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もともと中国の人々には、19世紀の帝国列強の時代から、「欧米や日本にはいじめ抜かれてきた」という被害者意識が根強くあります。一方で、「中国は4000年以上の歴史と素晴らしい文化を誇る国だ」という自尊心も強く、中国企業による海外M&Aは、国の面目躍如ととらえられることが多いようです。
中国の動きが不気味に感じられる。これは、中国から入ってくる情報が圧倒的に少ないためだ。
本書では、中国総合情報サイト「サーチナ」を運営するサーチナ総合研究所(上海サーチナ)が、本当の中国の姿を紹介する。
たとえば「ネット世論が人民元切り上げに強く反発するのは、米国などの先進国が身勝手な言い分によって、中国をいじめているという被害者意識があるから」(28 ページ)という。
それほど中国は、欧米や日本に対する被害者意識が大きいらしい。
ただ、「1989 年の天安門事件で、政権維持に不安を抱いた中国共産党は、90 年代以降、愛国教育を本格化させました。現在の 30 歳以下の若者たちは、まさにその時代に学生生活を送っていった世代」(74 ページ)だという点も見逃せない。いまの日本にはこうした愛国教育がないから、自国に対する考え方のギャップを招きやすいのだと思う。
中国人は公共のマナーが悪かったり、商品をパクるなどの皇位が目に余る。たとえば「中国でも、総論としては誰もが CO 2
削減に賛成しますが、自分たちの利益や生活に悪影響を及ぼしかねないことがわかると、各論で反対し出す傾向」(161 ページ)があるという。
総じて中国人はモラルが低いといってしまえばそれまでだが、本書を読むと、その背景には日本以上に世論に敏感な政府(共産党)の存在がある。共産党政府は巨大な中国を束ねるため、一方では統制や弾圧を強めながら、他方では国民の支持を得るための施策を次々と繰り出しているようだ。
本書を読んで感じたのは、中国は、先進国に対する被害者意識と歴史的な自尊心(中華思想)がない交ぜになった状態にあるらしい、ということだ。そうした中国国民の複雑な気持ちを理解することで、よりよい付き合い方ができると思う。
■メーカーサイト⇒ サーチナ総合研究所=著/アスキー・メディアワークス/2010年08月発行 知らないではすまない中国の大問題
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