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しかし、私は思い出すことがあるのです。あのホーマン軌道というのは何と優雅で芸術的な軌道だったかと――
太陽系から 3 光日の距離に、銀河面を垂直に貫く直径 1200 キロ、全長5380 光年に及ぶ強力なレーザー光「バビロニア・ウェーブ」が発見された。それは、いつから、なぜ存在するのかは全くわからない。だが人類は、そこに反射鏡を差し入れることで、太陽から得るより膨大で効率的なエネルギーを手中にすることができるようになった。
そんなある日、レーザー送電基地へ向かった宇宙飛行士マキノが事故に巻き込まれる。送電基地の 1 つが突然停止したのだ。スペースコロニーで育ったマキタと、バビロニア・ウェーブの発見者ランドール教授は、次々と危機に見舞われる。
クエーサー、ダークマターといった、今でも天文学の謎であり続ける話題を巧みに織り込みつつ、物語はミステリー風に進んでいく。星雲賞を受賞した日本ハード SF を代表する傑作であるだけに、発刊後 20 数年を経た今でも読み応えがある。
公式サイト: 堀晃の SF HomePage
■メーカー/販売元 堀晃=著/徳間書店/1988年11月発行
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