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困っている人をどれだけ助けられるか、ということが医療の本道です
本書は、現役医師である医師が現役心臓外科医・須磨久善(すま・ひさよし)の業績を紹介するという内容になっている。
じつは、本書の著者・海堂尊が作家デビューした「 チーム・バチスタの栄光
」でミステリーのプロットに用いているバチスタ手術を、日本で初めて行ったのが須磨久善なのだ。
「難手術をし損じて患者が亡くなれば医療訴訟になる」(50 ページ)ご時世だが、それでも医療技術発展のため、ひいては難病患者を救うために、須磨久善はあえてリスクをとる。「日本で言ってもダメなら米国で認めてもらえばいい」(72 ページ)というスタンスである。
須磨は心臓移植に対してこんな考えを持っている――「選ばれた人だけに特殊な治療を施してどれだけ生存曲線を延ばすことができたか、というのも確かに医療ですけど、それは医療全体から見ればごく一部のこと。ですから移植も大切ですが、移植せず自分の心臓を直していくという道も模索しなくてはならないのです」(156 ページ)。
いずれ人工血管が普及すれば、須磨の手術の多くは不要になる。それでも、普及するまでの間、一人でも多くの患者を救おうと、須磨は果てしない努力を積み重ねる。
須磨は「一人前になるには地獄を見なければならない。だけどそれでは所詮二流です。一流になるには、地獄を知り、その上で地獄を忘れなくてはなりません。地獄に引きずられているようではまだまだ未熟ですね」(204 ページ)と語る。
この人は壮絶な努力家である。
■メーカーサイト⇒ 海堂尊=著/講談社/2009年07月発行 外科医須磨久善
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