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領空侵犯をされたときには、敵機はただちに撃ち落とす。領海侵犯をされたときには、船は粉にして日本海に沈めてしまう。
著者は、2008 年 10 月、「我が国が侵略国家だったというのは濡れ衣」などと政府見解に反した論文を発表していたことが発覚し、更迭された自衛隊航空幕僚長である。
「領空侵犯をされたときには、敵機はただちに撃ち落とす。領海侵犯をされたときには、船は粉にして日本海に沈めてしまう。」(180 ページ)という過激な言い回しが散見されるが、その後で「それくらいの怖さを相手に示すことが重要です。我が国の固有の領土を、他国に勝手に乗っ取られてしまってからでは遅すぎます。」と続く。軍人らしく(というより社会人として当たり前の態度だが)、結論を先に持ってくる言い回しのため、誤解されているのかもしれない。もう少し結論をソフトに言えばいいのに‥‥。
「軍人は戦争をやりたがらない」(208 ページ)という。なぜなら、「戦争をやれば、自分の部下を大勢死なせることになるから」だという。これには納得させられた。
最後方にいる内閣総理大臣なら、最前線の兵隊がどれほど死のうが痛くも痒くもないだろう。これが戦争の恐ろしさである。だからといって文民統制が悪いとは言わないが、いまの政治家を見ていると、彼らに戦争を任せていいのだろうかという不安は感じる。
それと、もうひとつ――1977 年の日本赤軍によるハイジャック事件の際、当時の「福田剋夫総理は『人命は地球よりも重い』という有名な言葉を残し、結局テロリストに屈し」(82 ページ)た。この直後、北朝鮮による日本人拉致事件が始まるのである。偶然の一致だろうか、それとも著者が言うように「日本が世界からなめられ始めた」のだろうか。
著者の言うように核兵器を持つことが必要だとは思わないが、外交官は国際舞台で怒ることも必要ではないだろうか。
いろいろと考えさせられる本である。
■メーカーサイト⇒ 田母神俊雄=著/双葉社/2009年03月発行 田母神塾?これが誇りある日本の教科書だ
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