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カーボンナノチューブを使えば宇宙エレベーター建設の可能性が高まるというが‥‥。
本書は、宇宙エレベータの実現可能性について技術レベルで解説している。
膨大なエネルギーを使って宇宙へ旅立つ巨大ロケットの姿は雄々しい。しかし、アポロ計画から 40 年近くが過ぎ、環境問題・エネルギー問題が注目される昨今、もっと軽い気持ちで宇宙に行けるようになってもいいのではないだろうか。その意味で、宇宙エレベーターには関心を寄せている。
宇宙エレベータといえば、アーサー・ C ・クラークの SF「楽園の泉」やアニメ「超時空世紀オーガス」では「軌道エレベータ」として登場した(個人的には「軌道エレベータ」という名前の方がしっくりくる)。最近では、アニメ「機動戦士ガンダムOO」に登場している。SF やアニメでは欠かせない舞台装置だ。
宇宙へ向かって数万キロの高さに延ばす支柱の強度の問題で、現実世界ではあまり論じられてこなかった。だが 1990 年代に入り、鋼鉄の数百倍の強度を持ち極めて軽いカーボンナノチューブが製造可能となり、がぜん注目を浴びるようになった。
このあたりの経緯は、本書に詳しい。とくに「訳者あとがき」が参考になる。また、地上のアンカーとなるアース・ポートの設置場所から、他の惑星における宇宙エレベーターの可能性まで技術的・経済的・政治的な分析がなされており、とても参考になる。
ただ、本書を読んでいて疑問が1つ残る――エレベーターを上昇する「クルーザー」の時速は 200 キロほど。これだと、静止軌道(高度約 3 万 6 千キロ)に到達するまで 1週間以上かかる計算になる。となると、閉鎖空間であるクルーザーは、アメニティの整った豪華客船のようなこしらえが必要ではないだろうか。さすがに新幹線で地球一周するのは辛い。
■メーカーサイト⇒ ブラッドリー・C.エドワーズ/フィリップ・レーガン/ランダムハウス講談社/2008年4月 宇宙旅行はエレベーターで
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