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われわれ戦後世代は、「戦後教育で失われたもの」を取り戻さなければならない。
本書で取り上げられている「教育勅語」を、あらためて読み直してみると、重みがある内容だ。これを捨て去ってしまったのは、あまりにも惜しいことである。しかし筆者は、いまさら教育勅語を浸透させるのは無理だという。それが、「戦後教育で失われたもの」である。
本書の内容は、真っ直ぐの剛速球だ――「不平等社会論者の多くが、『学力向上』を目指した教育改革に批判的である」(51 ページ)、「不平等社会論者が主張する『平等』は、全体主義社会でしか実現できない」(53 ページ)、「金八先生には『生徒の育成』という要素が決定的に欠けている」(62 ページ)――これらの発言は、一歩間違うと大暴投になりかねない。しかし、変化球で逃げている多くの教育評論書より読み応えはある。
戦後、日本人が失った「誇り」を取り戻すには、まず、戦後世代である我々が「誇り」を持たなければならない。それは、上から与えられるものではない。また、世間の批判をして得られるものでもない。「仕事に対する誇り」「人生に対する誇り」「親としての誇り」は、自ら考え、悩み、獲得していかなければならない。そして、それを子どもたちに伝えなければならない。
■メーカーサイト⇒ 森口朗/新潮社/2005年8月 戦後教育で失われたもの
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