東城大学医学部附属病院の看護師、浜田小夜は、忘年会の出し物で「アヴェ・マリア」を歌い優勝した。彼女が受け持つ小児科病棟には、網膜芽腫で眼球摘出を控えた子どもや、白血病で余命幾ばくもない子どもたちがいる。子どもたちのメンタルヘルスを不定愁訴外来に依頼したところ、ある子どもの肉親が殺害されバラバラにされるという痛ましい事件が起きた――。
前作「チーム・バチスタの栄光」に続き、“昼行灯”こと田口医師の、まったく冴えない主人公っぷりや、伝説の歌姫の緊急入院、厚生労働省の変人役人・白鳥調査官の乱入、白鳥にも勝るとも劣らない加納警視正の傍若無人ぶり――一癖も二癖もある登場人物がストーリーを混乱させる一方で、アニメの「カエル宇宙人」やファミレス「ジョーナーズ」が奇妙なリアル感を醸し出す。著者の海堂尊は1961年千葉県生まれで、本業は医師。本作では、社会問題にもなっている小児科業務の過酷さがストーリーに織り込まれている。
前作とは全く異なるストーリー展開で、前作を読んでいなくても楽しめるし、読んでいれば二倍楽しめる仕上がりになっている。
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